慶応・集団暴行事件で増す大学への不信感 「懲戒退学」の条件とは

慶応・集団暴行事件で増す大学への不信感 「懲戒退学」の条件とは

慶応・集団暴行事件で増す大学への不信感 「懲戒退学」の条件とは

(画像出典:Wikipedia)

名門大学生による、わいせつ事件が世間を賑わせている。

慶應義塾大学の広告学研究会は、男子学生らが女子学生にテキーラを飲ませ強姦したとして神奈川県警が捜査中。

東京大学・大学院の男子学生らによる女子学生へのわいせつ事件では、すでに主犯格の学生らに有罪の判決が下されている。

そして、これらの事件では、大学側の対応にも世間から疑問の声があがっている。

有罪の学生が退学になっていないことへの「処分は適正か」という意見や、事件の公表が遅れたことについてなどだ。

■学生のわいせつ事件で大学側がとるべき対応とは

このような事件の際に、大学側がとるべき対応はどのようなものなのか? また、法律的には手順を踏むべきなのか?

しらべぇ編集部では、レイ法律事務所に所属する橋知典弁護士に見解を聞いた。

(1)事件を起こした学生が懲戒退学になるならないの境目はどこにある?

退学処分は、「性行不良で改善の見込みがないと判断される」学生や「学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反したと考えられる」学生に対して行なうことができます(学校教育法11条、同法施行規則26条3項1号4号)。

現在の報道を前提とすると、集団強姦罪に当たる可能性があり、法定刑からしても重大な犯罪と言えます。

これまでに学生に問題行為がなかったとしても、こういった事件を起こしたことを理由に「学校の秩序を乱し」たとして一発で退学処分になることは十分に考えられます。

もっとも、大学が学生を退学処分にするうえで重要なのは、「そもそも犯罪事実が確認できるか」、です。

刑事事件についてよく言われていますが、事実がわからなければ、刑罰という重い処分を科すことはできません。

同じように、学校における退学処分も、学校側が犯罪事実を確認したうえで行なわれることになります。

(2)もし大学側が学生の不適切な行為を隠蔽していたら、どんな罪に問われるのか?

万が一仮に、学校側が、わかっていながら犯罪を隠ぺいした場合、より具体的には学校側が現場等に存在していた証拠類を隠したり、参考人になるべき他の学生の証言を変更させるように仕向けた場合、証拠隠滅等の罪(刑法104条)に該当する可能性があります。

また、被害者の学生が被害届を出した場合に、その被害者に不利益を課すかのような発言を行なっている場合には、強要罪(刑法223条1項)に該当する可能性もあります。

(3)他の学生たちが迷惑を被っているとの声も出ているが、もし学生たちが訴えたら退学処分を求めることはできるのか?

退学処分をするためには(1)のように、法律上の基準を満たす必要があります。

このため、他の生徒が退学処分を求めても基準自体は変わりませんから、結局大事なのは大学が退学処分の基準を満たしていると認められる事情が確認できるか否かです。

もっとも退学処分の検討をするときには、当然、学校側は、今回の不祥事の影響の程度を考慮に入れると考えられます。

この点で、もし多くの生徒が学校に処分を求めているとしたのなら、今回の不祥事の影響が非常に大きかったことを根拠づける事情になるため、退学処分につながる一定の効果がある可能性は否定できません。

高橋先生の話によると、懲戒退学については法律で定義づけがあるものの、それをそのように実施するかは大学側に任されているようだ。

慶応大学の事件ではサークルの代表の男子学生がすでに無期限停学処分になっているが、今後事件が解明していけば、より重い処分が、より多くの学生にくだされる可能性もある。

被害女性の心に残した傷跡は深いものだろう。それをきちんと踏まえた上で、大学サイドには賢明な判断をしてもらいたいものだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・クレソン佐藤 協力/レイ法律事務所・橋知典弁護士)

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