娘を“第2の勝間和代にする”とエリート夫。謎の教育パパ化に妻は「別れたい…」

娘を“第2の勝間和代にする”とエリート夫。謎の教育パパ化に妻は「別れたい…」

写真はイメージです(以下同)

 高収入なのに、妻子に自分の給料を使わせたくない夫が増えている――。そう指摘するのは、1992年「離婚110番」を開設してから、夫婦問題のカウンセリングも担う澁川良幸さんです。

◆親の要求が「いい学校へ行け」だけじゃなくなっている

 澁川さんは、ある妻からこんな相談を受けました。半端なエリートの夫が、高校生の娘に「経済的な自立を学ぶ、教育の一環」という名目で、連日アルバイトをさせるとか。さらに、「娘を第2の勝間和代(経済評論家)にする」と言い出し、株式投資を教え込んでいるといいます。子育て方針の違いで、夫婦は離婚危機に…。

 子供を“今風のビジネスエリート”にするために、「いい学校へ行け」というだけでなく、英語やプログラミングなどを学ばせてスケジュール漬けにする親が出現しているという話があります(おおたとしまさ著『ルポ・教育虐待』)。「いい大学を出れば一生安泰」ではなくなっている今、子供への要求がますます増えていると。

 この夫も、そうなのでしょうか。

 澁川氏への取材をもとに、この夫婦のケースを再現しました。

◆高校生の娘に、株式投資を教えこむ夫

「去年、高校に進学した娘に、夫が株式投資を教えるようになりました。しかも、娘の学習塾代を『自分で稼げ』といって、娘に週6日ぐらい喫茶店でバイトをさせているんです」

 そう憤慨するのは、関西の地方都市に住む藤川真由子さん(仮名・35歳)です。

「娘は友達と一緒にショッピングしたり、遊びに出かけたいはずですよ。そういう年頃なんですから。ところが、夫は娘に、塾代を稼くように命じるのです。平日は下校してから塾までの間、土日はお昼から夜8時までバイト。おかげで娘は、学校と塾とバイトでへとへとになっています」(真由子さん、以下同)

 真由子さんが反対しても、ゆずらない夫。その夫の言動は、単なる「ケチ」ではないことがわかってきた、と真由子さんは言います。

◆東京の大企業から地元に移って、夫が変になった

 真由子さんの夫は、地元の進学校を卒業後、ストレートで東京の国立大学に入学したそこそこのエリート。高校時代からつきあっていた真由子さんが19歳で妊娠すると入籍、学生結婚でした。

「私は子育てをしながら夫とは別の大学に通いました。育児に専念したかったので、卒業と同時に専業主婦に。夫は卒業後、一部上場企業に入社したので、親子三人で東京で暮らしていました」

 ところが2年前に、夫が家業を継ぐことになり、関西の実家に一家で戻ってくると、夫が一変したのです。

「家業は中規模の地場企業で、夫は将来の後継者として取締役で入社しました。ところが東京の一部上場企業に比べて、規模もビジネススタイルも刺激も、全然ちがいます。夫は、暇だといって在宅で仕事をするようになって、出社は週1か週2の会議の時だけです」

 夫は自分の将来がイケてないことを悟って、娘に勝手な夢を託したのかもしれません。

◆“第2の勝間和代”? 意味わからん

「在宅時間が増えた夫は、娘に株式投資を教えこみ、しかも『社会に出て勉強しろ』と娘にアルバイトを強いるようになりました。実体験を積むことが大事だから、と娘を説き伏せて」

 夫は学校と塾の間にある喫茶店のアルバイトを決めてきて、嬉々として娘を送り出すそう。

「友達と遊ぶ時間がない娘がかわいそうだと夫に訴えると、『教育方針だ』と開き直ります。その理由を夫に尋ねると、娘を“第2の勝間和代”みたいにしたいというんです。絶句しました」

 真由子さんは、夫に「それはあなたの妄想。自分の思い通りに娘の人生を決めないで」と抵抗しましたが、夫は「自分の夢を壊すな」と激高するばかり。

 10年ほど前に引っ張りだこだった勝間和代さんは、中学時代からプログラミングを、高校時代から公認会計士の勉強をしていたそう。1秒もムダにせずに、効率を10倍にアップして年収を20倍にする――というライフハックが2007年頃に人気を博しました。夫はそういう娘にしたいのでしょうか。

◆専業主婦の妻に、「君の育て方が悪い」

 そうこうしているうちに、新型コロナパニックが勃発。学校が休校になり、またバイト先の喫茶店が営業短縮となったため、娘は自宅にいる時間が増えました。

「夫は家で娘にネット投資を教えようとしますが、娘はあまり興味がわかなかったと見えて、勉強の合間に趣味のイラストや手作りジュエリーに夢中になっています。すると夫は、自分の指示に従わない娘にイライラして、その怒りを私にぶつけてくるんです」

 夫から「君の育て方が悪い」と何度もなじられた真由子さんは、ますます夫への嫌悪感を募らせています。「もし娘が東京の大学に進学することになったら、私も一緒に行く」と、内心で夫との別居を決めているそうです。

 かつて「娘は嫁に行くんだから勉強しなくていい」という時代がありましたが、「勝間和代になれ」とは隔世の感。でも、どちらも親の押し付けであることに変わりありません。

(個人が特定されないよう一部脚色しています)

<文/夏目かをる>

【夏目かをる】

コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆〜恋、のような気分で♪」

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