薬の服用後に皮膚の異変やオレンジ尿、体が発するSOSかも

薬の服用後に皮膚の異変やオレンジ尿、体が発するSOSかも

医者、薬剤師任せではいけない

 高血圧の国内患者数は1010万人に達し、厚労省「国民健康・栄養調査」(2017年)によれば、60代の35.7%、70歳以上の51.7%が降圧剤を服用している。

 中でも使用頻度が高いのが「ARB」(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)だが、リスクもある。セルフケア薬局の薬剤師・長澤育弘氏が指摘する。

「効きすぎによって血圧が下がりすぎてしまい、腎臓の血流が一気に低下すると腎障害を起こすリスクがあるといわれています。また血液にカリウムがたまりすぎて、不整脈を起こす怖れも指摘されます」

 このタイプの降圧剤がもたらす異変の徴候は「空咳」と「めまい・ふらつき」だ。

「腎機能が低下すると、毛細血管が集中する肺に水分がたまって空咳が出ることがあります。たんの絡みや喉の痛みがなく、ただ咳が出るようになったら要注意です。またARBが効きすぎて血圧が下がりすぎると脳や全身に血液が行き届かず、めまいやふらつきが生じるケースがあります」(長澤氏)

 同じ降圧剤でも「カルシウム拮抗薬」だと、別の“サイン”が表われる。

「血管の収縮を抑えて血圧を下げる作用があるタイプの薬です。そのため、動悸、ほてり、浮腫(むくみ)などの副作用が生じるケースがあります。これらが出始めると薬が過剰に効いている可能性があります」(長澤氏)

 松田医院和漢堂院長の松田史彦医師は、“複数の降圧剤を飲む”というタイプの多剤併用に警鐘を鳴らす。

「ひとつの降圧剤が効かなかったら『これも試してみましょう』と別の降圧剤を次々に追加処方され、多剤併用になる患者が少なくありません。複数の降圧剤を飲んでいて疲れやすくなったり動悸が激しくなったりしたら多剤併用の影響を疑ったほうがよい」

 心筋梗塞や脳梗塞の原因となる「動脈硬化」の発症や進行を防ぐために、増えすぎた悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪の量を改善するのが脂質異常症治療薬だが、中には重大な副作用を抱えるものがある。

「『スタチン』と呼ばれるタイプの薬には、副作用として横紋筋融解症があります。これは筋肉が徐々に溶けたりして崩壊する病気で、進行すると筋肉痛や脱力感が生じ、歩くことすらできなくなる。溶けた筋肉が血液を通じて尿として排出されるため『尿がオレンジ色になる』ことが初期症状として知られています」(長澤氏)

 降圧剤や脂質異常症治療薬のほかに、一度飲み始めると長い間付き合い続けなければならないのが糖尿病治療薬だ。

「副作用のリスクが大きいため、他の薬に比べて医師は処方に慎重になる傾向にありますが、それでも効き過ぎによって低血糖が生じ、手の震えや動悸、ふらつきが生じる場合がある。最悪の場合には昏睡状態に陥るケースもあります」(長澤氏)

 これらの薬に限らず、服用後に皮膚に異変が生じたら、体の発するSOSと受け止めたほうがよいという指摘もある。

「そもそも薬は自然界に存在しないものを化学合成によって作り出したものが多いので、場合によっては人体が“拒絶反応”を起こします。その表われが、手やお腹、背中などにできるブツブツ(薬疹)です。これが生じたら薬が体に合っていない証拠といえます」(長澤氏)

※週刊ポスト2019年11月29日号

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