弁護士が語る児童相談所の実際 「保護する勇気」と「親への配慮」の難しさ

弁護士が語る児童相談所の実際 「保護する勇気」と「親への配慮」の難しさ

弁護士が語る児童相談所の実際 「保護する勇気」と「親への配慮」の難しさ

(yongtick/iStock/Thinkstock)

レイ法律事務所、弁護士の高橋知典です。

11日、児童相談所(児相)での対応を巡って、母親が火炎瓶のようなものを投げ込み、逮捕される事件がありました。彼女はなぜここまで追い詰められてしまったのでしょうか?

■「一時保護」の可能性

今回の母親の状況は、一部報道によると、「生まれた直後から子供を児相が保護していた」ということです。これについては「一時保護」の可能性があります。

児童福祉法ではその1項で、必要な場合には 「児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行」うことができると定めています。

この事件で、児相は保護の必要性があると判断し、一時保護に踏み切ったのだろうと考えられます。 一時保護は、子供を守るために行われます。しかし、実際に一時保護を受けた親御さんは計り知れないほどに苦しみます。

■出産直後に保護されるケースも

今回の事件とは別の過去の例では、出産後、母親が子供の顔を見る前に保護をされていたということもありました。

子供を産んで、これから大事にして行こう、子供を愛していこうという親御さんにとって、この出来事はあまりにも衝撃です。

一方で児相は、何よりも子供を守ることを考えています。 これまでの親の生活状況や経済状況、子供の両親の関係を含む家族関係から、保護が相当であると判断すると、多少強引に見えても保護を行います。

とくに乳幼児が遺棄されるなどの痛ましい事件が新聞を賑わす昨今では、保護の判断についても待ったなしの状況にあるのです。

■親の感情が児相の不安を刺激する

(高橋弁護士)

このような両者の状況は、双方共に子供のことを大事に考えている点では共通ですが、その方法が大きく異なるために対立します。

私の知っている先の例では、「早く返してくれ、人さらいだ、許せない」と感情的になっていく親を見て、児相はより不安感を強めてしまう状況にありました。

こうした場合、事件解決のためには、「子供の保護の解除に必要な条件」を冷静に児相から引き出し、同時に親の抱える不安を丁寧に聞きとることが必要です。

■周囲の協力も不可欠

子が生まれ、親となるはずがそうはなれなかった親の絶望も、保護しさえすれば救えたかもしれないと遺棄事件を見るたびに悔やむ児相の気持ちも本当のものです。

せめて両者の橋渡しになるよう、周りが協力していく必要があるのです。

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(文/レイ法律事務所・高橋知典弁護士)

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