頭痛やマスクの肌荒れに「自分で打てる鍼」のツボを医師に聞いた

頭痛やマスクの肌荒れに「自分で打てる鍼」のツボを医師に聞いた

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新型コロナウイルスの感染拡大以降、不調があっても「高熱や激痛でもない限り病院に行くことを躊躇してしまう」という人は多いのでは?

 そんなときこそぜひ「鍼」を試してみてほしいと、無料の鍼治療体験アプリ(シール鍼の貼る場所を教えてくれるアプリ)を開発するまでにいたった医師の加藤容崇先生に話を聞きました。

◆医師が医療費削減を目指して開発

 西洋医学の医師が鍼治療を勧めるのは意外な気がしますが、開発者の一人である医師の加藤容崇先生いわく「僕自身、研究を始める前は鍼治療を胡散臭いと思っていた」とのこと。それがなぜアプリ開発に至ったのか、その背景を聞きました。

「僕はもともと、増大し続ける日本の医療費に懸念を抱いていました。2019年度の医療費は過去最高の43.6兆円に達し、国家の財政を圧迫しています。そのうちの9兆円以上を薬剤費が占めるほど非常に大きなマーケット。本当に必要な薬ももちろん多いですが、一方、薬以外の方法で薬を使わなくても済むものもあると思います。ポリファーマシーと言って薬の飲み過ぎも問題になっていますし、崩壊寸前の医療財政への対策としても薬に頼らない方法は理に適っています。この現状を変え、次の世代への負担を軽減するには、少しでも多くの人が病院や薬に頼らずにセルフケアできる方向に持っていく方が良いと思ったんです」

 そこで着目したのが、セルフケアが可能な鍼治療だったというわけです。

◆エビデンスで「鍼治療って怪しい」を払拭

 そもそも鍼治療に怪しいイメージを持つ人が多いのは、流派が多く治療が標準化されておらず、そのせいでエビデンスが取れていないことにあると加藤先生。

「鍼治療自体は、技術の確かな鍼灸師が治療を行えば高い効果が得られものだと思っていたので、医学修士の学位を持っている鍼灸師である谷地一博先生にお願いし、僕が勤務する病院で1500人以上を対象に研究を行ったんです。すると、8割を越える方が効果を感じたという回答で、少なくとも谷地先生の腕前は本物だとわかりました」

 谷地先生のような確かな技術を持つ鍼灸師さんの知見を活かせば、効果的なセルフケアが実現できると加藤先生は確信。こうして、医療を変えるプロジェクトとして、まずは体験アプリ「ココハル」をリリースすることにしたのだとか。

「受診率=アプリ利用率を上げるために、アプリは完全無料で広告も一切いれていません。多くの人に利用してもらわなければ、医療を変えるきっかけになりませんからね。最初は小さくても、脱病院・脱薬のギアになればいいなと思っています」

◆コロナ過で増加中の「マスクの不調」からスタート

 現在は第一弾として、コロナ過で増えている「マスク着用による不調」の対策が公開されています。

「マスクを長時間かけ続けることにより、頭痛やめまい、息苦しさ、耳鳴りなどさまざまな不調を訴える人が増えています。『緊急性はないから』と我慢しがちなこれらの悩みを、まずは解決できれば。マスクかぶれなどの肌荒れに効くツボも公開されていますよ」

 そのほかPMS(月経前症候群)や便秘など、多くの女性が悩まされている症状にも効果が出やすいという鍼治療。今後はそうした幅広い不調に対応できるよう、順次内容を充実させていく予定だそうです。

 試しに女子SPA!編集部員が頭痛と肌荒れで診断してみました。まずは事前にドラッグストアやオンラインショップで売られている「シール鍼」を用意(なんでも大丈夫だそうです)。次に、アプリの画面上で自分の悩みを選択すると、シール鍼を貼る場所と貼り方の説明画面が表示されるので、その指示に従ってシール鍼を貼っていきます。

◆頭頂部の頭痛を感じたときのツボ「曲線」

 まずは、頭頂部の頭痛に効くというツボから探してみます。あぐらで座ったときに、膝の内側にできるシワの先端を真っ直ぐ手の指で押してみます(シワが複数ある場合は、一番長いシワの先端)。骨を感じ、周りに比べて少し凹んでいるところを押してみると、他の箇所とは違い、刺激が広がるような感じがするところがあります。

