ギネス記録保持者「90歳ゲーマーおばあちゃん」の若さの秘訣

ギネス記録保持者「90歳ゲーマーおばあちゃん」の若さの秘訣

90代とは思えないコントローラー捌き

 近年、「ゲーム」をテーマにしたテレビ番組やインターネットコンテンツが大人気だ。中でも異色の経歴から注目を集めているのが「ゲーマーグランマ」である。なんと御年90歳。最高齢ゲーム実況者としてギネス記録を持つ彼女が、プロゲーマー顔負けのコントローラーさばきで最新ゲームをプレイする動画は40万人以上のファンがチャンネル登録している。プロゲーマー・すいのこ氏が、彼女の魅力に迫った。

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 近著『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』の原稿執筆を進めていた5月中旬。なんとなく筆が進まなくなり、気晴らしにネットサーフィンをしていたところ、とあるニュースが目に留まった。

「90歳のおばあちゃんゲーム実況者『ゲーマーグランマ』こと森浜子さん、ギネス世界記録『世界最高齢のゲーム実況者』に認定」

 凄い肩書きだ……。このスーパーおばあちゃんは一体、何者なのか。新型コロナウイルスによる影響で外出自粛が続いていたうえ、東京都も非常事態宣言下にあったため、ビデオ通話アブリ「Zoom」で話を聞いた。

 通話画面に現れた森さんは、とてもお淑やかな出で立ちをしており、後ろに飾られた調度品も綺麗なものばかりで、気品に満ち溢れた方だった。

「初めてゲームに触ったのは今から39年前だったかしら。私の子供も大人になって巣立っていって、自分の時間を自由に使えるようになった頃かな。たまたまおもちゃ屋さんに行った時に、小さい子供がゲームで遊んでいたんです。何だろう、って気になっちゃって、試しに遊んでみたら一気にハマっちゃった。確かその時に遊んだのは『カセットビジョン』ってゲーム機だったんですが、ぴょんぴょん跳ねたり、弾を撃つだけのシンプルなゲームだったし、ストーリーとかもありませんでした。だから正直、内容はあまり記憶に残っていないんですけどね」

 特に記憶に残ったゲームについて聞くと、こう語った。

「たとえば『天外魔境 ZIRIA』とか『カトちゃんケンちゃん』とか。『ゼルダの伝説』は特に感激しましたねえ。登場するキャラクターがかわいくてかわいくて。動いているキャラクターたちが動くのを見ていて、『かわいい〜』って叫びながらやっていました。あのゲームは特に記憶に残っています。あれは最高でした。

 最近のゲームは映画のように没入できて素晴らしいですね。『SKYRIM』とか『DAYS GONE』とか、あとは『Grand Theft Auto』とか。最初は操作とか上手くいかないんですけど、攻略本を買って頑張って操作を覚えていると、だんだん上手くなっていく。ゲームに限らないと思いますが、最初はダメでも、続けていると楽しくなって、そのうちなんとかなるもんですよ」

 好奇心旺盛な森さんが、ひとりでゲームを遊ぶ枠組みから飛び出て、「ゲーム実況者」になるのは必然だったのかもしれない。
 
「初めてYouTubeに動画を投稿したのは、もう5年くらい前になりますね。その時に出した動画が『SKYRIM』だったんですが、当時はもう本当に下手で。恥ずかしいから嫌だ、出したくないって気持ちと戦いながら投稿しました」

 そう語る森さんだが、今では他の動画投稿者に全く引けをとらない立派なプレイを披露している。印象に残っているのは、『Grand Theft Auto V』の実況動画内で、ヘリコプターを巧みに操作してミサイルを射出、観覧車に隠れるターゲット(敵)を爆破して「はい、できました」と呟くシーンだ。

「動画を投稿するようになったおかげで、多くの方から反応を聞くことができたのがとても嬉しいです。YouTubeは特に若い方が多くて、そういった方のコメントが読めるようになったのが最高ですね。『体に気を付けてね』とか『無理しないでね』なんていわれると、あぁ、まだ私、もうちょっと死ぬわけにはいかないやなんて思わせてくれますね。神様、もうちょっとだけお願いしますって(笑)」

 これだけゲーム実況を続けていられるバイタリティのタフさは一体どこからくるのだろうか。元気の秘訣を聞いてみた。

「ゲームって指をたくさん動かすでしょう? 私も毎日3時間はゲームするんですよ。下手でも毎日触ります。日課みたいなものですね。それがやっぱりいい手慣らし≠ノなるんじゃないかなって。老人ホームでも皆さん手の運動をなさっているんですよ。やっぱり手を動かすのが大事なんじゃないかな。ボケ防止って意味でも。

 やっぱり好きなことを見付けてそれを楽しむのが一番ですよ。私にとって、ゲームがそれでした。好きなことを見付けるためには、いろいろなことにチャレンジしてみること。これからは、見てくれた方が喜んでくれて、『グランマみたいになりたい』っていってもらえるような人になりたいですね。

 そのためにも、これからもたくさんのゲームを遊びたい。幸せですよ。今、最高にね」

【プロフィール】すいのこ/1990年、鹿児島県生まれ。プロゲーマー。本名・桑元康平。鹿児島大学大学院で焼酎製造学を専攻。卒業後、大手焼酎メーカー勤務を経て2019年5月より、eスポーツのイベント運営等を行うウェルプレイド株式会社のスポンサードを受け「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのプロ選手として活動開始。近著に『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』。

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