朝ドラ『エール』の必見キャラ、ベスト3。トレンド入りしたイケメン先生も

朝ドラ『エール』の必見キャラ、ベスト3。トレンド入りしたイケメン先生も

御手洗清太郎(古川雄大)(C)NHK

 コントパートやコント回も多い朝ドラ『エール』。文学的香りを漂わせていた朝ドラ前作『スカーレット』の余韻から抜けられない人たちには、戸惑いもあるようです。モチーフとなる人物がいて、要所要所に史実を盛り込んでいること、最初から才能が明確である「天才」を主人公としていることなどが足枷となり、大きなドラマが生まれにくい面は否めません。

 そのため、様々な味わいをのっけ盛りした「小品集」のような印象もあります。

 そんな中、主人公夫婦や主人公とその仲間「福島三羽ガラス(裕一、鉄男、久志)」を盛り立ててくれる魅力的なキャラがしばしば登場しています。(NHK総合・午前8時〜8時15分ほか。6/29より第1回から再放送中)。

◆1)トレンド入りするほど人気 御手洗清太郎(古川雄大)

 第16話で初登場する、みんな大好き「ミュージックティーチャー」こと御手洗清太郎。演じているのは、ミュージカル界のスターで、王族や貴族を演じることの多い古川雄大です。

 身振り手振りが大きく、物腰が柔らかく、「先生」と呼ぶ音(二階堂ふみ)に対し、何度も「先生はやめて! ミュージックティーチャーと呼びなさい!」と指示する少女漫画的濃厚キャラ。音とのこのやり取りが繰り返されるうち、しまいまで言えず「ミュージックティ」で切られる演出もお約束となり、彼が登場するたびSNSに「ミュージックティーチャー」や「ミュージックティ」「御手洗」などの関連ワードが多数トレンド入りするほどの人気に。

 そんな彼には、子どもの頃に学校の先生にバカにされたり、殴られたりしたことで、逃げるようにドイツに音楽留学したという辛い過去がありました。でも、必死で努力を重ね、音楽によって認められたという経験は、主人公・裕一(窪田正孝)と共通しています。

◆人気にこたえて第13週にも再登場

 また観たいと望む多くの声に応え、再登場するのは、第13週。コロンブスレコードの専属新人歌手オーディションをめぐり、久志(山崎育三郎)と争いますが、コント的やりとりが楽しいながらも陳腐にならないのは、二人の気品と優雅さ・美しさゆえ。二人の友情も見物です。ちなみに、お偉いさんの息子ということからオーディションで選ばれたボンボンが御手洗に投げかけた暴言「鏡見てみろよ」のセリフの意味がわからず、戸惑う視聴者もいました。これはLGBT的な差別発言だったのでしょうが、小顔で姿勢も美しく身のこなしも優雅なミュージックティーチャーだけに「鏡? なんで?」と本気で理解できない人が続出することに。

◆2)藤堂先生(森山直太朗)の名言が心にしみる

 福島三羽ガラスの才能を見出し、世に送りだしてくれた小学校時代の恩師・藤堂清晴先生(森山直太朗)。彼なくして、物語は何も始まらなかったと言っても過言ではありません。

 勉強もダメ、運動もダメ、言葉もうまく出ない主人公・裕一が運動会で転倒したとき、ハーモニカ演奏により、音楽という「生まれて初めてのエール」を送ってくれたこと。そして、「ひとよりほんの少し努力するのが辛くなくて、ほんの少し簡単にできること。それがお前の得意なものだ。それが見つかれば、しがみつけ。必ず道は開く」という言葉で、裕一を音楽の道に導いてくれました。この言葉に勇気づけられた人や、我が子にこの言葉を聞かせたいと思った人も多いのではないでしょうか。

◆「頼るのは恥ずかしいことじゃない」

 そして、貧乏暮らしの中で大好きな詩を書き続ける鉄男に対して、裕一を通して「頼ることは恥ずかしいことじゃない。自分の才能から逃げるな。一生後悔するぞ」等いうメッセージを送ってくれたのも、藤堂先生。「俺はないモノを追ったんだ」というセリフに、三羽ガラスとは違う凡人としての藤堂先生の悲しみが滲(にじ)みます。さらに、一家で夜逃げした鉄男に名刺を渡し、後に鉄男が勤めることになる新聞社を紹介してくれていたのも、やはり彼でした。

 そして、唯一、藤堂先生との関係性があまり見えなかったのが久志でしたが、第62話に来て意外な事実がわかります。久志がもともと音楽に興味がなかったことも驚きですが、裕福で何の苦労もなく育ったように見えた彼が、両親の離婚で再婚相手を受け入れられず苦悩していたこと。さらに、産みの母に会いに行き、すでに幸せな家庭を築いていた様子を見てショックを受けたときに、「ふるさと」を歌おうと誘い、「いい声してるよ」と声をかけてくれたことが音楽の道に進むきっかけだったことが語られたのでした。

◆3)夏目千鶴子(小南満佑子)ヒロインのライバル

 東京帝国音楽学校の声楽科の音のクラスメイトでライバル・夏目千鶴子(小南満佑子・こみなみ まゆこ)。といっても、最年少で帝国コンクール金賞に選ばれるほどの実力の持ち主で「ミス・パーフェクト」と言われる彼女と音の技術の差は歴然。

 しかも、単なる才能ではなく、周りとは一切馴れ合わず、昼休み中なども黙々と一人で勉強し、誰よりもひたむきに努力を続ける、ストイックかつ孤高の存在です。

◆『ガラスの仮面』の姫川亜弓みたい

 そんな夏目さんに対して、わざわざ本人のところに行き、「才能があって羨ましい」などと言えてしまう音=二階堂ふみの天性のヒロイン的図太さは見事。そして、音に対する夏目さんの「才能って言葉、私は大嫌い。努力もしないで羨む人、理解できない」「音楽も家庭も友達も恋愛も、何でも欲しがって手を伸ばす。あなたみたいな強欲な人に、私は負けるわけにはいかない」という発言は正論かつ名言。

 努力をしても多くは報われないのが現実とはいえ、「才能」と呼ばれるものの裏にはたいてい並外れた「努力」があるもの。『ガラスの仮面』の姫川亜弓を思い出させる、努力+才能のストイックキャラにしびれた視聴者は多かったことでしょう。

<文/田幸和歌子>

【田幸和歌子】

ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など

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