神奈川県立歴史博物館【2】平安時代の仏像見た壇蜜「表情がリアル」

神奈川県立歴史博物館【2】平安時代の仏像見た壇蜜「表情がリアル」

南北朝地代『夢窓疎石坐像』複製、原品:鎌倉市・瑞泉寺(重要文化財)※通常撮影不可

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜。日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は神奈川県・横浜市の神奈川県立歴史博物館の第2回。2人が常識を覆す超絶リアルな新感覚レプリカを見て回る。

壇蜜:こちらの仏像は表面にノミの跡が波打つように浮き出て、美しいですね。

山下:鉈彫と呼ばれる日本独特の手法です。国内でも関東や東北の文化で、平安時代に造られた『薬師如来及び両脇侍像』は鉈彫でも古い作例。ちなみにこちらは木ではなく合成樹脂でできた複製です。

壇蜜:ええっ!?(近寄って見て)間近でも木に見えます……。『夢窓疎石坐像』の表情は生身のようで、違う意味でまたリアルです。

山下:夢窓疎石は鎌倉〜南北朝期に生き、作庭など才能豊かな禅僧でした。生前に最晩年の姿を写しているため、偶像化されることなく実像に近いとされます。

壇蜜:円覚寺の舎利殿は有名な国宝建造物ですね。内装に施された木組が、ため息がでるほど緻密です。

山下:円覚寺の保存工事を担う工務店が作った芸術的な木組の展示です。一般公開されていない舎利殿が実物大で復元されています。

壇蜜:実物では拝めない場へ足を踏み入れ、複製だからできる貴重な体験です。鉈彫の仏像にレプリカを偽物と括る感覚はもう古いと感じましたし、神奈川県立歴史博物館で複製の概念がガラリと変わりました。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●神奈川県立歴史博物館
【開館時間】9時30分〜17時(最終入館は閉館30分前まで)※開館状況はHPにて要確認
【休館日】月曜(祝日の場合は開館)、年末年始(12月28日〜1月4日)、資料整理ほか臨時休館あり
【入館料】一般300円※特別展は別料金
【住所】神奈川県横浜市中区南仲通5-60

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号

関連記事(外部サイト)