精子力を高める、8つの生活習慣とは?女性も知っておきたいポイント

精子力を高める、8つの生活習慣とは?女性も知っておきたいポイント

画像はイメージです

この4月から、体外受精などの不妊治療が公的医療保険の適用範囲となりました。3月までは不妊の原因となる症状の検査・治療が保険対象内でしたが、これに加えて人工授精や体外受精、顕微授精でも保険が使えるようになります。

◆コロナ禍で男性の不妊症受診率が増加

 昨年からの新型コロナウイルス流行の影響でテレワークの増加など日常生活において様々な変化がありました。「通勤時間がなくなった」「昼休みなどに病院やスーパーなど近所への外出が可能になった」など、自由が利きやすいライフスタイルになったことが影響して、実は男性の不妊症受診率が前年比で16%増加しているのです。

 そこで今回は「男性が気をつけたい妊活のポイント」について、獨協医科大学 特任教授 泌尿器科医の岡田弘先生に伺いました。

◆不妊の約半数は男性不妊症が原因

 WHO(世界保健機関)によると、不妊症は「1年間の不妊期間を持つもの」と定義されています。日本では夫婦5.5組に1組が不妊治療を受け、子どものいない夫婦では3割近くが不妊治療を受けています(国立社会保障・人口問題研究所「2015年社会保障・人口問題基本調査」)。

 不妊の原因は女性にあると思われがちですが、WHOが1996年に調べた不妊症原因調査によると、男性のみ24%、女性のみ41%、男女とも24%、原因不明11%と報告されています。

 当時は女性不妊症の解析が進んでいたため、女性の方が割合は多いと考えても、男性のみ、男女ともを合わせると、男性が原因に関わる場合は48%と、男性側にも原因があることが分かります。妊活は夫婦で一緒に取り組むことが大切です。

◆男性不妊の原因となる、ミトコンドリアの質と量

 男性不妊の主な原因としては精子の数が少ない・ない、もしくは精子の運動性などの状態が悪いといった「造精機能障害」、精巣上体炎などにより精管が詰まっているなどの「精路通過障害」、そして「性勃起不全(ED)」などの性機能障害が挙げられます。

 造精機能障害には、精子の「量」と「質」が大きく関わっています。精子の「量」と「質」の低下には、細胞内のミトコンドリアで作られるエネルギー産生量の減少が影響しています。ミトコンドリアとは、体を構成する細胞を動かしているエネルギーを作るものです。

 このようなミトコンドリアの機能低下が原因の不妊症は、「ミトコンドリア男性不妊症」と呼ばれています。

ミトコンドリア×精子の「量」

 ミトコンドリアによるエネルギー産生量が減少すると、精子になる細胞の成熟過程が途中で止まり、未熟な細胞が死んでしまうことで、精子の「量」が減少してしまいます。

ミトコンドリア×精子の「質」

 精子が泳いで卵子まで到達し受精するためには、運動能に関わる精子の「質」を高める必要があります。質の良い精子とは、成熟して正常な形態であり、長距離を泳ぐ力があること。精子の成熟にも、泳ぐ原動力にもミトコンドリアで作られるエネルギーが必要不可欠です。

◆精子力を高める、8つの生活習慣とは?

 造精機能障害の改善が期待できる生活習慣として、以下のようなものが挙げられます。

@ バランスのとれた食事・サプリメントによる補完

 質の良い精子を作るために、ミトコンドリアの働きを活性化させる還元型コエンザイムQ10をはじめ、亜鉛、ビタミンC、ビタミンE、鉄分などを含むバランスの良い食事を心がけると良いです。食事では摂取しきれない栄養素は、サプリメントでの摂取もおすすめ。

A 禁煙

 タバコを吸うと血管が収縮して血流が悪くなります。ペニスは血管の塊であるため、血液が流れにくくなると、ED(勃起不全)を招くことに。また、喫煙によって精子の数や運動性の良い精子が減り、さらに酸化ストレスで精子のDNAが損傷するおそれもあります。

B 禁欲しない

 精子は毎日作られますが、射精しないと古い精子が溜まり、精液全体の質を下げてしまいます。また、禁欲を続けると、精子のDNAの損傷率が高くなる傾向があります。禁欲は1〜2日程度が十分であり、頻回にセックスするほど妊娠しやすいというデータもあります。

C ぴっちりした下着は避ける

 下着はぴったりしたブリーフよりも、ヒラヒラゆとりのあるトランクスタイプがおすすめ。睾丸(精巣)は熱に弱く、温度が上昇すると精子を作る造精機能が低下します(睾丸がブラブラしているのは、風通し良く、熱がこもらないようにするため)。ブリーフやタイトなジーンズなどで圧迫すると機能が低下してしまうため、できる限り着用を避け、着用の際は長時間は避けた方が良いです。

D サウナ・長風呂は控える

精子を作る精巣は、熱に弱いです。股間を高熱にさらすことは、精子を作る造精機能に悪影響を及ぼします。そのため、高温のサウナや長風呂は避けることをおすすめします。

E 膝上でのPC操作はしない

 パソコンは使用していると次第に熱を発します。膝の上に置いて使えば、股間へとその熱が伝わり、熱に弱い精子には大打撃です。ノートパソコン利用が陰嚢の温度上昇に繋がるという研究データもあります。どうしても使う際は、短時間にするなど注意が必要です。

F 自転車で股間を刺激しない

 健康のためのサイクリングも、ハードすぎると精子力に影響を及ぼすことがあります。 長時間、前傾姿勢のライディングを頻繁にすると、サドルがあたって男性器付近の血流が悪くなり、EDや精子の減少、物理的な刺激による前立腺炎により精子の通過障害がおこり精子運動率の低下を招くおそれがあります。自転車に乗る際は、男性器付近の圧迫を避けて血行を確保するように意識すると良いです。

G 育毛剤に気を付ける

 AGA(男性型脱毛症)の治療薬のうち、フィナステリドやデュタステリドを主成分とする治療薬には、精子形成や成熟に必要な男性ホルモンの作用を抑える働きがあります。また、副作用として性欲減退や精子数の減少、陰茎海綿体の線維化によるEDなどが起こることもあるので、育毛剤を使用する際は成分に注意が必要です。

 このように、日常の生活習慣から改善できる不妊症改善策はたくさんあります。クリニックでの診療を受けることは非常に大切ですが、こういった日常の習慣から意識することも良いでしょう。

<文/るしやま 監修/獨協医科大学 特任教授 岡田弘>

関連記事(外部サイト)