出勤すると3ヶ月「監禁」 『ブラック企業エピソード大賞』に選ばれた異常な会社の実態

『ブラック企業エピソード大賞』が発表 出社すると3カ月「監禁」など異常な実態公表

記事まとめ

  • 『残業証拠レコーダー』開発の日本リーガルネットワーク社がブラック企業体験談を募集
  • 「一度出社すると、半監禁状態で3カ月帰れないこともあります」という体験談が大賞に
  • 退職しようとすると300万円請求されるなど、もはや犯罪と呼ぶべき実態が明らかに

出勤すると3ヶ月「監禁」 『ブラック企業エピソード大賞』に選ばれた異常な会社の実態

出勤すると3ヶ月「監禁」 『ブラック企業エピソード大賞』に選ばれた異常な会社の実態

出勤すると3ヶ月「監禁」 『ブラック企業エピソード大賞』に選ばれた異常な会社の実態

(bee32/iStock/Thinkstock)

ブラック企業に対する社会の目は厳しさを増しているが、悲哀に満ちたエピソードには、いまだ事欠かない。

GPSを使って残業時間の証拠を自動で記録できるスマホアプリ『残業証拠レコーダー』を開発した日本リーガルネットワーク社は、ブラック企業にまつわる体験談を募集。

総計344通寄せられた応募の中から、このたび大賞が発表された。

■月給7万弱で1日20時間勤務

それは、ポッチィニさんが数年前に働いていた前職場でのことだという。

「新卒当時は、田舎で22万の手取りがあり、いい会社だと思っていました。しかし、経営者が一掃されると、事態は変わりました。

基本給は、社長親族及び親会社の役員親族以外は、正社員でありながら6万9千円。毎日8時から翌朝4時まで勤務でした。休みは、月一回土曜日の午前中のみで、時間外手当は1円も出ません。

なんと時給換算で、時給120円代です。残業代は、経営者の気分が良ければ、100時間ごとに1万円支給でした」

■一度出社すると3ヶ月「監禁」も

労働時間や残業代も異常だが、さらにとんでもない連勤に苛まれることになる。

「勤怠票(タイムカード)は、上席が自由に書き直したり消すことができるように、エンピツで記入が必須であり、認印も本人所持は禁止されていました。上席が配下者の認印を一括所持しており、各種書類は意思疎通は皆無でした。

そして、帰宅は、お偉い様親族以外は、決裁が下りないと帰れません。そのかわり、会社に洗濯機や仮眠設備が用意してもらいました。10日間風呂にも入れないことは、珍しいものではありません。

一度出社すると、半監禁状態で3ヶ月帰れないこともあります。アパートの電気を消し忘れて、郵便物や新聞が溜まり、勝手に不動産会社と警察から孤独死を疑われて家に勝手に入られたりもしました。ただ実際、過労で体調崩して搬送され、息を引き取る社員もいました」

■まるで治外法権な迷言の数々

果てしなくブラックな会社を経営する上層部からは、さまざまな迷言も飛び出したという。ポッチィニさんが挙げてくれたのは…

「社内では、日本国の法律は適用されない」

「『私は休みいりません』って言え!」

「社員は消耗品」

「我らが新卒初任給の時代は、6万が当たり前だった!」

(退職しようとすると)「違約金300万払え」

ちなみに、「300万発言」とともに、退職届は目の前で破かれてしまったそうだ。

■徐々に狂っていく社内

こうした状況が続き、ポッチィニさんだけでなく社内全体がおかしな状況になっていった。

「このような状態で、訴える暇もなく月日が流れました。案の定、おかしくなる者が現れ始めました。リストカットする社員、自殺未遂する社員、下血や吐血で救急搬送される社員、幻聴幻覚、給湯室のポットに異物混入、社内でスリ窃盗…。

この時、デスクワークでも血が流れることを初めて見ました。病院に搬送されても上司の手土産はノートパソコン。入院中も仕事を強要されて、上司は医師に怒られました」

■弁護士の見解は…

(©ニュースサイトしらべぇ)

まるで社員を人間扱いしないようなとんでもないブラックぶりに、鎧橋総合法律事務所の南谷泰史弁護士も、怒りを隠さない。

南谷弁護士:凄まじいお話です。もはやブラック企業より、犯罪企業と呼んだほうが適当だと思います。このエピソードには多数の法的問題が含まれています。

違法な給与額の一方的減額(労働契約法9条参照)、最低賃金法違反、違法な長時間勤務(労基法32条違反)・休日勤務(労基法35条違反)、残業代未払い(労基法37条違反)、タイムカードの不適切な管理(労働時間の適正把握義務違反)、過労死や過労による病気を引き起こした健康配慮義務違反、退職の妨害などです。

いずれも重大な問題です。とくに、過労による病気や過労死という最悪の結果を引き起こしたことは言語道断です。

この経営者の態度・考え方にも南谷弁護士は疑問を呈する。

南谷弁護士:上記の法令違反の元となっているのは、経営者の誤った考え方でしょう。会社・経営者(使用者)と従業員(労働者)は、本来、対等な関係です。会社・経営者には、従業員に対する業務指揮権限がありますが、それはあくまで労基法等の法令及び雇用契約・就業規則等に基づく権限です。

それに反する部分については、何の権限もありません。法律や契約に基づいて初めて、経営者・上司として話すことができるのです。このような当然のことも理解せず、他者の権利を侵害している経営者は、経営者失格のみならず、市民失格であると思います。

■タイムカード改竄は大きな問題

国会では、モリカケ問題で「公文書の改竄」が与野党の論戦となったが、タイムカードの改竄も問題だ。

南谷弁護士:また、タイムカードを上司が自由に書き変えられたことも、非常に重大な問題です。

タイムカード等を用いた労働時間の適正把握義務(会社の義務です)の違反は、それ自体は大きな問題ではないように見えるかもしれませんが、過労死や病気を引き起こす超長時間勤務、残業代の未払い等の問題の基礎となっており、見過ごしてはなりません。

こうした企業においては、退職することを躊躇しないほうがいいそう。それは、法律でも認められている。

南谷弁護士:最後に、退職の妨害も非常に大きな問題です。本エピソードの環境に納得して働いていた方は皆無でしょうが、法令に反する主張で脅されたり騙されたりすることによって、強制的に働かされています。

退職に会社・上司の許可は不要です(民法627条1項前段等)し、このように生命・身体の危険がある場合や賃金の重大な未払いがある場合には、即座に退職して構いません(民法628条)。退職届の受理など不要です。

内容証明郵便やEメールなど記録が残る形で退職の意思を伝え、一刻も早く辞めるべきです。退職に関して会社・上司に脅されている場合には、早期の弁護士への相談を強くお勧めします。

(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク)

関連記事(外部サイト)