不倫はいけないと分かっているのに抗いきれないワケ

不倫はいけないと分かっているのに抗いきれないワケ

なぜダメだと分かっているのに…

 男性芸能人の不倫が世を騒がすたびに、「やはり男は浮気をしたがる生き物なのだ」という声が聞こえてくる。しかし、相手女性は、なぜ“いけない”とわかっていながら不倫関係に陥ってしまうのか。心療内科医の田中奏多氏によれば、男性と女性では動機が大きく異なるという。

「男性は『自らの性的欲求』を満たすために不倫しがちですが、女性は『相手の魅力』ゆえに不倫関係に足を踏み入れてしまうパターンが多い。未婚女性が既婚男性と不倫する場合は、このケースが目立ちます」

 そのため、不倫に対する「罪の意識」の度合いも変わってくると指摘するのは、精神科医の高木希奈氏だ。

「男性は結婚と恋愛を完全に分けて考えていることが多いため、罪の意識が薄いのでしょう。一方、未婚女性は、『いけないことをしてしまっている』という罪の意識があるからこそ、不倫相手がより魅力的に見え、気持ちが燃え上がってしまうことがあるのです」

 その心理を高木氏はこう分析する。

「見てはいけないと言われると見たくなる、ボタンを押すなと言われると押したくなるのと同じで、禁止されているからこそ、その行為をしたくなる心理作用は『カリギュラ効果』と呼ばれます。さらに危険度が増すほどに気持ちが燃え上がる『吊り橋効果』によって、後戻りできなくなってしまう。未婚女性ほどこの心理状況に陥る傾向があります」(高木氏)

 証券会社勤務の夏美さん(仮名・33)は20代前半の恋愛を上司との不倫に費やした。

「学生時代の彼とはまったく違う、逞しさと優しさに惹かれました。連れていってくれるお店も高級なお店ばかり。今にして思えば、小娘の私は都合よく騙されたのかな。でも当時は、“好きになってしまったんだからどうしようもない”と開き直っていました」

 同僚たちと一緒に、不倫相手の自宅を訪れたこともあったという。

「奥さんに会えば後ろめたさを感じてこの関係を終わりにできるかなと思いましたが、そんなことはなかった。むしろ不思議な優越感を感じてしまいました」

 高木氏によれば、こんなタイプの女性もいるという。

「自己憐憫が強いタイプは、不倫関係ゆえに会いたいときに会えないといった状況が『私って可哀想』という思いに拍車を掛け、ますます自分の感情を盛り上げてしまうこともあります」(高木氏)

 では、どんなタイミングで不倫は終わるのか。長年にわたって不倫問題を取材してきたライターの亀山早苗氏によれば、独身女性の場合、不倫相手が「家族を優先したことを改めて感じて」別れるケースがほとんどだという。

「別れた理由は奥さんの病気を理由にデートをドタキャンされたことです。『妻よりも君のことを愛している』と言ってくれていたのに……」(20代女性)

 一方、既婚女性では、女性が自ら関係を解消するケースがほとんどだと亀山氏は話す。

「女性は不倫関係にのめりこんでしまい、不倫相手のことしか見えなくなるというのは、男性の思い違いであることも。女性の場合『子供への罪悪感』や相手への気持ちが冷めて別れを決断することも多いのです」

 フィンランドの研究では、男性は不倫率が上がると離婚率も同様に上がるのに対し、女性の場合は、不倫率が上がっても離婚率は上がらないという結果が出ている。

「既婚女性は不倫相手と最終的に一緒になるケースは少なく、夫に戻るケースが多い。既婚女性の不倫は、『不倫相手の魅力』に加え、『夫、家庭、結婚など現在の不満』があることで複合的に始まります。しかし、女性は夫や家庭、社会に対する『罪悪感』が最終的に勝る場合が多く、そのため不倫相手との関係を終わらせる人も多いのです。家族との関係を犠牲にしてでも不倫の刺激を求める人は少ないということなのでしょう」(田中氏)

 いずれにしても、女性たちが男性のように単純な欲望だけで動いているわけではないことは確かなようだ。

※週刊ポスト2020年7月24日号

関連記事(外部サイト)