スパ風、ホルモン、つゆ入りほか 日本全国ご当地やきそば

スパ風、ホルモン、つゆ入りほか 日本全国ご当地やきそば

青森県の黒石つゆやきそば

 行列のできる話題店が登場し、新トレンドも百花繚乱。いま空前のやきそばブームがやってきている。国内外で900店以上、全国47都道府県の店を食べ歩いた、ブログ『焼きそば名店探訪録』管理人の塩崎省吾氏によれば、日本のやきそばの歴史は古く、屋台を経て、大正時代にはすでにソースやきそばを提供する店が東京にあったという。

「戦後の食糧難の中で全国的に広まった。キャベツやもやし、ホルモンなど、地域の特徴的な食材が使われ、その土地ならではの個性を持つ『ご当地やきそば』が誕生しました。近年は町おこしの一環として地方色豊かなご当地やきそばも続々と生まれています」(塩崎氏)

 各地のやきそばは、地元産にこだわる北海道の「オホーツク北見塩やきそば」など、ご当地ならではの個性を打ち出すものが少なくない。オホーツク北見塩やきそばは、日本一の生産量を誇る北見産タマネギとオホーツク産ホタテを使用。北の大地と海の恵みをギュッと詰め込んでいる。

 東日本大震災以降、宮城県の「石巻焼きそば」や福島県の「なみえ焼そば」は、地元を離れた人々が故郷を想う絆の食べ物となっている。石巻焼きそばは、ソースではなく麺の「二度蒸し」で茶色くなる。小魚節の香りが水分を多く含む麺を引き立てる。ソースは卓上でかける。

 一方、なみえ焼そばは約60年前に誕生。極太中華麺を豚バラ&もやしとラードで炒め濃厚ソースで仕上げるパワーフード。薬味は一味唐辛子が地元流。昨年10月には、浪江町役場敷地内の仮設商店街で、なみえ焼そばを取り扱う町おこし団体「浪江焼麺太国」のアンテナショップが営業を開始した。

「ご当地やきそば」は、人々のお腹も、心も満たしている。他にもある日本全国のご当地やきそばを紹介しよう。

 秋田県の「男鹿しょっつる焼きそば」は、主役は伝統調味料「ハタハタしょっつる」。粉末わかめと昆布だしを練り込んだ特製麺を使い具材も海鮮。海の町を存分にアピールする。同じ東北で戦後から親しまれる黒石やきそば(青森県)は、太平麺をウスターソースで焼く。昭和30年代後半につゆをかける店が登場。魅惑的な味わいだ。

 新潟県生まれの「イタリアン」は、昭和35年に新潟市の甘味処「三日月」で生まれた“スパゲティ風”。粉チーズで味付けし、トマトソースをかけて、フォークで食べる。神奈川県の「湯河原坦々やきそば」は、名前から想像がつくように“担々麺風”。練り胡麻や豆板醤を核としたピリ辛味が特徴。地元産レモンや清見オレンジを使う柑橘系、温泉町らしく温玉をのせた温玉系の2派が存在する。

 最後に紹介するのは、鳥取県の「鳥取ホルモン焼きソバ」だ。通称・ホルソバ。昭和30年代から愛される味噌味。プリプリのシマチョウやハチノス、ミノなど、様々な部位が使われる。

※週刊ポスト2017年6月16日号

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