アトピー治療のステロイド副作用リスクを減らす療法の実力

アトピー治療のステロイド副作用リスクを減らす療法の実力

アトピー性皮膚炎の最新療法を解説

 アトピー性皮膚炎というのは、乳幼児で発症する外因性アトピーと成人になってから発症することの多い内因性アトピーがある。外因性アトピーは、アレルギーと関係ある免疫物質のIgE抗体を作りやすい体質の乳幼児が、ハウスダストやダニ、食物などに触れることで発症するが、中高生になると治ってしまう場合もある。

 成人の内因性アトピーは、歯科貴金属などが原因で発症し、症状は比較的軽く、女性患者がやや多い。他にも近年、皮膚の角質層にあるフィラグリンというタンパクの遺伝子変異で、アトピーを発症する例も国内で10~27%いると報告されている。

 慶應義塾大学医学部付属病院皮膚科の海老原全准教授に話を聞いた。

「アトピー性皮膚炎の原因は、体質や環境、食生活など患者さん個人で違います。治療に際し、患者さんご自身に症状が悪化する原因を自覚していただくことも大切です。治療は、保湿剤を基本にしたスキンケア指導とステロイド剤や免疫抑制剤タクロリムスなど、抗炎症作用がある外用薬の塗布などで行ないます」

 従来から抗炎症効果のあるステロイド剤などの外用薬を塗布すると症状が軽快するため、その後は薬剤を中止して保湿剤のみを継続する治療が行なわれている。しかし、軽症から中等度の患者の中には、ステロイド剤を中止すると湿疹が再燃する症例が多いため、近年はステロイドの強さのランクを変えずに、間隔をあけて継続するプロアクティブ療法が導入されている。

 これは、もともと湿疹があった部位に、週1~2回抗炎症効果のある外用薬を塗布するもので、再燃を長期に抑えることが可能だ。この施設では、ステロイド剤よりも長期的副作用が少ないといわれる、タクロリムス軟膏も用いて治療されることもある。

「プロアクティブ療法を導入したことで、ステロイド剤の外用量が減るだけでなく、症状のコントロールが良好に実施できる例が増えています。ただ、重症例の場合は、症状が改善するまでの期間だけ免疫抑制剤のシクロスポリンの内服で抑えることもあります」(海老原准教授)

 アトピー性皮膚炎になると皮膚のバリアが崩れ、皮膚のあちこちから黄色ブドウ球菌が増殖してくる。そこで多くの細菌に対し、静菌作用のある、次亜塩素酸ナトリウムを溶かして入浴するブリーチバス療法も実施されている。アメリカを中心に海外では、古くから行なわれている治療法だ。かゆみがある場合は、抗ヒスタミンの服薬を行なうなど、患者の症状や原因に合わせて複数の治療法を組み合わせ実施する。

 アトピー性皮膚炎は、入学や入社など、新しい環境での心理的ストレスや睡眠不足、季節の変わり目に症状が悪化する。また、気温上昇に伴い、汗をかいたまま放置すると雑菌が繁殖し、症状が悪化することもあるので注意が必要だ。

●取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2017年6月30日号

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