Nスぺで話題 臓器はメッセージを発信しているとの衝撃新説

NHKスペシャルで臓器はメッセージを発信との新説を放送 衝撃の新説が大反響

記事まとめ

  • NHKスペシャルの『人体 神秘の巨大ネットワーク』が、大きな反響を呼んでいるという
  • 医学界では脳が臓器に命令するのが定説だったが、Nスぺは臓器がメッセージ発信と公表
  • 脂肪と筋肉もメッセージを発しているといい、iPS細胞研究所の山中伸弥氏も新説を評す

Nスぺで話題 臓器はメッセージを発信しているとの衝撃新説

Nスぺで話題 臓器はメッセージを発信しているとの衝撃新説

衝撃の新説が話題を呼んでいる

 NHKスペシャルで放送中のシリーズ『人体 神秘の巨大ネットワーク』が大反響を呼んでいる。全8回にわたる大型企画だが、最大の驚きは「臓器間のやりとり」が明らかにされたことだ。

 これまで医学界では、「脳」が司令塔となり、各臓器に様々な命令を出して体内をコントロールするという考えが定説で、一般にもそれが常識として受け止められている。

 しかしNスぺでは、各臓器は独自にそれぞれのメッセージを携えた物質(メッセージ物質)を放出し、血管や神経を通じてほかの臓器や細胞などと直接やり取りをする「横のつながり」があると伝えたのだ。

 番組ナビゲーターの京都大学iPS細胞研究所・山中伸弥教授も、「自分が学生だった30年前にはまったく教わらなかったこと」と、その新発見を評した。

 Nスぺでは体内のそうしたシステムを、「臓器間ネットワーク」と定義し、中でも「寿命を左右する要の内臓」として取り上げたのが腎臓だ。番組に出演した自治医科大学分子病態治療研究センター抗加齢医学研究部の黒尾誠教授が解説する。

「体内に酸素が不足すると、腎臓は『エリスロポエチン(エポ)』というメッセージ物資を放出します。これを骨髄が受け取ると、酸素を運ぶ赤血球が増産されて、酸素が体内に行き渡る。

 また血圧が低い時は腎臓から『レニン』というメッセージ物質が放出され、アンジオテンシンIIという物質が生み出されます。これが血管を収縮させて血圧を調整します。骨を丈夫にする『活性型ビタミンD』の放出も腎臓の重要な作用です」

 生命活動の源である心臓は「ANP」(心房性ナトリウム利尿ペプチド)というメッセージ物質を放出する。この物質を世界で初めて発見した国立循環器病研究センター・研究所担当理事の寒川賢治氏がいう。

「血液量が増えたり血圧が上がることで心臓に負担がかかると、心房細胞からANPが放出されます。腎臓がこれを受け取ると、尿の量を増やして血液を減らし、心臓の負担を軽くします。またANPが血管に作用すると血管が拡張して血圧を下げる作用もある」

 ANPのもう一つの重要な働きは「血管の保護」だ。

「心臓から放出されたANPには、炎症で傷んだ血管を保護・修復する働きがあります。血管内に炎症があるとがん細胞が付着しやすくなるため、ANPにはがんの転移・再発を防ぐ効果も期待されている」(寒川氏)

◆臓器はもはや単なる「部品」ではない

 一般的には「臓器」とは捉えられていない体組織も、Nスぺは臓器間ネットワークにおいて重要な位置を占めると紹介した。重量にして人体の7割を占める「脂肪」と「筋肉」だ。

 脂肪が放出する重要なメッセージ物質が「レプチン」である。東北大学大学院医工学研究科の永富良一教授が指摘する。

「食事をして脂肪細胞に糖や脂肪が取り込まれるとレプチンが放出されます。これが血管を通じて脳の視床下部に届くと、『もう食べなくていい』という指令が出て食欲が抑制されることがわかっています」

 筋肉は必要以上に大きくなった際、「ミオスタチン」というメッセージ物質を放出し、筋肥大を防止する。また運動すると筋肉から放出されるメッセージ物質が脳に働きかけ、活性化させるという研究報告もある。

 こうしたメッセージ物質の働きがさらに解明されていけば、従来とは全く異なる医学の在り方も生まれてくるだろう。

 これまでの常識では、各臓器は人間というマシンを円滑に動かすいわば「歯車」と考えられており、互いに“意思”を持って影響しあうとは考えられていなかった。しかし、各々が補完しあう関係となれば、単なる「部品」とはいえなくなる。

※週刊ポスト2017年11月24日号

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