人間が月で生活するための第一歩!?月の土壌で植物を栽培する実験が始まる

人間が月で生活するための第一歩!?月の土壌で植物を栽培する実験が始まる

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ここ数年、宇宙開発の分野の技術が大いに進歩してきている。スペースX社やブルーオリジン社など、民間のベンチャー企業が宇宙開発分野に参入し、結果を出していることもあって宇宙への距離がどんどん縮まっているといっても過言ではない。

 そんな宇宙開発の分野で計画として浮上しているのが、いよいよ月面や火星に基地を造って定住させるというものだ。

 SFの世界には月面基地が普通に存在しているが、実際には建設から定住まで多くの科学的・技術的なハードルがある。だが、NASAをはじめ多くの国や研究機関が月面基地の実現に向かって計画を建てているのだ。

 例えばNASAは2024年以降を目標とした月面着陸計画「アルテミス計画」を発表(のちに2025年以降に目標を延期)しており、これは過去の月面基地建設構想を下敷きにしたものである。また、中国国家航天局とロシア連邦宇宙局は2030年までにILRS(International Lunar Research Station、国際月面研究ステーション)と呼ばれる基地を共同で開発すると宣言している。

 さて、月面に人類が滞在するようになると気になってくるのが水や食料の供給問題だ。不毛の地である月面に人が長期滞在する場合、地球からの補給だけでは間に合わないことも考えられる。月面基地を起点に人類が移住することも考えると、月面でどうにかして水や食料を確保する方法を考え出す必要が出てくる。月面で野菜などを栽培できれば自給自足できるのだが、そんなことは可能なのだろうか?

 そこで実際に「月の土」を用いて植物を栽培してみるという実験が行われた。この実験はアメリカのフロリダ大学主導で行われたもので、アポロ11号、12号、17号のミッションで採取された月の土にシロイヌナズナ(Thale Cress)の種を植えてみた。その結果、草はちゃんと成長したものの発育に時間がかかり、根の発育不良や色の変化など、ストレスの兆候も見られたという。

 この研究の共著者であるスティーブン・エラルド教授は「月面は水、炭素、窒素、リンが非常に乏しいので、当然ながら月の土壌には植物の成長を支える栄養素はない。物理的な特性もまた、ひどく住みやすいとは言えない」としている。月の土は非常に細かい粒子であり、その断片が「かなり鋭利で研磨性がある」上に地球の土壌には現れないガラスや鉄を含む。地球の植物は「月の土壌の中でうまく育つように進化していない」ので、そのまま持ち込んでも育成は難しいようだ。

 しかし、ロンドンの自然史博物館の植物学の研究者であるサンドラ・クナップ博士は「多くの植物には有毒な環境に適応する能力があるため、長い時間をかければ、植物は確実に繁栄するために土壌を変化させることができる」と示唆している。もし植物が月面の条件下で生育できるようになれば、理論的には月の土壌も変えることができるというのだ。

 今回のプロジェクトを率いたロバート・フェル教授は「人類が文明として移動するとき、私たちは常に農業を行ってきました。これは月面でも非常に重要になるでしょう。月面で植物をうまく育てることができれば、自分たちに必要な食料を育て、空気を浄化し、水をきれいにすることができます。月の土で植物が育つことを示すことは、月面コロニーを建設するための大きな一歩です」と語る。

 将来的には、基地で生活する宇宙飛行士が月面で栽培した作物を用いてサンドイッチを作ることができるよう、専門家たちは植物の発育についてさらなる研究を計画しているという。

山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中
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