短すぎる夏休み 学校と塾の両立に中学受験生の親たちが悲鳴

短すぎる夏休み 学校と塾の両立に中学受験生の親たちが悲鳴

夏休みが短くて中学受験生は大変

 新型コロナの感染拡大によって、全国的に「学校の夏休み」が短縮されている。それによって大きな影響を受けるのが、来年2月に入試を控える小学生6年の子供がいる家庭だ。例年にはない学校と塾の夏季講習の両立──あまりの“ハードスケジュール”に、悲鳴も聞こえてくる。小学6年生の娘を持つ都内在住の40代会社員Aさんはこう嘆く。

「娘は御三家クラスを目指して頑張っているのですが、コロナの影響で夏休みが短いから、学校から帰ってきた後に、塾の夏期講習に行くという日が続きました。学校の宿題をやりながら、塾の予習・復習もしなくちゃいけない。妻と一緒に娘の顔色や体調に注意を払うようにしてはいますが、気力と体力が持つのか心配で……」

 文部科学省の調査によれば、新型コロナによる休校が長期に及んだことを受け、公立学校の夏休みなどを短縮する対応を取った自治体は全体の9割以上を占める。例年であれば7月20日頃に1学期の終業式があり、8月末までの約40日間が夏休みとなるが、今年は東京23区の区立小中学校で16〜31日間(区によって異なる)と大幅に短縮されている。

「うちの娘の小学校の夏休みは8月1〜23日です。ただ、受験生にとって夏は天王山ですから、塾も夏期講習はなるべく例年通りのコマ数が確保できるように日程を組んでいて、7月20日頃から夏期講習が始まっているんです。平日は14時か15時くらいまで学校があり、帰ってきたらすぐに塾に行って、17時から20時くらいまでみっちり授業がある。翌日も朝から学校なのに、21時くらいに家に帰ってきて、食事、風呂などを済ませると寝るのは23時近くになります」(Aさん)


 自身も約30年前に中学受験に挑み、都内の難関校に合格した経験を持つAさんは、これまでは口を酸っぱくして「塾にいる時間だけ勉強しても意味がない。家での予習と復習を欠かしてはいけない」と娘に教えてきたという。

「ただ、さすがにこのスケジュールが何日も続くと、遅くに家に帰ってきたところで“机に向かいなさい”とは言えません。支える親の側も負担も大きいです。学校から帰ってきたタイミングで何か軽食を用意してあげないとお腹が空いてしまうだろうし、帰りは遅いから迎えにいってあげないといけない。うちは共働きで、夫婦ともに日によって出社したりテレワークだったりする職場なので、その日に都合のいいほうが娘をサポートするようにしています」(Aさん)

 そうしたなかで、「学校を休ませる」という判断をする家庭もある。小学6年生の息子がいる都内在住の40代女性Bさんはこう話す。

「色々と悩みましたが、7月の最後の1週間は学校をお休みさせることにしました。コロナの休校があって1学期は友達と一緒に過ごせる時間が少なかったので、かわいそうではありますが、夏は学力の基礎を固められる最後のチャンスだと聞きました。息子は体力に自信があるタイプではないので、この暑い時期に無理して学校と塾を両立しようとして、体調を崩しては元も子もありません。学校の先生には『家庭の事情』とだけ説明しました」

 ポストコロナの受験生家庭は、これまでにない問題に直面し、難しい判断を迫られているのだ。近著『中学受験生に伝えたい勉強よりも大切な100の言葉』が話題の教育ジャーナリスト・おおたとしまさ氏はこう指摘する。

「何より注意しなくてはならないのは、中学受験生たちに例年以上のストレスがかかってしまっていることです。受験勉強に十分な時間をかけられないのもつらいし、そのために学校を休むのもつらい、どちらにしてもストレスフルです。時間が限られるという前提は変えられませんし、どう行動するのが正解なのかは各家庭によって異なるでしょう。何のために中学受験をするのかを忘れないようにしながら、何を優先するかを決めていってほしい。どうやって子供の勉強量を増やすかという観点だけでなく、どうすれば子供がストレスを感じずに勉強に取り組める環境がつくれるかを意識するべきだと思います」

 受験勉強の天王山が新型コロナの感染拡大に重なってしまった小学6年生とその親たちにとって「試練の夏」が続く。

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