階段で首をつった父と廊下で倒れた母 専門家「社会制度にも原因」

階段で首をつった父と廊下で倒れた母 専門家「社会制度にも原因」

階段で首をつった父と廊下で倒れた母 専門家「社会制度にも原因」

(Geobacillus/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

埼玉県警春日部署は16日、埼玉県春日部市西金野井の木造2階建て住宅で、会社員男性(57)と妻のパート女性(57)が死亡しているのを、安否確認のため訪れた長女の夫(35)が発見したと発表。しらべぇ取材班は、埼玉県警などから話を聞いた。


■いずれも上半身から出血

春日部署や消防によると、16日午前8時50分ごろ、埼玉県春日部市の住宅で、住人夫婦の長女の夫から「妻の父が首をつって死んでいる」と110番があった。

署員が駆けつけると、男性は1階の階段で首をつり、女性は1階の廊下で倒れており、いずれも上半身から出血していた。着衣の乱れや争った形跡はないとのこと。

警察から連絡を受けた消防が救急車2台と消防車1台を現場に出動させたが、不搬送だったという。同日午前7時35分ごろ、男性が会社に出勤しなかったことから長女に連絡があり、長女の夫が住宅を訪れて合鍵で入ったところ遺体を発見した。

男性方は2人暮らしで、住宅は施錠されていた。同署は心中の可能性もあるとみて死因を調べている。


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■相次ぐ無理心中

無理心中をめぐっては、過去にもこんな事件が起きている。2018年5月、群馬県伊勢崎市の住宅が焼け、この家に住む当時11歳の長男と48歳の父親が遺体で見つかった。警察は死亡した父親が無理心中を図ったとみて、殺人などの疑いで書類送検。

そして同年9月に東京都文京区のアパートの1室で、36歳の母親と幼い子ども3人の合わせて4人が死亡しているのが見つかった事件。

その後母親は、「3人の子どもを抱え、経済的に将来が不安だ」という内容の悩みを周囲に話していたことがわかり、警視庁は、無理心中を図ったと見ている。

■仙台、茨城でも…

また、同年11月にも、仙台市で小学2年の女児と母親が自宅で死亡しているのが見つかり、母親が無理心中を図ったとみられる事件が発生。父親は女児へのいじめと学校側の対応が原因だったと訴えていた。

さらに2018年12月に茨城県土浦市で住宅が全焼した火事で、死亡したのはこの家に住む67歳の父親と42歳の長男と確認された。

父親の首には傷があり、室内からは灯油の成分が検出されているということで、茨城県警は無理心中を図った疑いがあるとし、詳しいいきさつを調べていた。


■専門家の見解

高齢者の心中事件についての論文がある中央大学の天田城介教授(臨床社会学)は、無理心中についてこのように見解を示す。

「高齢者の心中事件の加害者は7〜8割が男性。男性は、しんどさや悩みを相談できず、体が健康な状態を前提とした人間関係しか作れないことが多い。自治体がイベントを開くなどして積極的に手を差し伸べる必要があるのでは」


「無理心中に特化した専門家というのはあまりいないし、年に何件発生しているか示すデータさえない。家族を道連れにするほど誰かが追い詰められるのは、社会制度に原因の一部がある」


何があっても、死という選択だけは避けたいが、経済的弱者の孤立化、そして行き届かない支援など、解決しなければならない問題が山積みの状態であることは間違いないだろう。

(文/しらべぇ編集部・おのっち)

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2019年8月9日〜2019年8月14日
対象:全国10代〜60代の男女1653名 (有効回答数)

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