剣道部も無臭を目指す時代 汗とニオイ対策の最前線

汗やニオイに対する意識が最近10年で大きく変化 剣道部も新対策で無臭を目指す時代

記事まとめ

  • 最近では、学校の部活でも汗とニオイに対策するのが当たり前のマナーになっている
  • 対策が難しいと思われてきた剣道部も新対策法で不快なニオイと無縁になりつつあるよう
  • 高校生では48.7%が「市販の汗ふき取りシートを使用」し、40.0%が「制汗剤を使用」

剣道部も無臭を目指す時代 汗とニオイ対策の最前線

剣道部も無臭を目指す時代 汗とニオイ対策の最前線

剣道防具の汗とニオイ対策も進化

 バラエティ番組で、女性アイドルが野球部だという大学生を前に「汗って感じでいや。くさそう」と発言し、ネットで炎上したことがあった。学生の部活動で汗とニオイにまみれるのは仕方がないことなのに何事か、というのが主な反論だったが、最近では、汗とニオイはたとえ学校の部活でも対策するのが当たり前のマナーになっている。もっとも対策が難しいと思われてきた剣道部も同様で、新対策法で不快なニオイと無縁になりつつある。

「汗とニオイの問題は長年の課題でしたが、20~30年前まではあきらめていました」と話すのは専門誌『剣道日本』編集部の安藤雄一郎さん。

 剣道着と袴は洗って干せば汗やニオイを取り除けるが、面、胴、小手といった防具には鹿革などが使用されているため、汗がしみても乾かすだけだった。そのため、汗の成分が取り除かれず、雑菌と化学変化を起こしニオイを発生しやすくなっていた。ところが、最近の十年で防具の手入れ法が大きく変わった。

「消臭剤が練り込まれた繊維を使ったり、小手専用の薄手手袋を発案するなど、メーカーも長年、工夫を重ねてきました。また、消臭技術がすすんだおかげで、スプレーや洗剤などを工夫して使っている人も多いようです。一番の変化は、防具をクリーニングできる、洗えるとわかったことでしょう。防具専門のクリーニング業者もありますし、利用する人も増えているそうです。そういう工夫を重ねてきたからか、最近は、大きな大会へ行っても、昔のようにニオイが気になることはなくなりました」(前出・安藤さん)

 実際に、最近の剣道用品には手入れのしやすさをうたったものが少なくない。ジャージ素材で洗濯後の乾きが早い剣道着や、自宅の洗濯機でも洗えるとうたった防具もある。関係者によれば、ドラッグストアで購入できる消臭スプレーや消臭ビーズなどを利用して、ニオイを取り除く工夫をしている人は多い。

 ただし、市販の消臭用品については使い方に気をつけてほしいと、品川区で剣道具の製造と販売をしている東京正武堂の担当者はいう。同店では、約10年前から防具のクリーニングも受け付けている。

「市販の消臭スプレーには革を傷める成分が含まれているものがありますので、剣道の防具には専用の消臭スプレーを使ってください。また、汗をそのままにすると道具としての寿命も短くなりますので、防具を洗濯することをすすめています。最近は、クリーニングの依頼も増えてきました。修理と一緒に頼まれる方が多いですね。いちばん難しいと思われている小手も洗えます。自宅でも洗えますが、防具の作られ方によって洗い方は様々ですので、ぜひ専門店にご相談ください」

 汗やニオイに対する意識は、最近10年で大きく変化した。子ども向けのスポーツ体験教室の講師をつとめるインストラクターによると、2000年代以降、汗をかくことや触れることを嫌がる子どもが現れたという。中高生を対象にした昨年の調査では、自分の汗臭さや体臭が気になった経験のある人が74%、友人のニオイが気になったこともある人も71%にのぼっている。また、高校生では48.7%が「市販の汗ふき取りシートを使用」し、40.0%が「制汗剤を使用」して学校生活におけるニオイ対策をとっている(マクロミル調べ)。

 株式会社マンダムでは、昨年から高校生向けにニオイケアセミナーを実施しているが、広報部の萩原奈津子さんは、その現場でも汗とニオイ対策を高校生から求められていることがわかりましたと話す。

「学校でのエチケットについて聞いたところ、ニオイの問題は生徒への個別指導がしづらいこともあり、学習するという形で意識を高めたいという学校側からの声で始まりました。昨年、ニオイケア冊子を使って生活指導や養護教諭、部活顧問の先生が指導する形で51校・計20066名、弊社社員が出向いての出前授業を6校・計490名の生徒さんに受けていただきました。汗を拭くボディペーパーを使うのは運動部の学生さんにとっては当たり前のようです。

 今年初めて、高校生のお子さんをもつ保護者向けのセミナーも実施しましたが、スニーカーのニオイをとりたいなど、以前ならあきらめていたことに取り組む意欲を見せる方が少なくありません。最近は、少年向けスポーツマンガでも汗の描写は控えめなものが多いそうですし、汗をかくことに対する意識も変わってきているようです」

 汗やニオイを避ける人々の気持ちと、消臭や除菌、洗う技術の発達が、長年、難攻不落と思われてきた剣道にまつわる汗とニオイにも対抗できるようになった。「あのニオイがしてこそ剣道」という気持ちを密かに抱いている関係者にとっては、ちょっと寂しい時代になってしまったのかもしれない。

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