『セックス・アンド・ザ・シティ新章』で“あの頃”と“今”の自分に向き合う/明石ガクト

『セックス・アンド・ザ・シティ新章』で“あの頃”と“今”の自分に向き合う/明石ガクト

『AND JUST LIKE THAT.../セックス・アンド・ザ・シティ新章』より

◆どちらも直視はしんどい? 若くてイタかったあの頃と老いに向かっていく今

 友達になるならサマンサ、付き合うならシャーロット、結婚するならミランダ派、明石ガクトだ。キャリーにはどうにも自分を重ね合わせてしまい仲良くなれそうにない。主人公なのに。

 大学生の頃、バイト先の出版社の年上の社員さんと親密な交際をしていた。当時20代後半だったであろう恋人と恵比寿ガーデンプレイスの裏手にあるツタヤ(蔦屋ではない)でDVDをレンタルしては、僕のワンルームマンションで視聴するルーティンの中に現れたのが『セックス・アンド・ザ・シティ』だ。シーズン2を観ていた頃に愛情はピークに達し、シーズン4の終盤で破局を迎え、世間の関心がジャック・バウアー捜査官の奮闘劇にシフトした頃、僕は一人でツタヤに通いシーズン6を見届けた。

◆ストーリーの中で丁寧にアップデートをかけていく演出

 あれから僕も東京という大都市でそれなりの経験を重ね……コロナショックでいろいろ苦しみ……まさに『AND JUST LIKE THAT…』な感じで彼女たちが帰ってきた。僕らと同じようにちゃんと時を重ねた姿と、幾分前進した社会のなかで。キャリーの仕事は新聞のコラムではなくポッドキャストのコメンテーターになり、ノンバイナリーの司会者やアジア系男性と共演する。シャーロットはパーティ招待客のダイバーシティに頭を悩ませ、ミランダは50代で再び大学に戻り年下の教授から手痛い指摘を受ける。シリーズ過去作で「今、考えるとあれは間違った表現だった」ことに対してストーリーの中で丁寧にアップデートをかけていく演出と、それがエンタメとしてしっかり面白く機能していることが素晴らしい。

 無自覚な言動や振る舞いで相手を傷つける可能性に対して意識的にならなければならない時代。若くてイタかったあの頃の自分と、これから老いていく自分に向き合うために、このドラマはうってつけだ。一緒にDVD観てたMさん、お元気ですか? 僕もいよいよ今年40歳です。お互い、AND JUST LIKE THAT…な感じで素敵に年齢を重ねていけますように。

●『AND JUST LIKE THAT…/セックス・アンド・ザ・シティ新章』

セックス★★★★、ニューヨーク★★、多様性★★★★★(5点満点)

前作までのようなゴリゴリのニューヨーク感は失われてしまったが相変わらずセックスシーンたっぷり。そこも含めきっちりD&I、今の世界標準の表現がわかる作品だ。

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