【法律相談】懸賞で当たったグラスにヒビ、取り替えは可能?

【法律相談】懸賞で当たったグラスにヒビ、取り替えは可能?

懸賞トラブルに弁護士が回答

 懸賞でプレゼントが当たったものの、送られてきた商品が破損していたら大ショックだ。応募して当選したグラスが破損していた場合、当選者はもう商品を手に入れることは無理なのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 あるイベントに参加、そこで主催者側が募集していたオリジナルグラスの広告を見つけ、はがきを送ったら当選。しかし、発送状態が悪くグラスにヒビがあり、主催者側に連絡を入れると、「在庫がなく、諦めてもらえませんか」とのこと。こういう場合、やはり商品は断念しなければいけないのでしょうか。

【回答】
 民法には、「ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広告した者は、その行為をした者に対してその報酬を与える義務を負う」という「懸賞広告」に関する規定があります。懸賞広告とは、例えば行方不明者の有力情報提供者に対し、謝礼を支払うというように「ある行為」(指定行為)に対する報酬を支払うものです。指定行為をした者が複数いれば、最初の行為者が報酬を受けますし、同時であれば、分配や抽選が行なわれます。

 しかし、広告で別の方法を決めることも可能です。指定行為が違法なことでなければ、自由に指定できます。となると、イベント会場で応募はがきを出すことを指定行為とし、抽選で当選者を決め、報酬としてプレゼントを渡すとの広告も懸賞広告と理解できます。

 懸賞広告の性格については、契約が成立するとする考え方と広告主の一方的な行為であるとする見解がありますが、いずれにせよ、指定行為者に対し、広告に従った報酬を与える義務を負います。

 あなたの場合も同様で、当選したのですから、主催者は報酬であるオリジナルグラスを渡す義務があります。ただ、これから先が問題です。指定行為に経済的価値等があれば、報酬はその対価です。プレゼントは完全なものでなければなりません。

 ですが、経済的価値のない行為だとプレゼントは一種の贈与です。贈与では贈与者が欠陥を知っていながら、黙っていたときにだけ賠償の責任を負います。主催者が諦めろというのは、この考え方です。それでもイベントに参加し、はがきで応募するという行為をしているのであり、一方的に恩恵を受ける普通の贈与のように考えることはできません。

 よって広告で約束したことであり、懸賞広告の一種だと考えると、主催者には壊れていないグラスに取り替える義務があると思います。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2017年7月21・28日号

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