保険適用外の高額手術 最先端でも効果が出ない治療法も

保険適用外の高額手術 最先端でも効果が出ない治療法も

「高いから効果がある」とは限らない

「負担が少ない」「傷が残らない」「回復が早い」──従来の手術法とは違う最先端手術の魅力はこのように紹介され、日進月歩を遂げる医療技術を待つ患者もメディアも、新たな治療法に期待を寄せる。

 だが、最新の治療法は概して費用が高く、保険適用でないものもある。しかも、治療効果がすべて従来の医療を上回っているとは限らず、むしろ疑問符が付くものも少なくない。

 大動脈にできた瘤が破裂して大出血へとつながる大動脈瘤を、「胸を開かずに治療できる」として注目されている「ステントグラフト内挿術」に対し、今年7月、厚労省所管の医薬品医療機器総合機構(PMDA)が、患者の健康に被害を与える「有害事象」報告をしたのだ。

 内容はステント使用による感染症での死亡例(敗血症)、ステントの長さが足りないことによる大動脈瘤破裂の死亡例などに言及するもので、重篤な事象発生を防ぐために「適正使用」をアナウンスするものだ。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏はこう指摘する。

「開胸外科手術で人工血管に置き換える従来の大動脈瘤治療に代わり、近年ではステントグラフト内挿術が広まりつつあります。

 これは、金網(ステント)を縫い合わせた人工血管(グラフト)を太ももの付け根から血管内に挿入し、患部に移動させて広げて、血管を補強する治療法です。身体への負担が小さいとして注目されていましたが、死亡例などが出てきたことで意外なリスクの高さが判明しました」

 命に関わる事態ではないが、ステントが患部からずれて、再手術になることもよくあるという。

 アメリカでは、内科専門医認定機構財団を中心に、全米74の医学会が賛同して、「チュージング・ワイズリー」という、無駄な医療を撲滅して賢い選択をしようという運動が2012年から始まっている。そのなかでステントグラフトに「効果に不安がある」との指摘が出ている。しかも費用は高額だ。

「手術代が約60万円にステント代が約130万円、1週間程度の入院費や検査費で50万~100万円で、総額250万~350万円になります」(前出・室井氏)

 一定額を超えた医療費が還付される高額療養費制度によって、実際の負担は月額で約10万円になる(年収約370万~約770万円の人の場合)が、「差額ベッド代が入院日数×1万円、再手術、月をまたぐともなれば、合計で100万円近く払うことになる」(同)という。

 最先端の手術であっても、高いわりに成果が出ない(コストパフォーマンスが悪い)治療があるとして、医師で医療ジャーナリストの富家孝氏はこういう。

「病院だって商売です。医者はみんな診療報酬点数を頭に入れて、儲けを考えて治療をしています。

 流行りの腹腔鏡手術だって、点数が高いから奨めるわけです。しかし、腹腔鏡手術は医師による技術差が大きく、リスクも高いので、医療過誤も起きやすいのです。最先端だといってなんでも受けていたら、費用対効果の低い治療を受けることになります」

※週刊ポスト2017年9月22日号

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