お酒で人生が壊れた女性、アルコール依存支援の集まりに参加して号泣のワケ<漫画>

お酒で人生が壊れた女性、アルコール依存支援の集まりに参加して号泣のワケ<漫画>

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どんな人にとっても、アルコール依存症は決して遠い世界の話ではありません。最上うみみさん作のコミックエッセイ『お酒で壊れた人が集まる場所で』には、アルコール依存症予備軍となった当時21歳の最上さん自身が、お酒の魔力と戦った壮絶な日々が綴られています。

 お酒を断つために入会した“自助グループ”。そこで出会った仲間たちとの交流や、根底に巣食っていた自身のトラウマを、作者自ら赤裸々に曝け出した本作。なぜ、人はアルコールに溺れてしまうのか。そこから抜け出すために必要なこととは――。本記事では1話を紹介。著書の最上うみみさんにお話を聞きました。

◆酔いつぶれるまで飲みまくる日々

――『お酒で壊れた人が集まる場所で』は、21歳頃の話だそうですが、成人してからどのような日々を送っていたのでしょうか?

最上うみみさん(以下、最上)「お酒を覚えたてだった20歳の頃は、誘われたら飲むくらいの感覚でした。それがお酒を飲めば気分が良い=嫌なことを考えなくてもいいってことに気が付いてから、どんどん酒量が増えていったんです。朝、仕事に行って辛い思いをして、帰宅したらすぐに飲み始めて、酔い潰れるまで飲む。そんな日々の繰り返しでした」

――毎日の酒量はどれくらいでしたか?

最上「体質的にお酒自体が強い方ではないので、量はそんなに飲めないんですよ。でも、その分だけワインや日本酒など、アルコール度数の高いものを飲んでいました」

◆家賃が払えなくなって目が覚める

――その当時のお酒での大失敗エピソードはありますか?

最上「大きかったのは仕事を失ったことだと思います。お酒のせいで起きられなくて休んでってことが何度があって。ある日『もう来なくていい』とやんわり言われたことが本当にショックでしたが、その夜もまたお酒を飲んで『世の中腐ってる』なんて思ってました(笑)」

――そんな生活を改善しようと思ったのは、飲み始めてからいつ頃のことだったのですか?

最上「たぶん、一年半から二年くらい経った頃ですね。急速にその状態になったので、けっこう早い段階で生活に支障をきたしてたんですよ。家賃が払えなくなってて、生活できない。親兄弟や頼る存在がいなかったので、その分だけ『これはよくない』と察するタイミングが早かったのだと思います」

◆母と同じにはならないと思っていた

――最上さんのお母さんもアルコール依存症に苦しめられ、47歳の時に脳溢血で亡くなっていますが、自分も同じように飲むことに抵抗はなかったのでしょうか?

最上「最初のうちは避けてましたよ。『お酒のせいでお母さんがああなったから飲みたくない』って。でも、社会に出ると周りの人たちは普通に飲んでるじゃないですか。それで抵抗感は薄れました。自分は母と同じにはならない、大丈夫だと信じてたし、飲んでみたら『こんな魔法みたいな良いものだったのか』って思いましたもん。でも、気が付いたら母のようになっていて、すごく自分でも嫌な気分でしたね。なんでこうなっちゃったんだろうって」

◆自助グループは自分のことをさらけ出せる場所

――そして、アルコール依存症の方々が集う自助グループへと辿りついたわけですね。この会を知ったきっかけは?

最上「もともとは母親のために見つけたもので、チラシをたまたまとってあったんですよね。自分がそうなった時にふと思い出して、行ってみようって思いました」

――実際に足を運んでみて、どんな印象を受けました?

最上「正直、行く前は相談窓口みたいな場所だと思ってたんですよ。困ってるって言えばアドバイスをくれるみたいな。でも、本にも書いたように、実際は自分のことを曝(さら)け出すように、みんなの前で話をする場だったんです」

――「いきなりそんなの無理!」ってなりませんでした?

最上「そこに居る人たちの雰囲気が最初から温かかったから大丈夫でしたよ。よく来たね、どうぞどうぞって歓迎のムードだったので問題なかったです」

◆みんな同じ経験者だから本音で話せた

――自助グループでの活動を始めて、一番「助けられた」と感じたのはどんなところでしょうか?

最上「孤独から救ってくれたことです。自助グループの関わりは、お酒を介した飲みニケーションとは全く違うもの。お酒の場では本音を話せる場所ではなくて、むしろ本音を隠しながらそこにいるような感覚すらありました。それが、自助グループでは私の本当の気持ちをわかってくれてた。みんな同じ経験者だから、すんなりそこに溶け込めたし、自分の感情を出しやすかったんでしょうね」

◆印象的だったアルコール依存症同士のカップル

――本の中にも自助グループの仲間たちが何人も登場しますが、そこには描かれてはいないけれど印象深かった人はいますか?

最上「そりゃあ、いっぱいいましたよ! 特にインパクトが強かったのは、アルコール依存症同士のカップルですね。分かり合えて一緒にいれるんだと思ってたんですけど、結局は上手くいかなかったんですよ。何というか、お互いがお互い、お酒を飲むきっかけになってしまうというか……」

――同じ依存症同士だからこそ、お互いがトリガーにあり得る関係だった、と。

最上「アルコールだけでなく、恋愛としても依存し合ってたから、もうグッチャグッチャになっちゃったんですよね。共感はあっても、その分だけこじれた場合の激しさが凄まじい。自助グループは、回復した人が飲んでる人を助けるという側面もあるのですが、カップルの喧嘩の最中に夜中でも呼び出されていたし、『別れた方がいい』ってみんながアドバイスしてました。結果、先に女性の方が来なくなってしまって、最終的に彼氏も別のエリアに移っていきました」

◆母も自助グループに連れて来たかった

――壮絶すぎる……。私は本に出てくる方だと、アルコール依存症になって娘さんにに会えなくなってしまった花田さんという女性とのエピソードには胸が熱くなりました。最上さんは、花田さんにお母さんを重ね合わせていたところは実際のところあったのですか?

最上「私は自助グループに母を連れて来たかったという気持ちがすごくあったんですね。悔やんでも仕方はないのですが、もしも通っていたら亡くなったりしてなかっただろうし、もっと良い人生を歩んでただろうと。そう思う度に辛くなりました。でも、花田さんと疑似的な親子体験をさせてもらうことで、その部分がすごく癒されたんです。母はもういないけど、花田さんと接することで後悔が上書きされたんですよ」

――では、自助グループに入る前と後で、お母さんへの想いにも大きな変化が芽生えた?

最上「はい。今となっては、母も孤独を感じていたんだと思います。虐待を受けたとずっと思っていましたけど、母も離婚したり色々なことがあって現実を見たくなかったんだと思ったら許せたんです。母には助けてくれる存在がなかったんでしょうね……」

<取材・文/もちづき千代子>

【もちづき千代子】

フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。度を超したぽっちゃり体型がチャームポイント。Twitter:@kyan__tama

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