不整脈の根治を目指す治療法「カテーテルアブレーション」

不整脈の根治を目指す治療法「カテーテルアブレーション」

不整脈の根治治療法を医師が解説

 不整脈の一つである「心房細動」の治療は、20年ほど前までは薬物や電気ショックなどの対症療法しかなかった。しかし現在、高周波カテーテルアブレーション治療によって、心房細動は治る病気になっている。不整脈の発生源である心房細動基質や心房細動起源にカテーテルの先端を押し付け通電し、焼灼するもので、手術時間も短く、痛みも少ない低侵襲な治療である。

 心房筋が正常ならば、洞結節(どうけっせつ)で発生する電気刺激をスムーズに速く心房全体に伝えることができる。ところが、心房筋が傷むと様々な障害が起こる。電気刺激がゆっくり進んだり、回転したりするようになるのが心房細動基質で、1分間に約600回という高頻度で興奮するのが心房細動起源だ。

 心房細動は、心房細動基質と心房細動起源のどちらか、あるいは両方で引き起こされる。そこで心房細動の根治治療として導入されているのが、高周波カテーテルアブレーション治療だ。不整脈治療に特化している東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長に聞いた。

「カテーテルアブレーションは、心房細動基質や心房細動起源を探し出し、そこにカテーテルの先端にある電極を押し付け焼灼する治療です。不整脈の原因は心臓の中で点、もしくは面として存在し、それを見つけて心臓の壁を内側から外側まで直径5~8ミリメートル、深さ5~8ミリメートルほど焼灼します。焼きすぎると穴が開き、足りないと不整脈が治らないので、経験が要求されます」

 研究により、心房細動起源の85%は肺静脈に存在することがわかっており、高周波カテーテルアブレーションの主な焼灼部位は肺静脈となっている。以前は、肺静脈内の心房細動起源を1つずつ焼灼する方法を取っていたが、心房細動起源を取り残すこともあったため、再発が多かった。また、心房細動起源が肺静脈内に複数存在するケースもある。

 現在は、肺静脈の付け根を円周状に焼灼し、肺静脈を2本同時に隔離したり、4本すべてを隔離したりする、ボックス隔離法も行なわれるようになっている。

 東京ハートリズムクリニックでは、高度な不整脈治療のために、ナビゲーションシステムなど最新の医療機器が導入されている。

 例えば、磁場を使って特殊カテーテルの位置を3次元でモニターに表示し、心臓内の電気的情報も同時に入手できるCARTO(カルト)システム。これは心臓の中の解剖と、どこが傷んでいるのかを実物と1ミリメートル範囲の誤差で表示することが可能だ。

「心房細動の治療では、CARTOシステムで、患者さんの心房のカルトマップを作り、心房細動起源だけでなく、心房細動基質をも治療できるようになりました。これにより、治療の成功率が高まっています」(桑原院長)

 また、最新鋭の320列心臓造影CTを使うと心臓の解剖が詳細にわかる上に、心房内の血栓の有無も確認できる。これによって、検査が苦しいといわれる経食道心エコーを手術前にやらずに済む。

 高周波アブレーション治療は、全身麻酔で行ない、時間は2~3時間程度で終了し、3泊4日の入院が必要となる。人により、術後数日程度、胸のあたりがチクチク痛むこともあるが軽微なものだ。通常行なわれる尿道バルーン挿入など痛みを伴うものは極力排除し、患者にやさしい治療の実現を目指している。

●取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2017年6月2日号

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