猫にとって、ずっと家にいる飼い主はストレスの元凶だった!? 

猫にとって、ずっと家にいる飼い主はストレスの元凶だった!? 

家にいる飼い主 猫ストレス?

猫にとって、ずっと家にいる飼い主はストレスの元凶だった!? 

※写真はイメージです(以下同)

 一時期は減っていた新型コロナウイルスの感染者数は、再び増える一方。改めて外出自粛や在宅勤務の徹底が呼びかけられています。家で過ごす時間が基本となった生活の中で、犬やを飼っている方は「その存在が心の支えになった」という方も少なくないのではないでしょうか。

◆飼い主の在宅時間が増えて、ペットがまさかのストレスフル状態!?

 SNS上でも、

「今年いっぱいはリモートワークが基本になりそうなので、思う存分猫と遊べる!」

「全力で“もふもふ”します」

「普段あまり構ってあげられない分、ヘトヘトになるまで遊んであげよう」

と、ペットと向き合える時間が増えたことを喜ぶ飼い主さんたちの声をよく見かけます。

「コミュニケーションの時間が増えたことで、さぞウチの子も喜んでいることだろう……」と思いきや、なんと喜んでいたのは人間だけ。むしろ飼い主が家にいる時間が増えたことがかえって“ストレス”になって体調を崩してしまう子も増えているというのです。

◆猫は飼い主を“同居人”だと思っている!?

 ツイッターで猫や犬の豆知識や、飼い方のコツに注意点などかゆいところに手が届く呟きが人気の獣医にゃんとす先生(@nyantostos)いわく、

「とくに生活の変化に敏感なのは猫ちゃんです。猫ちゃんは群れずに自立した動物なので、ペースを乱されることがなによりもストレスになります。飼い主のことは“同居人”だと思っていることが多いかもしれません。

 一方で、犬は元々群れを作る動物です。飼い主のことは群れのリーダーだとおもっているので、忠誠心をもって尽くそうとしてます」

「飼い主をどう思っているか」も、かなり違うのですね。

 しかし、同居人とは、何ともクール!

「そうなんですよ。そういば最近SNSで、『おうち時間が増えて、思う存分猫吸い(ねこすい/モフモフとした猫の体に顔をうずめて、においを嗅ぎながらスーハ―と深呼吸をする行為)する』というツイートを見かけました。でもそれはリラックスしている猫ちゃんのペースを乱してしまうこともあるので、やるときは注意が必要です」

 たとえ、こちらが「よっしゃあ! 遊ぼう!」と両手を広げてテンション高めで接しても、

「………あのさ、こっちは自分のペースで過ごしたいの。別に構ってくれないくてもいいからほっといてよ」くらいの感覚なのです。なんかちょっと寂しいですね。まあ、猫好きにとってはそんなところも魅力なのですが……。

◆愛猫がストレスで病気に? 注意すべき症状とは

 さらに注意が必要なのは、小さな子ども(人間)がいる家庭です。

「子どもたちが家にいる時間が増えると、ペットの生活リズムお構いなしに遊び倒してしまう可能性もあります。基本的に猫ちゃんは“薄明薄暮性”といって、主に薄明(明け方)と薄暮(夕暮れどき)の時間帯に活発に行動する動物です。普段おうちの人が仕事や学校に行っている昼間は、ずっとお昼寝している子も多い。そんな時間帯に構いすぎてしまうと、一気に猫ちゃんのペースが崩れてしまうかもしれないのです。

 ほかにも、ウサギやフェレット、モルモットやハムスターなども同じく薄明薄暮性の動物と言われています。実際に僕の獣医仲間の間では、飼い主さんのおうち時間が増えた時期から、ストレスが影響している恐れのある猫ちゃんたちの来院が増えたと聞いています」

 猫にとって大敵のストレス。ときに、さまざまな病気の原因になることも多いようです。

「分かりやすいものでは、食欲減退や膀胱炎などです。場合によっては血尿が出てしまうこともあります。ほかにも何をしても鳴きやまなくなってしまったり、やたら物を落としたり攻撃的になってしまうことも。便秘や下痢、トイレ以外の場所でおしっこやうんちをしてしまう“そそう”が増えることもあります」

 自分のしっぽや体の一部を過剰に毛づくろいしてその箇所がはげてしまったり、出血するまで噛んでしまう自傷行為もあるとか。ストレスを感じやすい猫ちゃんだからこそ、健康を維持するためにも接し方には注意が必要です。

「僕も猫を飼っているので、飼い主さんたちが構いたくなる気持ちはすごく分かります。でも、今後も当分は家にいる時間が中心の生活が続くからこそ、注意が必要なのです。時間があるからといっていつも以上に構いすぎず、大切なのはお互いが無理なく過ごせる一定の距離を保つこと。

 猫ちゃんたちから寄ってきたときだけ話しかけたり、撫でたり遊んだりしてみてください。理想をいえば、そんな“猫主導”を意識できれば、猫とより良い関係を築くことができるはずです」

◆犬は逆に寂しさがストレスになる

 我が道をいく猫とは反対に、飼い主との時間が増えて喜びモード全開の犬たちも新たな問題に直面しています。それは、一時期はリモートワークだった飼い主さんが通常勤務に戻り、一緒に過ごせる時間が減ってしまったことへのストレスです。環境ががらりと変わって、寂しさからストレスを感じる犬たちも少なくないようですが……。

「冒頭にもお話しましたが、猫と違って犬は飼い主を“群れのリーダー”とみています。人の繋がりを大切にする犬だからこそ、同時にそれは人に対して依存もしやすいのです。場合によっては寂しさから、極度のストレスを感じて分離不安症障害を引き起こす可能性も考えられます」

 分離不安障害とは、寂しさやストレスが原因で過剰な無駄吠えや食糞に嘔吐、落ち着かない様子で常に興奮状態など様々な例があります。大好きな飼い主と離れる時間が増えたり、場所や環境が変わることに極度の不安を感じている状態です。

◆出かけるときに過剰に接するのはNG

「例えば出かけるときに過剰に『いってくるからね』『おりこうにしていてね』と言いながら顔や体を撫でまわしてしまうのはNGです。離れることを逆に意識させていしまったり、余計に興奮させてしまいます。

 帰ってきたときも同じです。それならば、何か行動を起こすときには逆にそっけないくらいスッと自然に出かけたり、波風を立てないことが大切。ワンちゃんも猫ちゃんも、刺激しすぎずにお互いが幸せで過ごせる一定の距離を意識してみてください」

 猫も犬も、飼い主の都合で振り回していいわけではなく、大切な生活のパートナー。だからこそ必要なのは“一定の距離感”なんですね。お互いに居心地のよい生活を続けるためにも、ペットが過ごしやすい距離感を意識して生活していきましょう。

●獣医にゃんとす(@nyantostos)

一匹の猫と暮らす獣医師。猫の飼い主さんに向けて、有益な情報や最新の獣医学研究を発信中。(個別の健康相談はご遠慮ください)

ブログ⇒「げぼくの教科書」

<取材・文/青山ゆずこ>

【青山ゆずこ】

ライター兼漫画家。ニッチな世界やアングラな体当たり取材から、認知症の介護問題など幅広いジャンルで取材・執筆を行う。著書に、夫婦そろって認知症の祖父母との7年間に及ぶドタバタ在宅介護を描いた『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)

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