奇跡の69歳、“しょうがの女神”に聞く「美しい生き方のヒント」

奇跡の69歳、“しょうがの女神”に聞く「美しい生き方のヒント」

森島土紀子さん

今から30年ほど前。世界で初めて“しょうがの専門料理店”を新百合ヶ丘にオープンし、“しょうがの女神”として多くのお客様に愛される森島土紀子さん(69)。さわやかでスパイシーなしょうがの魅力そのままに、美しく笑顔あふれる生き方のヒントを伺いました。

◆子どものころからガリが大好きだった

――森島さんは、いつしょうがと恋に落ちたのでしょう?しょうがとの出会いを教えてください。

森島土紀子さん(以下、森島)「私は子どものころからガリが大好きで、お寿司屋さんに行くとガリばっかり食べていたんですよ。今でも、私の前には小皿に盛った専用ガリが出てくるほど(笑)。特に家庭でしょうが料理が多かったわけではないけれど、子ども心に「しょうがっておいしいな」と思っていたんでしょうね」

◆40歳になって初めて仕事を始めた

――それが“初恋”ですね。では、本格的な恋は?

森島「本格的な恋は、お店を始めたときかな。私、専業主婦だった時代が長くて、40歳になって初めて仕事を始めたんです。いちばん下の娘が中学校に入ると同時に、『もういいかな、仕事したいな』と思って踏み切りました。

 “仕事着屋しょうが”っていうお店を始めたんですが、そのときは料理屋さんではなかったんです。女性のためのワークウェアのお店で、今で言うSDGsかしら、みなさんからいただいた古い服や布地を使ってエプロンや作業着を作っていました。それと手作りのアクセサリーとか。今付けているピアスも、しょうがの皮で作ったんですよ。私は昔から“もったいない精神”がすごくて、捨てるものがないんです。断捨離しなくちゃいけないんだけど、いろんな糸やら布やら大好きで、捨てられなくて(笑)」

◆レジがしまらないくらい繁盛

――お料理屋さんではないのに、なぜ“しょうが”という名前に?

森島「ふっとしょうがが頭に浮かんで、『そういえば、しょうがって大事な生活の隠し味だな』とひらめいたんです。ピリッとして、それがあるとお料理がおいしくなりますし。私は結婚した当初からしょうがを使わない料理は作らないくらいしょうがに親しんでいたし、『これだな!』と。

 それでお店を始めて、最初はレジがしまらないくらい繁盛しました。自分で商品を作って、売って、帰ってきて夜なべして……夫に『早く寝なさい!』と怒られながらがんばっていたんですが、オープンして半年目くらいかな、近所にいろんなショッピングセンターができて、お客さんがさーっと引いてしまったんです」

◆世間がにんにくブームの中、しょうが料理屋をオープン

――大ピンチですね。

森島「ええ。一緒にお店を始めた友人と、『このままじゃ家賃が払えないかもしれない。でも、せっかく始めたのにやめたくないね』と頭を抱えました。それで、『何かほかのことをやろう。ふたりとも料理が好きだったので、食べ物屋さんをやろうか?』という話になりました。

 30年くらい前の話ですが、当時、にんにく料理の店はいっぱいあったんです。でも私はもともと人のマネをするのも、ブームに乗るのも嫌いで。じゃあどうしようかなと思ったとき、『そうだ、しょうが料理があるじゃない!』と。

 それでしょうが料理店を始めました。オープン早々、『出没!アド街ック天国』の取材で来てくれた方が『調べたんですが、しょうが料理の店って世界中にここしかないんですね』って教えてくださって。それからどんどんお客様に起こしいただき、ありがたいことに行列のできるお店になりました」

◆学生時代に突然プロポーズされて結婚

――すばらしいですね。森島さんは40歳まで主婦だったとのことですが、学生時代にご結婚されたとか。

森島「はい。当時は美大生で、4年のときに結婚しました。私、童話の『鶴の恩返し』が大好きで、どうしても機織りをやりたかったんです。機織りを学べる美大に進んで夢が叶ったんですが、大学4年のときに未来の夫と出会いまして」

――運命の出会いですね。

森島「ええ。夫は4つ年上で、テレビ番組の制作会社に勤めていました。そのころ、彼がディレクターをするサイクリング番組で『タレントさんの後ろに付いて、自転車に乗る女の子』を探していたそうで、友人づてで私が紹介されたんです。

 そのお話をお受けして、最初は江ノ島だったかな? タレントさんと一緒にロケに参加しました。それから1週間ほどして、彼から「ちょっと言いたいことがあるんだけど……」と電話がかかってきまして。それで『僕のお嫁さんになってください』とプロポーズされたんです」

◆直感で「あ、いいな」と思った

――ええっ、それは急ですね……!

森島「『えっ?』って戸惑いますよね(笑)。そうしたら『じらさないで』って。実は大学に入って初めてアルバイトした所で『付き合ってください。卒業したら結婚してほしい』と申し込んでくれた人がいたんです。その人は裕福で優しい人だったけれど、『この人と結婚……?』と考えるとちょっとピンときませんでした。でも夫のことは、私も初対面で『あ、いいな』と思ったんです。とはいえ、1週間でそんなこと……とも思いましたが、夫がすごくキュンとすることを言ってくれたので、共に歩くことにしました。

 出逢ったのが9月で、11月に結納、1月に入籍、3月に卒業。その年の11月に長女を出産しました」

◆新婚時代を支えてくれた両親たちに感謝

――すごくスピーディーな展開ですね。ご結婚後の暮らしはいかがでしたか?

