誰もが“近藤サト”にはなれない! グレイヘアの落とし穴

誰もが“近藤サト”にはなれない! グレイヘアの落とし穴

グレイヘアで注目を集めた近藤サトアナ

「グレイヘア」が流行語大賞にノミネートされたのは、2018年のこと。白髪をあえて染めず、年齢を重ねたありのままの自分を受け入れるスタイルだ。テレビや女性誌でも「グレイヘア」特集をたびたび目にするようになって、個性を大切にする洗練された女性たちが取り入れているイメージが定着しつつある。

 50代を目前に髪を染めることをやめて「グレイヘア」にした、フリーアナウンサーの近藤サトさんが一躍脚光を浴び、白髪が気になる大人世代にとって、「グレイヘア」がおしゃれの選択肢のひとつとして確立されてきたといえる。その凛としたたたずまいや、年齢に抗わない潔さ、芯のある生き方を支持する大人世代の女性も多い。

 だからといって、近藤サトのような美しいグレイヘアは、誰もが簡単に手に入れられるわけではない。

「グレイヘア」を手に入れるためには、移行期の“みそぎ”を通過しなければならない。白髪染めを止めた白黒ツートンヘアの時期を耐えられるかどうかが最初のポイントになるわけだ。白髪はもはや老いの象徴ではない、と世間の目が寛容になったとはいえ、根元の白髪と染めた部分の黒髪の境目が気になるもの。ついつい「染めなくては!」と義務感に駆られ、また白髪を染めて憧れの「グレイヘア」から遠ざかってしまう、なんてこともあるようだ。

 しかも、白髪を放置するだけでは、“若々しさを諦めてしまった人”に見えかねないという。毛髪診断士・毛髪技能士の資格を持ち、『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』の著書もある美容ジャーナリストの伊熊奈美さんが、理想の「グレイヘア」を手に入れるために注意したい6つのポイントをアドバイスしてくれた。

●白髪に残る黄ばみは“古ぼけ感”の元凶

「一見真っ白に見える白髪ですが、日本人の白髪はメラニンの影響で大抵黄色っぽさが残っていることが多いのです。この黄ばみがあると、その人全体を包むオーラまで古ぼけて見えて、清潔感が失われてしまいます」(伊熊さん。以下同)

 美容院に定期的に通って色のメンテナンスが必要となるほか、黄ばみを抑えるシャンプーを使うなど日頃からお手入れをする必要があるそうだ。

●ごわついたツヤのない白髪は“ヤマンバ”に

「白髪は毛髪の内部成分が偏っていたり、水分自体も不足していたりするので、うねった毛であることが多いものです。ごわつきやすく、まとまりが悪くてツヤがないのに、美容院にも行かずに伸ばしっぱなしでは、“ヤマンバ”になってしまいます」

 トリートメントで保湿や補修したり、ブローをしたりと、手をかけてツヤを保つことが求められるという。そういわれてみると、近藤サトの髪もツヤツヤなことがわかる。

●40代以上に多い「髪のボリューム感」もネックに

 40代以上の髪の悩みは、白髪とともに「薄毛」も多い。分け目がくっきりしたり、髪が細くなったり、立ち上がりがつぶれて地肌が透けがちだ。

「白髪が多い人は、髪が硬く毛量のある人が多いといわれますが、40代以上になると髪の多い人でも、横には広がって多いわりに頭頂がペタンとしている、ということもあります。美容院のヘッドスパなどで定期的に毛穴の汚れを取り、マッサージをするなど、ケアを心がけたいものです」

 髪のボリューム感をキープしないと、「グレイヘア」は貧相に見えてしまう恐れがある。

●長さも重要なポイント。清潔感が決め手

 さらに、「ダウンスタイルにしたいのなら、長くても肩ラインのボブまで」と伊熊さん。

「フランス在住のファッションデザイナー・島田順子さんのように頭の高い位置に大きなおだんごを作ってまとめておけば素敵ですが、ロングのグレイヘアでダウンスタイルとなると、完璧なブローをしても清潔感が出づらく、なぜか顔のしわやたるみなどのエイジングサインに目がいってしまいがちになります」

 ロングにするなら、基本的にはまとめ髪でこざっぱりと清潔感を保った方がよさそうだ。

●「グレイヘア」を得意とする美容院が意外と少ない

 美容院はどちらかといえば、染めるほうが得意なところが多く、信頼できる美容院を探すのはなかなか難しいという。また白髪はパーマがかかりにくいという。

「白髪は一般的にパーマがかかりにくいため、強めの薬剤を使うことがあります。髪の傷みが気になってカラーをやめたのに、パーマで髪が硬くなったり、傷んでしまったら意味がありません。だからこそ、グレイヘアの扱いが得意な信頼できる美容師に頼むことも大切」

●以前の服が似合わなくなる可能性も

「グレイヘアになると、染めていたときと同じ感覚で服を選んでいると十中八九、年齢以上に老けて見えます。一方、クリアなグレイヘアなら、赤や黄色、パステルトーンなど明るい色の服が似合うようになります。全身黒でパキッとさせてもモード感があって素敵です。真っ赤な口紅と縁が際立つメガネなどを取り入れればアーティスティックな雰囲気にもなります」

 こうしたファッションとの兼ね合いは、こなれていないと至難の業。すぐに確立できるものではない。「グレイヘア」にしたら、足の先まで全体をトータルに整える努力が求められるとも言える。ありのままの自然体で美しく見せるとは、かくも大変なことなのだ。

「装うことが大好きで投資を惜しまない人なら、グレイヘアは大人っぽく、個性的な雰囲気で素敵です。でも、ヘアもメイクも服も気を遣っていないと清潔感がなくなり、ほっこりおばあちゃんに見えかねません。ご近所服でカジュアルなライフスタイルがメインなら、グレイヘアにしたときのファッションをシミュレーションして、毎日のくらしにそれがフィットするか、少し考えてみましょう」

 白髪を染めるよりラクそうというだけで安易に「グレイヘア」に手を出すと、こんなはずでは……ということにもなりかねない。自分のライフスタイルに合っているか、そして持続可能かどうか、じっくり検討した方がよさそうだ。

【プロフィール】伊熊奈美(いくま・なみ)/美容ジャーナリスト。日本毛髪科学協会毛髪診断士・認定講師、国際毛髪皮膚科学研究所毛髪技能士。1972年静岡県浜松市生まれ。地元タウン誌の編集記者、女性誌編集部の美容担当などを経て、フリーランスに。近著に『いい白髪ケア、やばい白髪ケア』がある。

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