インフルエンサー仕事で生活する女性が、転職を決意した“友人の言葉”

インフルエンサー仕事で生活する女性が、転職を決意した“友人の言葉”

インフルエンサー仕事で生活する女性が、転職を決意した“友人の言葉”の画像

 YouTuberやインスタグラマーなど、ネットで活動するインフルエンサーたちは、今や憧れの的な職業のひとつです。

 彼らの仕事ははたから見ると自由で、楽しそうに見えます。しかし、どんな仕事も実際になってみないと分からない苦労はあるものです。

 今回はあるインスタグラマーが、自分の仕事の大変さに、思わぬタイミングで気づいてしまった時のお話。

◆普通の女の子がインスタグラマーになるまで

 沢田今日子さん(仮名・28歳)は、さまざまなSNSで総計3万人ほどのフォロワーを持つインフルエンサーとして活動しています。中でもインスタグラムが主な収入源となっていて、一人でも生きていけるくらいには稼いでいたのだそう。

「大学生までは、生まれでもある埼玉で過ごしました。勉強を頑張っているタイプでもなかったので、大学は地元のFラン大ですね。なんとなく遊びながら過ごして、卒業後は保育士として2年ほど働きました。でも、女職場で独特の空気感があって、朝が早くて激務の割に安月給…そんな保育の仕事に疲れて2年で退職しました」

 その後はというと?

「もともとおしゃれが好きだったので、その後はアパレルでバイトしながら、なんとなく日々のコーディネートを、インスタやコーデ系アプリに投稿していました。長く続けていたらフォロワーが多くなってきて、いつの間にかSNSで仕事を取れるようになったんです。

 今はアパレルも退職して、インスタグラムの仕事とちょっとした副業で生計を立てています。新商品やイベントのPRや、セレクトショップのバイヤーをしたりしています。インスタグラマーになってからはモテるようにもなり、今は合コンで知り合った、高学歴で大企業勤めの彼氏と同棲しています」

 インスタグラマーの仕事は在宅でできるものも多く、出社のストレスや勤務時間に縛られることもありません。好きな仕事で独立し、お金を稼げているということに憧れを持つ人も多いでしょう。

◆コロナの影響で仕事が減ってしまった

 しかし、現在沢田さんは転職活動に取り組んでいるそうです。3万人のフォロワーがいて自由に働いているのに、なぜでしょうか。

「インスタグラマーとしての仕事は、コロナに大きく影響を受けました。アパレル業界全体が厳しくなって、私たちのような外注に仕事をふる余裕がなくなったことが、大きな原因です。美容やコスメのアカウントの人たちも、皆同じような状況ですね」

 華やかに見えるインフルエンサーですが、現実は、PR会社などから「この商品を紹介したら、フォロワー数×1円払う」等の発注を受けて、使ったこともない商品を持って投稿したりする、せちがらい仕事も多いのです。

「私は彼氏が稼いでくれているので、生活はできていますけど、仕事が減って暇になって、なんとなくモヤモヤする日々が続いていました。そんな時、久しぶりに大学時代の友人と電話で話す機会があったんです。

 大学時代の友人たちは、そのまま埼玉に残っている子が大半で、結婚して子どもを持っている子も多いです。その電話の友人も埼玉で保育士として働く既婚者で。

 『私は東京で好きに働いているけれど、なんだかんだ地元で落ち着いている友人たちの生活にも憧れてしまう』、ということを彼女に伝えました」

 この1本の電話がきっかけで、後に沢田さんは自分の人生を考え直すきっかけになります。

◆身の丈に合った暮らしについて考える

 東京でこのままインフルエンサーとして生活を続けるか悩む沢田さんに、友人はなんと声をかけたのでしょうか。

「『田舎暮らしだけどさ、私はなんか、今の暮らしが自分の身の丈に合ってるなって思うんだよね。今日子は都心に住んでてさ、華やかな仕事してるから……気苦労が多いだろうなって、話聞くと心配になるな。私ですら、未だに職場で保護者に学歴のこと馬鹿にされる時とかあるけど、東京にいたらそういうのもっと多そうだもんね。偉い偉い、よく耐えてるよ』

 そう言われて気づいてしまったんです。都心に住んで、憧れの職業に就いて。なんとかがんばってるって思ってたけど、こうやってコロナなんかでパタッと仕事がなくなっても、自分ではどうにもできない。私は家賃が払えなくなって、彼氏が出してくれるからなんとか都心に住めている。でも、そこまでしてここで、そういう生活がしたいのかって、考えちゃったんです」

◆自分を見つめ直すために転職を決意

 急に、自分にはすごく分不相応な場所にいるのではないかと気づいてしまったという沢田さん。

「フォロワーの数でギャラ勘定されて、憧れてもらうためにキレイな自分を維持する努力をすることに、ちょっと疲れてしまったんだと思います。そうしたらすごく腑に落ちて、インフルエンサーという職業が、自分にとってすごくストレスになっていたことに気づいて……一度自分を見つめ直したくて、転職することを決めたんです。

 人生的なスペックが一緒の友人からの言葉は、誰よりも共感力があって、電話しながら30分くらい泣いてしまいました」

 インフルエンサーは確かに自由な働き方かもしれませんが、ずっと人に興味を持ってもらう自分で居続ける努力や、投稿をし続けることも、とても大変なことです。フォロワーの増減でギャラが変わる仕事も多く、自分の価値を他人からの評価で決められたり、時には炎上のリスクとも戦わねばならず、ある意味精神的にはとても荷が重い仕事だったのかもしれません。

 現在沢田さんは、事務職での転職活動を考えているそう。世間からみて憧れるような仕事でも、誰にでも向いているとは限らないもの。華やかな仕事についていても、その人が幸せかどうかは、本人の感じ方次第ということですね。

―シリーズ「人生の転機で変わったもの、変わらなかったもの」―

<文/ミクニシオリ イラスト/ただりえこ>

【ミクニシオリ】

1992年生まれ・フリーライター。週刊誌を中心にアングラな性情報、最新出会い事情など寄稿。逆ナンや港区合コンなどの現場にも乗り込む。自身の経験人数活かしtwitterやWEBラジオ「airuca」でフォロワーの恋愛相談にも回答。カルチャーにも素養がある生粋のサブカル女子。@oohrin

関連記事(外部サイト)