薬の「飲み合わせ」は危険なことも 医師に服用薬を伝えよう

薬の「飲み合わせ」は危険なことも 医師に服用薬を伝えよう

注意すべき飲み合わせは?

 歳を重ねるほど、どうしても薬を飲む機会も、その種類も増えていく。そうした日常生活に潜むリスクが「飲み合わせ」だ。

 飲み合わせにより薬の作用が増強したり減弱することは「相互作用」と呼ばれ、医薬品の「添付文書」に書き示されている。

 その一例が、頭痛薬などで処方される「ロキソプロフェン」(代表的な商品として『ロキソニン』がある)と躁うつ病などで処方される躁病薬「炭酸リチウム」の組み合わせだ。薬剤師の堀美智子氏が解説する。

「解熱鎮痛薬として幅広く処方されるロキソプロフェンやイブプロフェンなどは腎臓に負担をかけるため腎機能を低下させることがあります。この影響で腎臓からの排出が抑えられた炭酸リチウムの血中濃度が上がって、中毒症状になる可能性がある。

 実際に私の知る患者で、炭酸リチウム服用中に背中や腰の痛みを訴えて市販の痛み止めを服用し、意識がもうろうとして入院された方がいました」

 注意すべき飲み合わせが生まれやすいシーンはいくつかある。たとえば精神科系で処方される薬だ。駅前の心療内科やクリニックが普及して高齢うつなども増加したことで、精神科系の医療機関を受診する人は少なくない。

「その一方で、他科を受診した際に精神科の薬を服用していることを伝えない患者が少なくありません。そのため、他科の医師が飲み合わせを考慮できず、相互作用のある薬を処方することがある。

 たとえばうつ病で処方される『フルボキサミン』などは注意が必要です。この薬は代謝酵素CYPIA2の働きを阻害しますが、その酵素で代謝される睡眠薬・ラメルテオンと併用すると、ラメルテオンの血中濃度が上がりすぎて問題になります」(堀氏)

 もちろんこの2剤も併用禁忌とされるが、前述したように、患者の自己申告がなければ見過ごされる危険性がある。

 広範囲にわたって別の薬との飲み合わせに注意すべき薬もある。一例が「クラリスロマイシン」や「エリスロマイシン」など「マクロライド系の抗生物質」だ。

 これらは感染症や炎症などで幅広く用いられる一方、併用禁忌や併用注意の薬剤が多いことで知られる。

「睡眠薬として用いられるスボレキサントは、作用が著しく増強されるのでマクロライド系の抗生物質とは併用禁忌です。糖尿病薬として処方されるスルホニル尿素系血糖降下剤も併用すると効果が出すぎて低血糖になり、最悪の場合は意識障害を起こすリスクがある。この他にも抗凝固薬や抗不安薬などとも併用注意になっています」(堀氏)

 リスクがあるのに添付文書に禁忌や注意が記載されないケースもある。「モキシフロキサシン」「シプロフロキサシン」など感染症治療などに使われるニューキノロン系抗生物質と、喘息治療に使われるフェニル酢酸系消炎鎮痛薬は、その一例だ。

「実は、モキシフロキサシンの添付文書には『フェニル酢酸系は併用注意(痙攣の恐れなど)』との記載がある一方、ピランテロールトリフェニル酢酸塩を含む吸入薬にはモキシフロキサシンなどについての注意が記載されていません。こうしたこともまれにあるのです」(堀氏)

※週刊ポスト2017年7月7日号

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