 そこが頭のてっぺん、首の横側、背中、足首の動きに深く関与する「曲線」というツボだそうです。

 ツボを見つけたら、見失わないよう水性マーカーなどで印を付けます。シール鍼の真ん中が、マークしたツボに当たるように、シール鍼を貼っていきます。最初は手間取りましたがなんとか貼ったら、姿勢を整えて肩の力を抜きます。リラックスしたら、シールの真ん中を上から軽く抑えて、ゆっくり3回深呼吸します。

 このとき、強く押しすぎると、体がこわばって逆効果なんだとか。ゆで卵の表面を押して形が崩れないくらいの力を意識します。

 深呼吸が終わったら指を離し、もう一度姿勢を整えて、肩の力を抜いていきます。

 最後に痛みのあった場所を、確認してみます。確認の際も、あまり強く押すとダメージになり、痛みを作り出す原因となるので、やさしく確認しましょう。

※鍼シールは、1日経ったら張り替えるのがベストとのこと(鍼シールの注意事項は、各商品のものに従ってください)。

◆頬の肌荒れが気になるときのツボ「飛揚」

 続いては「頬の肌荒れが気になるときのツボ」です。椅子に座って楽な姿勢をとります。外くるぶしの一番高いところから膝の外側に向かって指11本分上にいき、そこからふくらはぎ側に向かって指3本分後ろに行ったところを探します。

 ふくらはぎの筋肉の下側にある縁に「飛揚」というツボを見つけたら、こちらも見失わないよう水性マーカーなどでマークします。飛揚は首の横の痛みや、身体を捻る動作と深い関係があるツボだそう。

 そこにシール鍼を貼ったら、姿勢を整えて肩の力を抜いていきます。肩の力が抜けたら、シールの真ん中を上から軽く抑えて、ゆっくり3回深呼吸します。

 深呼吸が終わったら指を離し、もう一度姿勢を整えて、肩の力を抜いていきます。肌荒れに効果が現れるまで1週間程度の時間が必要とのこと。一朝一夕とは行かないものの、一週間ほどで肌荒れが収まるのならば、嬉しいですよね。

◆鍼シールがない場合は、該当箇所を軽く押すだけでもOK

 鍼治療の一番のメリットは、やはりセルフでも簡単にできること。いざ試すとなると、「鍼って素人がそんな簡単にやっていいものなの?」と不安を抱くかもしれませんが、このアプリを立ち上げたのは現役医師と凄腕鍼灸師の2人。実際に鍼シールを貼る場所と貼り方の説明画面を見てみると、ツボを探すときの体勢やツボの探し方、貼るときの力加減などがこと細かに書かれているので、素人でも迷うことなく貼ることができます。

「鍼シールがない場合は、該当箇所を軽く押すだけでも、弱いですが効果は得られます。鍼シールは、本物の鍼がついたもののほか、鍼の代わりにプラスチックの突起がついたものもありますが、プラスチックでも効果は十分。鍼に恐怖心がある人にもおすすめです」

◆飲み合わせの注意も副作用もないから安心

 また、“安全性の高さ”も鍼治療の大きなメリットだと加藤先生。

「鍼治療はすべての病気を治せるほど万能ではありませんし、人によって効果の出方も違います。でも、薬のように飲み合わせの注意や副作用がない、体に優しい治療法なので、ひとまず試してみる価値はあるのではないでしょうか」

 自分の身は自分で守らなければいけないこのご時世、鍼でのセルフケア方法を知っているだけで、暮らしに少し安心感が生まれるかもしれませんね。

【加藤容崇先生プロフィール】

群馬県出身。北海道大学医学部医学科卒。應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット、北斗病院腫瘍医学研究所に勤務。専門は癌の遺伝子診断。サウナによる予防医療や鍼治療など伝統的な健康習慣・医療技術の研究を第二の専門としている。医師、医学博士とプロの鍼灸師により発足した鍼によるセルフケアプロジェクト「ココハル」をリリース

<取材・文/持丸千乃>

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