ハケンの品格、ドクターXの脚本家・中園ミホ、占い師業を本格化?

ハケンの品格、ドクターXの脚本家・中園ミホ、占い師業を本格化?

中園ミホ「占いで強運をつかむ 」マガジンハウス

 スーパーハケン・大前春子(篠原涼子)が13年ぶりに帰ってくるドラマ「ハケンの品格」(日本テレビ系)が新型コロナウイルス感染予防の緊急事態宣言によって撮影中断になっているため、13年前のドラマを「特別編」として放送している(5月26日から東京も緊急事態宣言解除となり撮影もじょじょに再開しはじめそうだが)。これがなかなか面白い。

 主人公・春子はたくさんの資格をもち、そのスキルを使って仕事を完璧にやり遂げるが、契約以外のことは一切やらない。お茶くみや買い物など上司がつい頼んでしまうようなことや、サービス残業などもってのほか。昼休みになったら休み、就業時間になったらさっさと帰る。春子の言動は、13年前、当時、増えていた派遣社員の気持ちにハマり、絶大な共感をもって迎えられた。そしていまもなお、いや、いまのほうがいっそう春子の言動は支持できる。

 春子を演じる篠原涼子は当時、アイドルから頼れるお姉さんキャラにシフト中。05年には、10歳も年下の新入社員と恋する、頼れる先輩社員を演じた「anego」(日本テレビ)、06年、ハードボイルドな刑事を演じた「アンフェア」(フジテレビ)と順調にステップを踏み、07年の「ハケンの品格」が篠原涼子、大人俳優への道・最後の仕上げだったように思う。

◆大前春子と大門未知子を生み出した、脚本家・中園ミホさん

 ところで、周囲に媚びず、己の腕一本で毅然と生きていく春子のライフスタイル、どこかで見覚えがないだろうか。「私、失敗しないので」が口癖のドクターXこと大門未知子(米倉涼子)である。

 フリーの医者として、そのスキルの高さで高額の報酬を稼いで生き抜いている。病院でのポジションを獲得する必要がないから医療以外の余計な駆け引き(不正)をしないクリーンな人物。2012年からはじまった「ドクターXシリーズ」(テレビ朝日系)は高視聴率で2019年までに6シリーズも作られ、いまだ続編が待たれる長寿番組である(5月26日には降板するらしいというニュースが流れた)。

 大前春子と大門未知子。女性が男性のアシスタント的な仕事をするのではなく、いい意味で自分が中心で、仕事及び人生を謳歌するふたりの輝くキャラクターを作り出したのは脚本家・中園ミホ。松嶋菜々子と堤真一のキラッキラのラブストーリー・月9「やまとなでしこ」(00年 フジテレビ)などレジェンド級のヒット作のほか、朝ドラ「花子とアン」(14年 NHK)、や大河ドラマ「西郷どん」(18年 NHK)などの大作も手掛けるベテラン人気作家である。ちなみに「anego」も中園作品。

 幕末の男たちを描いた「西郷どん」はちょっと異色だが、主に、他人に媚びず、自分の思うままに生きていく女性の痛快なドラマのオーソリティーである中園さんには、もうひとつの仕事がある。占い師である。

◆「占いで強運をつかむ」出版、ブログは「占い師ですが、何か?」

 脚本家になる前、占い師もやっていたというエピソードは以前から公表されていたが、近頃、じわじわと占い業の割合を増やしているような印象があるのだ。

 19年には占いサイト「解禁!女の絶対運命」をオープン、今年4月には著書「占いで強運をつかむ」(マガジンハウス)を上梓した。昨年7月にはじまった公式ブログのタイトルは「占い師ですが、何か?」である。

 著書によると、中園さんが脚本家になったのも、ヒット作を生んだのも、自身の運気を把握した上で適切に行動を起こしたかららしい。キャストも番組名なども占って決めることがあるとか……。

◆「空亡期」をうまく使って脚本家として大成したらしい

 中園ミホの占いは四柱推命をベースにした独自の数気学だという。

 四柱推命は占いのなかではポピュラーなもので、12星座による西洋占星術と並んで東洋占星術の四柱推命が2大親しみやすい占いといっていいと思う。四柱推命は人生を12年単位にして、その中に運がいい年と注意すべき年があるとする。最も注意が必要なのは「空亡期」という2年間。

