ウィズコロナの日々「後遺症のようなもの」に悩まされる人も

ウィズコロナの日々「後遺症のようなもの」に悩まされる人も

7月15日、小池百合子・東京都知事は「『感染拡大警報』を発すべき状況」と都民への注意を呼びかけた(AFP=時事)

 脳梗塞で倒れた人が回復したものの手足に麻痺があるなど、病気やケガが治ったあとに影響が残る症状のことを「後遺症」という。比喩的に、事件や天災などの出来事のあとに残された影響のことも後遺症と呼ぶが、新型コロナウイルスでは生理的な症状と社会的な影響の両方の後遺症を残す恐れがあると言われている。ライターの森鷹久氏が、まだ未確定な「後遺症」のようなものに悩まされる人たちが日常に戻れない様子についてレポートする。

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 西日本在住の会社員・田村裕一さん(仮名・40代)は、今年5月に新型コロナウイルスの感染が分かった。咳と微熱があったものの、感染経路もはっきりとしていたことから、病院に2週間ほど入院し、さらに自宅で2週間の経過観察を経て、医師からは「日常生活に戻っても構わない」とお墨付きをもらった。だが…。

「会社に行こうにも、上司も同僚も部下もいい顔をしませんよね。とりあえずリモートワークで、と言われるんですが、私の仕事、現場の施工管理なんですよ。自宅でやる事もないし、いや、現場が稼働してないもんだから、どちらにせよ…」(田村さん)

 緊急事態宣言の解除後、田村さんの会社でも徐々に業務が再開された。感染と入院、退院からすでにまる2ヶ月が経ち、そろそろと思っていた田村さんに追い討ちをかけたのは、微熱と頭痛である。

「夜になると、37度台の熱が出て、偏頭痛のような痛みを感じるようになりました。コロナ前にはこういったことはなく、後遺症かと医師にも問い合わせたのですが、よくわからない。上司に正直に話すと、やっぱり来てくれるなとなって…」(田村さん)

 二人の子供と、専業主婦の妻と四人暮らしの田村さん。すでに会社に行かなくなって3ヶ月が経った。収入面や会社を解雇されるのではないかという不安、さらに「まだ完治していないのではないか」という疑い、家族にもうつしていないかという懸念が重くのしかかっているという。

 神奈川県在住の飲食店店員・城内まり子さん(50代)も、今年6月に新型コロナウイルスに感染。症状はほとんどなかったというが、城内さんが何よりも悔やんでいるのは、自らが知人にうつしてしまった可能性があることである。

「十年来の友人と食事をしたんです。まさか私たちがかかるわけがない、かかっても死にはしない、そんな軽い気持ちでした」(城内さん)

 食事の一週間後に、職場同僚の感染が発覚。濃厚接触者である城内さんも、検査の結果陽性だった。

「保健所や病院から聞き取りを受けて、知人と食事をした事も話しました、知人にはごめんね、とメールをしていいたのですが、まさかかかってはいないだろう、うつしてはいないだろうと思っていました。後日、知人の結果も陽性だとわかり、本当になんて事をしたのだろうと涙が止まりませんでした」(城内さん)

 城内さんの友人、実は夫に先立たれ、認知症気味の母親と二人暮らしだったため、親族を呼び寄せたり、デイサービスを探したりと大変な苦労をしたという。

「知人は『気にしないで』と言ってくれましたが、気にしないわけがない。私のせいですから…。退院してからも、本当に治っているのか、また再発するのではないかと思うと、家から出られない。家族にうつしてしまい、家族が辛い思いをしたらと思うと、部屋からすら出られない。夫が心配して、心療内科に連れて行ってくれたりしましたが、側から見ると、私はそういう状態なのかとショックでした」(城内さん)

 いまだ有効なワクチンもなく、症状の全貌、後遺症の有無など、わからない事だらけの新型コロナウイルス。疑心暗鬼になる人々が増え、ますます萎縮してゆく社会生活。仮に有効ワクチンが開発されたとしても、一度形成された人間感情や社会通念が以前のように元通りになるには、より多くの時間がかかりそうだ。

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