三浦春馬さんの名演を振り返り。中学生から王子様まで、いま観られる作品は…

三浦春馬さんの名演を振り返り。中学生から王子様まで、いま観られる作品は…

三浦春馬さんの名演を振り返り。中学生から王子様まで、いま観られる作品は…の画像

 7月18日、三浦春馬さんが逝去されました。あまりに突然だったことから日本中に悲しみが広がっています。

 子役の頃から数々の作品に出演し、人気俳優として途切れることなくコンスタントに活躍し続けてきた三浦さん。所属事務所の公式ホームページによると、2000年以降、合わせて60本以上のテレビドラマ・映画・舞台にメインキャストとして出演していました。その中から代表的な作品を振り返りたいと思います。

◆『14才の母』(2006年)主人公の相手役で注目を浴びた

 Mr.Childrenの歌うテーマソング「しるし」が印象的だった『14才の母』(日本テレビ系列/DVDあり。hulu、Amazonプライムビデオなどで配信中)。未成年の妊娠というセンセーショナルな題材が話題になったこのドラマに、三浦さんは主人公の相手役として出演。初々しくもしっかりとした演技で、注目を浴びるきっかけともなった作品です。

 イケメンで頭がいいけれど頼りない少年を演じた三浦さんは、明るくて芯の強い主人公を演じる志田未来さんと好相性。難役を務める彼女がうまかっただけに、その相手役は容易ではなかったはずですが、やはり演技が達者で存在感のある三浦さんだったからこそバランスよく演じられたのではないかと思います。

 自分は何もできないと苦しむ少年の葛藤がとてもよく表現されていて、当時おそらく16歳の彼は伏し目がちのおぼっちゃんな様子がめちゃくちゃかわいいです。

◆『ラスト シンデレラ』(2013年)色気のあるイケイケの王子様を好演

「ちょっとエッチな大人の恋物語」というキャッチコピーで放送された『ラスト シンデレラ』(フジテレビ系列/DVDあり。FODで配信中)では、映画『君に届け』(2010年)の風早くんに代表される爽やかなイメージから一変。色気のあるイケイケの王子様もちゃんと仕上げてきます。

「ようこそ、僕のシンデレラ」なんて、ヒザをついてのたまうキザなセリフもお手のもの。三浦さん演じる広斗が登場するだけで、主人公の恋心とシンクロして画面がパッと明るくなるように感じます。とにかくカッコよくてたまらない三浦さんを堪能させてくれる作品でした。

◆『僕のいた時間』(2014年)病気と苦闘する主人公でギャラクシー賞受賞

『僕のいた時間』(フジテレビ系列/DVDあり。FODで配信中)は三浦さんの「命を題材にしたドラマをやりたい」という提案から作られたドラマ。彼が演じるのは筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症し、家族や恋人との関係に悩みながら病気と苦闘する主人公です。

 前向きに生きようとする懸命な様子に三浦さんのトレードマークとも言えるくしゃっとした笑顔が見られる一方で、病に体が苛まれていくことに恐怖する姿が生々しく演じられています。彼が振り絞るように吐き出すセリフの数々は思わずゾッとしてしまうほど。

 今となっては三浦さん本人と重ねてしまう部分もありますが、本作における真に迫った演技は彼の真骨頂と言えるかもしれません。

 なお、三浦さんは本作と『ラストシンデレラ』の2作品で、2013年度のギャラクシー賞テレビ部門個人賞を受賞しています。

◆『キンキーブーツ』(2016年・2019年)キレのいいダンス、ダイナミックな歌声を披露

 ブロードウェイの大ヒットミュージカルの日本版『キンキーブーツ』(日本版は残念ながらDVD・配信なし)の三浦さんは、奇抜な女装ばかり取り沙汰されることもありますが、注目すべきはこの役で読売演劇大賞の杉村春子賞を受賞したその圧倒的な技術と表現力です。

 演じたのはドラァグクイーンのローラ。高いヒールを履きながら軽々とステップを踏むキレのいいダンス、声量のあるダイナミックな歌声はおそらく本場にも負けないはず。

 女性らしいしなやかな身のこなしが板につき、いつもの三浦さんとはひと味違うローラの迫力に満ちた笑顔も忘れられません。すらりとした長身と鍛えられた肉体も相まって、板の上に立つ姿があまりにも魅力的。見る者を釘付けにする素晴らしさでした。こんなパフォーマンスができる若い俳優は今、三浦さんを除いて他にいないでしょう。

◆『銀魂2』や『コンフィデンスマンJP』では情けない役も

 主役級を演じることの多い彼ですが、映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』(2018年、DVDあり。Netflix、Amazonプライムビデオ、U-NEXTなどで配信中)や『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』(2019年、DVDあり。Amazonプライムビデオ、FOD、U-NEXTなどで配信中)などでは情けない姿、ダサい姿もハマっていて、20代という若さでさまざまなキャラクターをいずれも実に違和感なく演じていることも特筆すべき点です。どんな役柄もなじんでクセがなく、さらりとこなす演技力はもっと評価されてもよいと思っています。

 出演作を振り返れば振り返るほど三浦さんの才能が改めてひしひしと感じられ、亡くなったことが惜しまれてなりません。一つ一つの役を誠実に演じる高い演技力といい、品格のある美しさといい、日本を代表する唯一無二の俳優であることは間違いなく、これからもずっと私たちの記憶に残り続けるでしょう。

<文/林らいみ 写真/望月ふみ>

【林らいみ】

フリーライター。大学院で日本近世史を研究した硬派の歴女。舞台・映画・ドラマが好物。観たい舞台があれば万難を排して劇場に馳せ参じ、好き勝手言っている。たま〜に歴史系記事を書く。

関連記事(外部サイト)