医師の働き方改革 導入で主治医がコロコロ変わる状態に

医師の働き方改革 導入で主治医がコロコロ変わる状態に

間もなく医師の働き方改革が始まる

 政府は今国会で「働き方改革関連法案」の成立を目指しているが、なかでも注目を集めるのが「医師の働き方改革」である。激務で知られる医師の労働時間削減はかねて課題とされてきたが、これまでは医師不足に悩む病院の事情もあってなかなか実現しなかった。医学界が時代の流れを受けて医師の労働時間削減に踏み切ったのは、一大転換だといえる。

「働き方改革関連法案」は、早ければ2019年度にも施行されるとみられており(医師の場合は2024年まで、5年間の猶予期間がある)、医師の時間外労働は原則、月45時間に制限される予定だ。現行では労使協定(三六協定)を結べば、時間外労働は無制限だったが、これも月平均60時間(単月で100時間未満)までに制限されることになる。

 残業100時間というのはかなりの“過重労働”だが、現実の医師の勤務実態は限りなく“ブラック”だと医療ジャーナリストの油井香代子氏は指摘する。

「厚労省の資料(2017年8月)によると、1週間の労働時間が60時間を超える雇用者全体平均が14%なのに対し、医師は41.8%と職種別で最も高い割合になっています。月換算すると、残業が80時間を超えている医師が4割以上という計算になります」

 この状況を是正するために「医師の働き方改革」が進められているわけだが、この改革は患者側にも大きな影響を及ぼすことになる。

 医師の残業を減らすための方策として挙げられているのが「複数主治医制」だ。複数の医師でチーム医療体制を敷いて患者を診る方式で、シフトの時間を短くするなどして休みを取りやすくする。これを導入した病院では“主治医がコロコロ替わる”状態になる。東北地方の公立病院に勤務する現役医師は、複数主治医制についてこう語る。

「治療効果には、医療的な技術だけでなく、医師との相性や医師への信頼感といったものも影響を与えるので、担当医師の数が多くなるほど難しい面が出てくる。医師は患者の不安感に対するケアを増やす必要があり、結局、労力が増える。あるいは適切な治療効果が出にくいということになりかねない」

 複数の主治医のなかに、自分に合う医師がいたとしても、その医師が週3日しか勤務していなければ、それに合わせるしかない。

※週刊ポスト2018年5月25日号

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