「禍福はあざなえる縄の如し」ではないが、良い時があれば悪い時もあるのが人生なのだろうけれど、例えば「空亡期」に当たったとき、いまは何をやってもうまくいかないから我慢しなくてはいけないのだと諦める人もいるかもしれないし、抗いたくなる人もいると思う。

 私は二十代の頃、なにげなく街の占い師に占ってもらったら、このダメな時期に当たっていて、ただただダメと言われ、意地になってほかの占いを次々試し、時間もお金も無駄にした残念な経験がある。ところが中園先生は、「空亡期」をうまく使って脚本家として大成したと著書に書いていた。

 その話を読んでなんとなく元気をもらったので、どれどれ……と本で自分の運勢がどうなっているか確認(著書は、占いパートと、自身と占いとの関わりや、占いとどうつきあうか心得などのコラムパートに分かれている)してみるとーー。

◆光浦が中園ミホから絶好調運と占われたが…

 おおっ、この数年の自分の調子と合致していた。もしかして、中園先生の占い、当たる……と思って、今年の運勢を読むと「これからの方針・運気を決める重要な時期」とある。むむ、これは逃せない。だがよりにもよってコロナ禍でその運ももう半年近く無駄になってしまったではないか。泣ける。せめてもの救いは12年のなかで最大幸運期ではないことである。

 そうしたら、ちょうど先日、5月17日放送の「ボクらの時代」(フジテレビ系)で、大久保佳代子と光浦靖子といとうあさこがリモートトークを繰り広げるなかで、光浦が清水ミチコ経由で中園ミホさんを紹介され、10年だか12年ぶりに絶好調運と占われ、結婚する可能性もあると思ったら、コロナで家にずっといると肩を落としていたのである。

 光浦さんに比べたら私はいいほうかもしれない。だが彼女はこれから海外留学するそうで、そこで外国人との結婚が待っているかもしれないとも大久保といとうあさこが盛り上げていた。もしそうなったら中園ミホ先生、凄い。

◆まえがきには「シナリオ」というワードが出てきた

 どんな占い師も全人類がこれほどの災厄(コロナ禍)をかぶると占うことは難しかったであろう。こんなときこそ、中園先生のドラマのキャラのように自分の信念をしっかりもって、スーパー・ポジティブに考えるべきなのかもしれない。

 そもそも占いは、なんらかの法則によって運勢を導きだしたあと、それをどう言語化するかも重要である。

 いま、ネットで人気の占いは、優しくそっと希望をもたせてくれるような文章が好かれているものが多い。石井ゆかりやしいたけなど、良いことも悪いこともすてきな物語化してくれるような文章が愛される。

 その点、中園ミホは脚本家。老若男女あらゆる人生を描いてきた人である。悪い時期を乗り越えて幸福を獲得する道筋を描くのは自家薬籠中であろう。本のまえがきの一文に「あなたがしあわせになる人生のシナリオを書くために、そっと背中を押すことができたら(後略)」とまさに「シナリオ」というワードが出てきた。

◆中園ミホ先生、やっぱり運を掴んでいる気がする

 なんといっても中園ミホ先生の占い、やっぱり凄いんじゃないかと思ったのは、せっかく13年ぶりに代表作「ハケンの品格」が新たに始まるときにコロナ禍で放送がなかなかできない(もうずっと近日公開になっている)状況において、昨年、占いサイトというサイドビジネス(?)を始め、今年、本を出し、それによって万が一、ドラマ制作状況が今までのようにまわっていかなくても、占い業があるという準備が事前にされていたことである。

 占いの宣伝がドラマの宣伝にもなり、ドラマの宣伝が占いの宣伝にもなり補完しあえる。しかも、こんなときだから、つい未来を占ってもみたくなるヒトもいるのではないだろうか。

 これは偶然なのか、それとも占った結果なのか。中園ミホ先生、やっぱり運を掴んでいる気がする。

<文/木俣冬>

【木俣 冬】

フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など

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