保育園「再開するけど自粛要請」って、どっちなの!? 戸惑うママの声

保育園「再開するけど自粛要請」って、どっちなの!? 戸惑うママの声

写真はイメージです(以下、同じ)

 新型コロナウイルスの感染が終息のきざしを見せたことを受け、政府は5月25日、緊急事態宣言の全国的な解除を行いました。

 これによって保育園の営業も正式に「再開」となりましたが「新しい生活様式」のもと、具体的な対策は行政や園ごとでさまざまです。感染予防が最優先とされるなかで、家計も守らなくてはいけない。保育園に子どもを預けて働く母親たちは、この不安定な状況に、かなり戸惑いを表しているようで…都内在住の2人に話を聞きました。

◆登園再開と自粛要請「どちらを選べばいいの?」

 0歳児の息子をもつ、23区内在住のサキさん(仮名・フリーイラストレーター)は、「無理をすればどうにか自宅保育ができてしまう」という在宅勤務の身にあるため、子どもの通園を再開させることに躊躇いを感じているといいます。

「4月中旬から登園自粛になって以来、とくに連絡もないまま宣言の解除もされたので、6月には仕事が再開できるだろうと、おもな職場や取引先に復帰することを伝えました。けれど数日あとになって、『保育の提供は再開するが6月末日までは自粛要請を継続』という旨の文書が、保育園より送られてきたんです」

 公的に自粛が求められているなかでの「保育」とは、どのような家庭を対象にしたものか。サキさんは自身が帰属のないフリーランスであるため、なおさら、判断が難しかったようです。

◆自粛するべき?揺れる心

「園による『保育再開』と行政による『自粛要請』のおたより、ふたつ並べてずいぶん悩みました。今までも医療従事者を中心に、どうしても通勤しなくてはならない家庭が、やむをえず登園を続けている状況だったと思うんです。だから保育再開とはいっても、私のような在宅業務が中心のフリーランスだと、預けていいものか決めかねます。

 どちらを選べばいいのでしょうか。かなり無理はしますが、在宅で子どもを見ながら仕事をするのは不可能ではありませんし。かといって、仕事は仕事ですから、子どもを抱えていてはやっぱり上手く進みません……」

「保育再開」と「登園自粛要請」という文言の矛盾。選択に迫られたサキさんは、ふたたび感染者が増えていることも考慮して、6月の登園を見送ることにしました。

「家計のことも考えると、仕事に全力投球したほうが良いのかも知れません。だけど自粛が求められている以上、保育が再開したからといって通園を即決することはできませんよね。ただ、この状況が続けば、フリーランスとして取引先の信用を失いかねないので、7月からは通園しないわけにはいきません。今月はとりあえず様子見ということにして、職場には復帰直前に迷惑をかけてしまいました」

◆まさかの「保育料免除の条件」に慌てる

 八王子市在住のマミさん(仮名)がパートで勤めている飲食店は休業のさなか。6月にはいってから現在まで、マミさんは0歳児の息子を近所の保育園に通わせながら、副業である在宅のwebライター業をしています。

「八王子市は9月末まで育児休業の継続ができるうえ、4〜5月は登園自粛をした日数ぶんの保育料を免除、という親切な対応をしてくれました。恵まれているとは思いますが、問題は6月です。緊急事態宣言が解除され、5月も終わりのほうになって『6月から通常保育は再開だが自粛は引き続き要請。保育料免除の制度は行事を含めた月4日以内の登園者のみ全額』というような内容の通達が届きました。パート先の職場はまだ休業していて仕事に戻れないので、慌てました。ひと月に数万円の保育料を、ましてや登園しないにも関わらず支払う余裕まではないですもん……」

 0歳児というと、ただでさえ産休育休明けの、経済的に追いこまれている状態。良心が痛むいっぽうで、自粛を続けるという選択はできなかったといいます。急遽、保育料を賄う必要が生じたマミさんは、すぐに在宅でwebライターを始めました。

◆「最大時間保育」に痛む良心

「当然のことながら我が家も裕福ではないので、ここまでの数か月で、すでにかなりの貯金を切り崩してきました。自粛も考えましたが、これ以上は無理そうです。家計は厳しいですから、パートに戻れない代わりに副業で、せめて保育料だけでも賄わないと。

 在宅ワークならば自宅保育ができるだろうと思う人もいるかもしれませんが、子どもを抱えていると集中できるのは1日3時間程度、それも途切れとぎれになってしまうので、仕事にならないんです。まだ何度か夜泣きもあるので、そうでなくても寝不足状態で、これ以上は睡眠時間も削れませんし……」

 幸いなことに在宅仕事をもっていたマミさんですが、もちろん収入はパートと比べものにならないほどわずか。保育料のぶんを賄うだけでもフルタイムの保育が必要になるといいます。そして、そこがマミさんにとって、いちばん悩ましい点であるようです。

「取引先からの業務委託ですし、終わりませんでしたとか、もちろん手を抜くわけにはいきません。すると、どうしても17時や18時近くまでかかってしまいます。通勤があるママなら問題ないとしても、家で仕事しているママは預けてもいいのかな……って心苦しいです。世間で自粛が叫ばれている状況で長時間預けるの?みたいな負い目はどうしても感じてしまいますよね」

◆自粛要請の緊張状態、いつまで続く?

 そして、マミさんは次のように話を続けました。

「初めての子どもに、初めての保育園で、コロナという事態。いちばんは感染防止だけど、やっぱり実生活者であるうえに、守らなければいけないものもあります。なにが正しいか、あるいは、なにが間違っているか、正直なところ分かりません。ほかの働くママたちがどのように乗りこえているのか、ぜひ教えて頂きたいです」

 状況の変化に慌てたり、通常保育の再開と自粛要請の継続の板ばさみで戸惑ったり、仕事と保育とのバランスに悩んだり、「正しさ」というものが無効になったいま、子どもを抱えて不安に苛まれているママたちがたくさんいるはずです。

 このさきも消滅することのないのがウイルスというものの厄介さ。しばらく続くであるだろう社会の混乱で、だれもが心穏やかに日々の生活を送るために必要なのは、目の前の問題ひとつひとつにしっかりと自分なりの答えを与えていくことかもしれません。

<取材・文/山田茉美>

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