森島「卒業後も自分で染めた生地で洋服を作ったりはしていましたが、私は子どもを保育園に預けて働きたいとは思わなかったんです。今はたくさん選択肢がありますから、子育てしながら仕事を続けたり、育児中は辞めてまた復帰したり、それぞれの道を選べるのはいいことですね。

 外で働きはしませんでしたが、自宅で“子ども造形教室”を開いて、子どもたちに絵を教えていました。当時は夫の収入も多くはなかったので、毎月義理の母に『すみません、今月も生活費を貸してください』と頼んで、お給料が入ったら返しての繰り返しでした。夫の母は座布団の下にそっとお金を忍ばせてくれたり、私の母は『映画でも行ってきたら』と送り出してくれて、戻ると冷蔵庫の中にいっぱい食べ物が入っていた、なんてこともありました。新婚夫婦を支えてくれた家族の思いやりには、今も感謝の気持ちがやみません」

◆大好きだった夫との突然の別れ

――裕福な男性にも求愛されたそうですが、心は動きませんでしたか?

森島「全然。もちろんお金はあったほうがいいけれど、やっぱり『好き』って気持ちでしょう。結婚してしばらくして、夫が勤めていた会社が傾いてしまったんです。お給料が遅配したり、もらえないこともあって。そんな折り、出版社の知人が夫を引き抜いてくれて、夫はそこで35年間働きました。

 35年働いて、また元の業界に戻って、ようやく景気もよくなってきたとたん、彼は大好きなゴルフ場で倒れたんです。救急車に乗って、15分で心臓が止まったと聞きました。ごめんなさい、この話になると涙が……。先日七回忌だったんですが、今でも会いたいです。毎日、思い出しては泣いています。

 仕事でどんなに遅くなっても、会食やお付き合いがあっても、かならずご飯は『家で食べるから』といって私のしょうが料理を楽しみにしていてくれました。『どの料理が好き?』と訊いても、『なんでもおいしい』と。まぁ、私の選んだ人は、最高の人でした」

◆仕事着屋を再び開きたい

――すばらしいパートナーさんですね。

森島「今は本当にひとりでさみしいですね。ただ、友だちと会ってランチしたり、お酒は大好きだから毎日いただいて、気分転換しています。でも最近はつらいニュースが多いから、それを目にすると気持ちが悪くなってしまって。自律神経が参っているのかもしれませんね。胃がキューッとなってしまうの。2年くらい前、胃がんになったんじゃないかと思ってすぐ診ていただいたんですけど、お医者様に『な〜んにもない、きれいな胃だよ。パパさんロスでしょ』って言われてしまいました(笑)」

――何もなくてよかったです。

森島「夫は、すぐそばで見守ってくれていると思っています。それで今、また原点に帰って何か始めたくなったので、仕事着屋のほうをやろうかなと思っているところです。で、今は店舗を探し中。終の棲家だから、家も売って店舗住宅にしようと思っています。

 私は今ひとりですが、母が住んでいたから家は二世帯住宅になっていて。でもひとりで住むには広すぎるから、好きなものだけ持ってあとは処分しようとしてるんですけど……さっき言ったみたいに糸だの布だの、かさばるものがたくさんあって捨てられないんです。ほかの人から見たら『ガラクタじゃない?』っていうようなものでも」

◆心豊かに生きるためのヒント

――しょうがを使うことでどんなお料理もおいしくなるように、たとえガラクタに見えるものでも、森島さんの手が加わると素敵に生まれ変わりますよね。森島さんのように心豊かに生きるためのヒントがありましたら、教えていただけますか?

 そうですね、いくつかありますので挙げてみますね。

●自分のラッキーアイテムを見つける

森島「私にとっての“しょうが”のように、小さなころから大好きなもの、いつもそばにあるもの、手に取ると安心するものはありませんか? よく目をこらして見てみると何かのきっかけになったり、人生のテーマが見つかるかもしれません」

●直感を大切に、心の声をよく聞く

森島「『これがいい!』『この人が好き!』みたいに、心が弾む感覚を大事にするといいと思います。心が“好き”と言わないのに、条件がいいから、経歴が立派だから……といった情報に飲まれてしまわないほうがいいですよ」

●人にはガラクタでも、自分には宝物

 森島「古い布や糸、旅先で買い集めた雑貨など、私は人から『ガラクタ?』と言われそうなものをいっぱい持っています。でも、どれも大好きだし愛しく思っています。すっきりした環境は素敵ですが、『捨てられない私はダメだ』とうつむくのは違うはず。ガラクタか宝物か、決めるのは自分です。自分の価値観に自信を持ってくださいね」

――ありがとうございました!

後編では森島さん秘伝のしょうがレシピと、美しさの秘密を教えていただきます。

<取材・文/みきーる 写真/渡辺秀之>

【みきーる】

ジャニヲタ・エバンジェリスト。メンタルケアカウンセラー?。女子マインド学研究家。応援歴20年超のジャニーズファン。女心を知って楽しく生きるためのライフハック“女子マインド学”を提唱。著書に『ジャニ活を100倍楽しむ本!』(青春出版社)『「戦力外女子」の生きる道』他。Twitterアカウント:@mikiru、公式ブログ:『ジャニヲタ刑事!』

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