夏目三久アナの引退で考える、今どき“結婚退職”する女性たちの事情

夏目三久アナの引退で考える、今どき“結婚退職”する女性たちの事情

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2021年4月に有吉弘行さんとの結婚を発表していたフリーアナウンサー・夏目三久さんが、9月末で芸能界を引退しました。

 報道からバラエティまで、さまざまな番組で活躍するさなかでの決断について、有吉さんは「夫婦のすれ違いを防ぐため」、夏目さんは「夫を支える側にまわりたい」と出演番組で話していました。

 このように、バリバリ働いている女性が結婚を機会に仕事をセーブ、退職するというケースは、いまでも一般社会にもあるのか? そして、どのような背景があるのでしょうか? 恋愛・婚活コンサルタントであるわたくし・菊乃が実例を挙げて解説していきます。

◆出産後も仕事を持つ女性が過半数

 現代の婚活現場では、“専業主婦希望”の女性は不人気で、男性はほとんど共稼ぎ希望です。育児休業制度の利用者も増え、男女共同参画白書平成30年版によると、1人目の子どもが生まれた時点で女性の過半数53.1%(2010〜2014年に出産)は仕事を持っています。

 1985〜1989年では子どもが生まれたときに仕事を持っている女性は39.2%だったので、昔に比べると結婚出産を経ても働き続けるスタイルは、徐々に増えてきていると言えるでしょう。

 2021年には育児・介護休業法も改正され(2022年から段階的に施行)、出産後も働き続ける女性はさらに増えるのではないでしょうか。

 一方で、「結婚を機に辞めた」という女性たちのケースを見てみましょう。

◆転勤が多い仕事のため、結婚を機に退職

 Aさん(30代前半)は東京に本社がある医療器材の会社に勤務し、営業職として地方都市に赴任していました。

 その会社で仕事を続ける限り転勤が付いてきます。転勤がない部署は空きがあれば移動できるかもしれませんが、そう都合がよく空きが出るかもわかりません。

 Aさんは東京本社に出張のたびに婚活パーティーに参加していました。やがて、東京の男性と付き合いはじめ、結婚を機会に仕事を辞めて東京で暮らし始めました。

「男性は奥さんや家族を連れて転勤する人がいましたが、女性でそういう人はいませんでした。転勤に理解がある男性なんて、なかなかいませんし、私も遠距離はちょっと。だから仕事は嫌いじゃないけれど、辞めるしかないと思います」(Aさん)

◆「夜勤よりも家族の時間を」と辞めた看護師

 薬剤師、看護師の女性は婚活する際に広いエリアの男性を対象に婚活する人も多いです。理由を聞くと「今の職場から通えない距離なら、私が転職すればいい」とのことでした。

 看護師のBさん(20代後半)は夜勤もある大学病院勤務でした。結婚相談所でSEの男性と出会い、結婚前提の交際が始まったころ、大学病院を辞めて訪問看護に転職しました。夜勤もなく日曜日が休めるので、家族の時間を持ちやすいそうです。

「夜勤もあって人間関係もきつくて。大学病院内マネージメント病院内でキャリアを積む人もいますが私は結婚していなくても、自分の方向性は大学病院じゃないなと思っていました」(Bさん)

◆妊活のために、ブラックな職場を退職

 Cさん(20代後半)はWEB系企業でディレクター兼デザイナーとして働いていました。

 彼氏と結婚の話がでて、ブライダルチェックを受けたら妊娠しにくいことがわかりました。納期前の寝不足が続くハードワークや慢性的な冷え性、偏った食事といった生活習慣を見直そうと、医師から言われたそうです。

 Cさんの職場には、結婚している女性は少なく、ブラックに近い職場環境。有休もほとんどとったことはなかったそうです。仕事は好きでしたが、この職場に居続けたら私生活を充実させることは難しいと思い、彼氏にサポートしてもらいながら転職活動を始めました。

 Cさんは子どもを授かることを望んでいたのですが、ブライダルチェックを受けた産婦人科は待ち時間も長く、予約も取りにくかったため、激務をこなしながら妊活をすることは不可能でした。転職後に入籍し、現在は妊活に励んでいるそうです。

◆妊活へのサポートがまだまだ不十分

 Cさんのように妊活をきっかけに会社を辞める女性は少なくありません。

 法改正などにより妊娠後の産休・育休は徐々に取得しやすい方向に進んでいますが、妊活についてのサポート体制はまだまだ不十分なのです。

 厚生労働省が平成29年に発表した「不妊治療と仕事の両立にかかわる諸問題についての総合的調査研究」によると、81.1%の企業は不妊治療について何の制度もないと回答しています。

 また、不妊治療中の人の57.7%は、会社には不妊治療のことは伝えていないそうで、オープンにしている人はわずか7.3%でした。

◆結婚退職は、“本当の理由”を伝えずに退職できる

 Cさんは退職の際に「妊活がしにくいから」「有休がとりにくいから」といった事情を一切伝えず「結婚するから辞めます」と伝えて退職したそうです。

「みんなからおめでとうと言ってもらえて、円満に送り出してもらってよかったです。ブラック気味ではあったけど、仕事も同僚も嫌いじゃなかったし、去り際に揉めたりしたくなかったので」(Cさん)

 結婚を機会に仕事を辞める場合の最大のメリットは、めでたいこととしてみんなが送り出してくれることではないでしょうか。

 筆者の周りでも結婚後もバリバリ働いているけれど、「結婚するから」で辞めた人を何人か知っています。いまどき、結婚式を挙げないカップルも珍しくないので「式はいつ?」と突っ込まれても「身内で小さくやる予定です」で済みます。

◆「結婚」を口実にすると円満に辞められる

 結婚後も働き続ける女性が多くなった今でも、「結婚するから」と言って退職を願い出ても「そんなの辞める理由にならない」と言われることは、あまり考えられないでしょう。

 実は結婚する予定がなく、転職活動をしていて他に内定が出ていたり、今の会社でキャリア形成がしにくいから辞める場合でも、職場環境に不満があって退職するようには受け取られないため、円満に辞めることができるのです。

 家族の介護を理由に退職するケースもありますが、結婚は慶事なので、余計な心配をかけず、快く送り出してくれるでしょう。

◆結婚を理由に退職した場合のデメリット

 最近、NTTが転勤と単身赴任廃止を発表して話題になりました。こういう動きは他の企業にも広がるのかもしれません。

 しかし、女性が結婚を理由に退職してしまうことが続けば、その会社の上層部は「女性は結婚で仕事を辞めるものだろう」と思ったままでしょう。

 結婚は単なる口実で、職場環境に問題があっての退職であったとしても、それを誰も指摘をしなければ会社は変わりません。

 夏目アナも平日は深夜2時45分に起床するハードワークを7年半続けていたそうです。そりゃ、すれ違いも起きますよね。

 もしかしたらずっと前から円満に辞める準備をしていたのかもしれませんね。末長いお幸せを願っております。

<文/恋愛・婚活コンサルタント 菊乃>

【菊乃】

恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt

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