福士蒼汰『愛ある』はなぜこんなにイライラする? 脚本に詳しい人に聞いた

福士蒼汰『愛ある』はなぜこんなにイライラする? 脚本に詳しい人に聞いた

福士蒼汰『愛ある』はなぜこんなにイライラする? 脚本に詳しい人に聞いた

(画像はYouTubeのスクリーンショット)

福士蒼汰と川口春奈が婚約者役を演じ、話題のドラマ『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)。

当サイトでも毎週深掘りレビューを行っている本作は、夜遅くに観るには少し怖いホラーなストーリーが特徴で、ツイッター上でもそれなりに反響が確認できる。

しかし、一方で「イライラする」という声もここに来てチラホラ。毎話視聴している記者としては個人的に頷けるところだが、なぜそう感じてしまうのか。物語が折り返し地点を迎えつつある今、真面目に考えてみたい。

■第四話はこんな感じ

考察の前に、6日に放送された第四話を振り返っておこう。主人公・奥森黎(福士蒼汰)の母親・晶子(鈴木保奈美)が何者かに背中を押され、階段から落ち意識不明になってしまったのが前回まで。

黎が病院に急いで行くと、晶子は別に死んでいたわけではなく、頭を切って縫っただけでピンピンしていた。「足を滑らせた」と言う晶子に対し、黎は自分や周囲の人たちに危険が及んでいることを感じる。

その後、爽(川口春奈)は母親の茜(岡江久美子)から花火大会のチケットをもらう。爽は黎と行けることを喜ぶが、黎には花火に強いトラウマが。昔、父親を撲殺した日に花火大会が行われていたからだ。

花火大会当日。浴衣で先に待ち合わせ場所に着いていた爽に対し、直前まで自宅で行くか悩む黎。しかし、そのとき差出人不明のメールが届く。それには浴衣姿の爽の写真が添付されていた。爽の身の危険を感じ、現場へ急ぐ黎。しかし、実際に着いてみると爽は元気でピンピンしていた。

その後、爽のもとに花火大会の日に落とした髪飾りと、黎の父親の名前が入ったトロフィーが届く。撲殺の際に黎が使ったものらしい。また、奥森家の戸籍謄本を爽の自宅に届けたのが、元教え子の女子高生・果凛(吉川愛)だとわかる。

■脚本に詳しい人に話を聞いた

ざっくりまとめると、母親も彼女もピンピンしていて、これまでと同じく差出人不明のメールが届いた第四話。ツイッター上では「イライラした」という声も確認できるが、それはどんな原因があってのことだろうか。

しらべぇドラマ班は過去にもインタビューに協力してくれた人物に分析してもらった。

(1)ストーリーがなかなか進まない

「一番大きいのはこれではないでしょうか。第一話こそ差出人不明の人物からこわいメールが届き、父親を埋めた庭が掘り返されるというショッキングな始まり方をしましたが、その後は各話で印象的な出来事は2つずつくらいしか起きていない。

前クールに放送されていた『リバース』(TBS系)も『ダラダラしている』との声があがっていましたが、本作は個人的にそれ以上に間延びしている印象です。もはや30分枠でも十分なのでは? と思うほど」

(2)思わせぶりで結局何も起こらない

「肩透かしな展開も多すぎる印象があります。先週の予告では爽に黒ずくめの何者かが近づく様子が描かれてましたが、結局なにも起こってませんからね(笑)

もちろん、どのエピソードも衝撃的な展開を迎える必要はないですけど、あんまり思わせぶりすぎると視聴者的には『裏切られた』『予告詐欺か』と思うのも無理もない」

(※参考↓ 第四話の予告動画)

(3)回想シーンやモノローグが多すぎる

「父親殺しの過去を持ち、それが影響して法曹の世界に飛び込んだ黎は、自身の犯した罪をたびたび見つめ直します。しかし、それの回数が多いんですよね……。

たしかに、ドラマは心理描写も大切。ですが、それは面白いストーリーあってこそ。とくにサスペンスはそうでしょう。観ている側としては『それはもういいからもっと色んなことが起きてくれ』と思ってしまいます」

(4)ちょくちょく「いい感じの台詞」を入れてくるが響かない

「『秘密と恋って似てるね。隠したくても隠しきれないところ』『誰かと一緒に生きてくってことには、リスクがあんだよ』など、本作では各登場人物が作品のテーマに絡むような台詞をちょくちょく放ちます。字面だけ見るととてもいい感じの台詞で、そうだよなあ…と思う人もいるでしょう。

でも、ここで伝えておきたいのは『いい感じの台詞』と『いい台詞』は似て非なるもの、ということ。気の利いたことや深いことを無理に言う必要はないし、観ている人がそれで感動するわけでもない。むしろ、何気ない言葉でも心が大きく動くこともある。

しかし、そのためには色んな前置きが大事です。たとえば、坂元裕二脚本『カルテット』。数々の名台詞が話題になった名作ですが、真紀がすずめに語った『泣きながらご飯食べたことある人は生きていけます』のような、明らかな名台詞ばかりではないんです。

たとえば、第一話で真紀が『人生には三つの坂があるあるんですって。上り坂、下り坂、まさか』と話し、たとえまさかであっても、起きてしまったことはもう元に戻せないと伝えるシーンがあります。

『上り坂、下り坂、まさか』なんて、冷静に考えれば結婚式のスピーチにおける3つの袋の話くらいありきたりな表現ですし、たぶんこれまでに使った人もいるだろうけど、坂元氏が天才なのはその前に伏線を敷いていること。しかも、『唐揚げにレモンをかけるか』というくだらない会話で(笑)

こうすることで、一見手垢にまみれた言葉がイキイキとしてきます。いい感じの台詞を書こうとする脚本家は多いですが、本当に優秀な人は『普通の言葉を使っているんだけど、前置きやエピソードの組み立て方が上手いから心に染みる』という台詞の書き方ができます。

長くなりましたが、そういう意味では前置きや伏線の不足が否めませんよね。いきなり出てきたキャラがそれっぽいことを言う、というか……それぞれに印象的な過去があるわけでもなさそうで、単に恋心による嫉妬って感じですし」

■脚本家はイライラ作品が得意?

最後に、氏は次のように話した。

「しかし、ドラマ好きな人にとってはこのようなイライラ傾向はある意味納得かもしれません。というのも、本作で脚本を担当する桑村さや香氏は『恋仲』『好きな人がいること』(フジテレビ系)などを執筆した人だからです。両方とも放送中から『イライラする』という感想が絶えなかった作品ですよね。

ここまでくると、もはや彼女の味なのかな……と個人的には思ったり、思わなかったり」

氏の意見はあくまで個人の感想に過ぎないものの、納得できる人も多いのではないか。

《これまでに配信した『愛してたって、秘密はある。』記事一覧はこちら》

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(文/しらべぇ編集部・尾道えぐ美)?

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