居酒屋の良し悪しはポテトサラダを食べればわかるのか

居酒屋の良し悪しはポテトサラダを食べればわかるのか

ポテサラが旨い居酒屋はハズレなし?

 よい居酒屋に巡りあえるコツはあるのか。ミニコミ誌『酒とつまみ』創刊メンバーの大竹聡氏による週刊ポストの連載『酒でも呑むか』から、よい居酒屋とはどんな店なのかわかる方法についてお届けする。

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 居酒屋の良し悪しは、ポテトサラダを食べてみればわかる。あるいは、煮込みを食えばわかる。そんな話を聞いたことがあります。実にさまざまな店を巡ってきた飲兵衛の、それが結論ということなのでしょう。

 が、私は、あまりピンとこない。ポテサラや煮込みがうまい店は、たとえば〆鯖などもよろしかったりするし、極端な話をするとそういう店は生ビールだってうまい。

 つまり、いいネタを、きちんと管理して、古くならないうちに出す、という基本を大事にする大将なり女将さんなりがいて、その仕事を楽しみに来る客のほうでも、それを理解しているから、いつもおいしい、ということなのではないか。つまみの話だけではなくて、ビールサーバーの清掃がきちんとできているかどうかなど、気になりだすと、店によって大きな差があることもわかる。

 昨今、とても質のいい、おいしい日本酒を飲ませる店が多いが、店のキャパからしたら酒の種類が多すぎやしないかと心配させられる店もある。逆に、昔ある酒場では、開封後はさっさと飲まないと味が変わってしまうからと、常時3本の酒しか飲ませないと言う親父にも会った。

 この店の場合、開封後3日で消費しきってしまうことを品質維持上の目標としていたから、客は、銘柄を選べなかった。本末転倒というものだが、文句を言う客はひとりもいなかったし、私も、そのやり方が嫌いではなかった。

 これからの季節だと、枝豆を頼んだらやっぱり、茹でたてが出てくるとうれしい。それから、ちょっと青臭いくらいのトマトと谷中しょうががあれば万全。季節もの、ということなのだが、その季節にうまくなるものを並べて、ゆっくりと飲みにかかるときほど、気分のいい時刻はない。

 まだ、夕方くらいがいいんです。

「三浦の地ダコ、入りましたよ」なんか言ってもらえたら最高だ。タコブツでひや酒にしよう。

「最後に、タコ飯炊いてよ」

 そんなわがままも言ってみたい。

 7月なら日本海の岩カキ。これまでの最高と思われたのは、象潟(きさかた)のカキで、バーのカウンターで生のままをズルズルとやって、冷たいウォッカを流し込んだ。

 こういう夏の楽しみをあと何回味わうことができるかと考えるようになって、旬ということに初めて目がいくようになった。

 とはいえ、ものの味を云々するのは得意なほうではなく、一見変哲もないつまみに好物は多い。

 煮込みは大宮駅前の大衆酒場がいいし、ポテサラなら武蔵小杉のモツ焼きの老舗。最高ですぜ。また次の機会にじっくりとお話しさせていただきます。

【Profile】大竹聡:1963年東京生まれ。早大第二文学部卒。出版社勤務を経てフリーライターに。2002年仲間と共にミニコミ誌『酒とつまみ』を創刊。著書に『酒呑まれ』『多摩川飲み下り』(ちくま文庫)、『ぶらり昼酒・散歩酒』(光文社文庫)、『ぜんぜん酔ってません』『まだまだ酔ってません』『それでも酔ってません』小説『レモンサワー』(いずれも双葉文庫)、『五〇年酒場へ行こう』(新潮社)などがある。

※週刊ポスト2017年6月23日号

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