やるきUP、ストレス解消etc…「おとなの1分音読」が良いこと尽くめ

やるきUP、ストレス解消etc…「おとなの1分音読」が良いこと尽くめ

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 音読を最後にしたのはいつですか? 音読なんて学生時代で卒業した、という方も、ちょっとあの頃を思い出してみてください。小説や詩を声に出して読んでいる間は、物語の主人公になっていませんでしたか。それは気のせいではなく、音読に隠されたすごい作用のおかげなのです。

『心とカラダを整える おとなのための1分音読』には朝の1分、寝る前の1分に声に出して読みたい名文が勢揃い。日本語のリズムに癒やされることでしょう。まずは音読のメリットを本書からご紹介します。

◆音読の利点がたくさん

 医師でジャーナリストの森田豊氏は、音読には5つのメリットがあると本書を推薦。簡単にまとめますと、

1 気持ちが落ち着く

 音読をすることで、セロトニン(神経伝達物質)が多く分泌される。

2 やる気が出てくる

 やる気や自制心を司る脳の前頭葉は、音読によって刺激することができる。

3 ストレスが解消し、抵抗力がアップ

 大きな声を出すことで、ストレスホルモンが減少し、内蔵の働きも活性化される。

4 脳が活性化される

 視覚と聴覚の両方を同時に用いるので、脳の活性化に効果がある。

5 誤嚥性肺炎の予防に役立つ

 音読で喉の筋肉が鍛えられる。

 カラオケ好きの方なら、思いあたるふしもあるのではないでしょうか。歌ってスッキリ! は音読にも通じるのです。本書に収められている文章は、すべて1分で音読可能。懐かしい童話から、有名作家の意外な小説まで、心躍る言葉がたくさん詰まっているのです。

◆実際に音読してみた

 本書をめくると、『走れメロス』や『ごんぎつね』、はては『ロミオとヂュリエット(なんとセリフ劇!)』まで、懐かしい作品がいっぱい。迷いつつ私が選んだのが、太宰治の『女生徒』。では序章をどうぞ。

「あさ、眼をさますときの気持ちは、面白い。かくれんぼのとき、押入れの真暗い中に、じっと、しゃがんで隠れていて、突然、でこちゃんに、がらっと襖をあけられ、……」

 まるで女子中学生の日記のように、思考が自由に泳いでいるのです。文章には終わりがなく、言葉が鎖のようにつながれて、いつまでも続いていきます。アラフィフの私ですが、音読している1分間は女生徒が憑依していました。若返り効果もありそうです。

◆リズムが楽しい詩の音読

 お次はリズム感命、詩の音読にチャレンジ。中原中也の『湖上』です。

「ポッカリ月が出ましたら、

 舟を浮かべて出掛けませう。

 波はひたひた打つでせう、

 風も少しはあるでせう。……」

 普段の生活では、なかなか馴染みのない詩。学生時代にはその世界観に酔いしれたものの、ここ何年もご無沙汰だった、という方が大半かもしれません。歌うように読めて、自然と情景も浮かんでくる「湖上」は、何度でも音読したいと思いました。読んでいるうちに、不思議と歩きたくなるのも、この詩の特長です。

 音読をきっかけに、小説や詩集を買い求めてもよし。スマートフォンで録音し、自分の声や話し方を研究してみるのもよし。自分の声を自分で聴く機会って、あまりないですよね。意外に早口だったり、低音だったり。声やしゃべり方をとおして、自分のキャラクターを見直してみるのもいいかもしれません。

 様々な使い方がある本書。おうち時間が充実すること、間違いなしです。

―小説家・森美樹のブックレビュー―

<文/森美樹>

【森美樹】

1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓。Twitter:@morimikixxx

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