向井理が企画『いつまた、君と〜何日君再来〜』は大人が泣ける映画

向井理が企画『いつまた、君と〜何日君再来〜』は大人が泣ける映画

向井理が企画『いつまた、君と〜何日君再来〜』は大人が泣ける映画

(画像はオフィシャルサイトのスクリーンショット)

6月24日、俳優・向井理が企画した『いつまた、君と〜何日君再来(ホーリージュンザイライ)〜』が公開された。

原作は向井の祖母である芦村朋子さんが半生を綴った手記『何日君再来』で、向井が大学生の頃にパソコンでまとめ、祖母の卒寿のお祝いに自費出版したものだという。

そこには厳しい戦中・戦後を生きた、芦村吾郎と朋子――向井の祖父母が歩み、育んだ、夫婦愛と家族愛に満ちた物語があった。

■野際陽子さんの遺作映画に

(画像はオフィシャルサイトのスクリーンショット)

主人公である芦村朋子役を尾野真千子、夫・芦村吾郎役を向井理自身が演じ、現代の朋子役は6月13日に亡くなった野際陽子さんが演じた。

野際さんの出演映画としては、同作品が遺作となってしまったが、最晩年にあっても女優として素晴らしい演技を見せている。

物語は戦前、朋子と吾郎が文通で交流を重ね、初めてのデートをするシーンから始まる。

吾郎の美青年ぶりに見惚れる尾野のはにかむ姿は、向井の清潔な風貌と相まって、現代とかけ離れた時代の話でありながら、観る者をすんなりとストーリーに引き込む。

その先に繰り広げられる、苦労の連続ともいえる状況を二人が乗り越えていくのが物語の核となるが、絆の強さを短いシーンで感じさせる演技だ。

■愛し合う夫婦の姿に涙する

(画像はオフィシャルサイトのスクリーンショット)

子供が生まれて家族が増え、妻や子供を大切にする吾郎だが、つらい過去があり、多くの不運に見舞われる。

どうしてこんなにも――そんな気持ちになるが、夫婦が支え合い、不幸に溺れることなく、何度でも明るさを取り戻す姿に心を揺さぶられた。

しかし一度だけ、吾郎が朋子に「別れよう」と言って出ていく。

その後、吾郎を見つけた朋子に、一輪の野バラを渡して「バラは…やっぱり野バラがいいな。…清潔で、新鮮だよ」と告げる。

作品の中で最も美しいこのシーンは、子供を3人授かり、すでに多くの苦労を重ねてきた二人が、父と母という役割だけでなく、夫として妻として変わらず愛し合っている――互いの想いが感じられ、感動的だ。

この一輪の野バラは、朋子が大切に押し花にして保存され、現代の親子のわだかまりを氷解させるのだが、死んでもなお愛され続ける吾郎の存在が家族の中にあってこそ、その力を発揮したとしか思えない。大きな“泣かせどころ”のひとつにもなっている。

戦中戦後という厳しい時代を生きた、ひとつの家族の物語であり、多くの苦難はあるものの、派手な演出があるわけではない。

でもだからこそ、懸命に生きて、お互いを大切に想い合う、静かで力強い愛の物語だと感じられる。

上映館はそれほど多くはないため、興行ランキングで話題になるタイプの作品ではないかもしれないが、良質な一本としてお薦めしたい。

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(文/しらべぇ編集部・くはたみほ)