トトメス3世がUFOを目撃していた!古代エジプトの「トゥリ・パピルス」

トトメス3世がUFOを目撃していた!古代エジプトの「トゥリ・パピルス」

エジプト・王家の谷

世界各地の言い伝えで時折、まるでUFOや宇宙人がやってきたとしか思えない描写が出てくることがある。日本の伝説では「虚舟の蛮女」の話が一番有名だろう。他にも中世の宗教絵画でも、まるでUFOのような「人が乗り込み、空を移動する球体」が描かれることもあり、これもUFOとの関連性がささやかれたりする。

 だが、歴史をさかのぼればもっと古い記録も存在する。例えば、紀元前1440年の古代エジプトで、当時のファラオであるトトメス3世の書記官が記録したとされる報告書によると、下エジプトの上空に「火のような円盤」が浮かんでいるのが目撃されたという。

 この記録は、1933年にバチカン美術館のエジプト部門のディレクターであったアルベルト・トゥリがカイロの骨董品店で発見した、いわゆるトゥリ・パピルスに記録されていたもの。当時、トゥリ氏はその店からオリジナルのパピルスを買う金を持ち合わせていなかったため、代わりにヒエログリフの文字を写し取った。

 その後、エジプト学者のボリス・ド・ラシェヴィルツ公がヒエログリフを転写・翻訳し、パピルスの内容がトトメス3世の年報の一部であることが判明。人類学者のR・セドリック・レナードによって、より分かりやすく翻訳された文面は次のようなものであった。

 「22年、冬の第3の月、昼の6時、生命の家の書記たちが、奇妙な炎の円盤が空からやって来るのを目撃した。それには頭がなく、その口の息は悪臭を放っていた。その体は長さ一竿、幅一竿であった。また、声もなかった。それは陛下の家に向かっていったので、彼らは混乱し、地面に腹ばいになった。彼らは王のところに行き,それを報告した。陛下は生命の家にある巻物を調べるよう命じ、今起こっているすべての出来事について瞑想された」

 「それから数日たつと、空にはかつてないほど多くのものが現れた。それは太陽の明るさ以上に天空で輝く、強力な炎の円盤であった。王の軍隊は陛下と共に見張っていたが、夕食時を過ぎると円盤は南の方角に向かい、さらに天高くへ昇った。すると天から魚などが降り注ぐという、建国以来かつてない驚異的な現象が起きた。陛下は、アメン・ラー神の心を鎮めるために香をおたき上げになった。そして、この出来事を陛下のために、永遠に記憶されるよう、生命の家の年報に記録するよう命じられた」
 
 確かに、光り輝く円盤型のUFOが古代エジプト上空に出現したとも取れる驚きの内容だ。しかし、その後に「魚が空から降る」といった異変は起きたものの、例えば宇宙人らしき人が顔を出した、という展開にはなっていない。

 実際、トトメス3世は光り輝く円盤から始まった一連の事件を太陽神の怒りによるものだと考えたようなので、このパピルスの内容も単なる異常気象の記録だった可能性が高い。空から魚が降ってきたという記述は、竜巻や嵐が関係しているかもしれない。

 そもそも、このパピルスの内容が本当に正しいのか、という意見もある。当時パピルスの原本を実際に見たのは複写したアルベルト・トゥリ氏のみと考えられるため、まず出典の信ぴょう性に疑問がある。またボリス・ド・ラシェヴィルツ公に提供された複写には多くの間違いが含まれていたとされる。その後に翻訳された場合、本来の文からかけ離れた内容に訳されてしまう可能性は十分にあり得るだろう。

 古代エジプトのUFO事件をつづったパピルスの原本の所在は、現在も不明のままである。

山口敏太郎
作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。
YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中

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Papyrus from Ancient Egypt may prove UFO sightings aren't just a modern phenomenon(The Daily Star)より
https://www.dailystar.co.uk/news/weird-news/papyrus-ancient-egypt-prove-ufo-27243199

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