マンション住人が玄関に常に佇立し恐怖、追い出せるか

マンション住人が玄関に常に佇立し恐怖、追い出せるか

マンション前にずっと突っ立っていたら…

 多くの人間が暮らすマンションでは、お互いが快適に暮らせるように、住民同士が協力し合う必要があるが、マンションの“いち住人”が玄関先で佇立行為をする場合、その住人を追い出すことはできるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 マンションで住人同士のトラブルが発生。事の発端はゴミの出し方。それ以来、当事者のAが常に玄関に立つようになったのです。別に威嚇するでもなく、ただ立っているだけ。管理会社がAに注意すると「この行為は個人の自由だ」と反論。でも、恐怖を感じますし、Aを退去させる方法はないでしょうか。

【回答】
 管理会社が管理しているマンションの玄関は、人が看守する建造物なので、管理会社から退去を要求され、正当な理由なく応じなければ、不退去罪になります。しかし、居住者である以上、利用できる場所であるマンションの玄関先から退去を求めることは、そもそもできないように思います。

 賃貸マンションの場合は、他の居住者に不安を覚えさせ、平穏な生活ができない事態にまでになれば、賃貸借契約違反になると思われます。家主が玄関佇立を止めるように何度も催告し、それでも応じない時には、契約解除して追い出すことができます。

 分譲マンションだと、利用権を奪うことはできませんが、区分所有者はマンション建物の管理又は使用に関して区分所有者の共同の利益に反する行為をしない義務があります。違反すれば管理組合の決議で違反行為の停止を求めることができ、区分所有者の共同生活上の障害が著しく、停止要請だけでは不十分な時は、管理組合で4分の3以上の特別多数決で専有部分の使用の禁止も請求できます。

 そこまでいけばマンションが使えないので、玄関からの退去を要求できます。ただし、共同生活に著しい障害になる例としては、騒音やペットの悪臭などであり、佇立行為がこれに当たるというのは余程の場合です。必要な手続きも簡単ではなく時間もかかります。

 Aが特定の住民に待ち伏せや立ち塞がりなどを繰り返して不安にさせていれば、迷惑防止条例違反になる可能性があります。その場合、6か月以下の懲役か50万円以下の罰金で処罰される犯罪です。

 Aの佇立が特定の人を相手にしたとはいえなくても、異様な行動に不満を覚える他の住民と険悪になっていれば、喧嘩など暴力沙汰が起きる心配もあります。事前に警察に相談することも有効です。

【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2019年12月13日号

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