阿部寛58歳、ドラムに初挑戦「本当の危機でした」。NYの映画祭で受賞も

阿部寛58歳、ドラムに初挑戦「本当の危機でした」。NYの映画祭で受賞も

『異動辞令は音楽隊!』より

阿部寛さん(58)が主演を務める、内田英治監督の最新作『異動辞令は音楽隊!』(8月26日公開)が、現地時間の22日、ニューヨーク・アジアン映画祭でワールドプレミア上映され、阿部さんと内田監督が出席しました。

 阿部さんは、過去にはイ・ビョンホンさん、カン・ドンウォンさん、ドニー・イェンさんらが受賞した、アジアで最も活躍する俳優に贈られる“スター・アジア賞”を日本人で初めて受賞。授賞式にて喜びを英語でスピーチしました。その直後、本編上映中の貴重な時間に、阿部さんと内田監督へのオンライン取材が叶いました。

◆日本での舞台挨拶より緊張しなかった

――“スター・アジア賞”受賞おめでとうございます。

阿部寛さん(以下、阿部)「いやあ、お話しを聞いたときはビックリしました。アジアの有名な方々が取られている賞を僕が。感謝しかないです。さきほど満席の授賞式で挨拶させていただいたんですけど、僕の拙い英語のスピーチも、みなさん温かい雰囲気で受け止めていただけて嬉しかったですね」

――緊張されましたか?

阿部「会場に入る前は一瞬緊張したんですけどね。本当に温かい雰囲気なものだから、すぐに緊張は解けました。日本での舞台挨拶より緊張しなかったくらいです(笑)」

◆阿部さん登場に会場は大盛り上がり

――内田監督は、阿部さんがトロフィーを受け取る姿をご覧になっていかがでしたか?

内田英治監督(以下、内田)「僕は客席から見ていましたのですが、いや、すごかったですね。とにかく盛り上がってお祭りのようなんです。日本の映画祭の厳粛さもいいですが、こうした雰囲気もいいですね。阿部さんが登場しただけで『テルマエ・ロマエ』の!といった感じで、大盛り上がりなんです。みなさん、阿部さんを見て楽しんでいて、そんなみなさんを見て僕も楽しんでいました。そうした熱狂の中で、はにかんでいる阿部さんもよかったです(笑)」

――Q&Aは上映後とのことですが、海外プレスからのインタビューは受けましたか?

阿部「受けました。何気ない質問が多かったです。すごくフレンドリーで。もっと突き詰めた質問をされるのかと思ってたんですけど、本当に楽しみに来てくださったんだなと感じました」

内田「なにか仕事というよりも、インタビュー自体を楽しみたいといった感じが伝わってくるんです。自分たちが観た映画のことを、その映画を作った人たちと話したい!という印象でした」

◆ドラムに初挑戦「本当の危機でした」

――阿部さんは本作に臨まれる際に、「内田監督に今までと違った自分を引き出されるのではないか」と感じていたそうですが、実際ご一緒していかがでしたか?

阿部「こういう世界に連れてきてもらったこともそうですし(笑顔でトロフィーを持ちながら)。内田監督の、大きな視野を持っていろんなことに挑戦していく勢いと柔軟性から多くを学びました。役に関しては、今回ドラムに挑戦しました。僕は楽器を持ったこともなかったので、通常だったら断っている役だと思います。でも内田監督ということでお引き受けしました。実際、楽器への挑戦は僕にとって本当の危機でしたが、結果的に吹き替えナシでできましたし、大の大人たちが高校生の部活動のように頑張るといった経験は、僕の役者人生のなかでもありませんでしたから、楽しかったですし、財産になりました」

◆ドラムも汗も“本物”にこだわった

――監督は阿部さんに託していかがでしたか?

内田「今回、阿部さんにドラムで叩いていただいた曲は、かなり難しいものだったんです。音楽隊のひとりである渋川清彦さんは、ドラムをバリバリに弾ける方なんですけど、そんな渋川さんが楽譜を見て『あ、俺は無理だね』って言ったんです(笑)。正直、これは難しいかなと思いましたが、阿部さんは撮影日までにちゃんと叩けるようになっていました。プロ意識のすごさを感じましたし、ネバーギブアップの精神を学びました。それから汗をかくシーンでも、普段の撮影では水を吹きかけたりするんですけど、阿部さんは『本物がいい』とおっしゃって、本当の汗をきっちり出すんです」

――本物の汗を? どうやってですか?

内田「延々と階段を昇り降りしたりして。でもそうした“本物”が、映像にすごいインパクトとなって映るんです。肌から汗が浮いてくるのが分かるんですよね。そうした部分を含め、阿部さんからは本当に多くを学んだので、こうしてトロフィーをもらう姿を見られてすごく嬉しいです」

◆いろいろ考えた50代、これからもまだまだ挑戦を

――ありがとうございます。阿部さん、本作では中年刑事の悲哀や葛藤、再スタートが描かれますが、阿部さんが年齢を重ねたからこそ感じている喜びを、最後に教えてください。

阿部「正直、50歳を超えて、役柄が狭まってきたのを感じていたんです。40代なら30代もできるし、上の年齢もできる。身体を動かす役とか。どんな役でもオファーがあったのですが、50歳を超えるとそういうのも減る。日本の俳優で、僕より年上の人で現役でやれる人って、ほかの年代に比べると少なくなってくるんです。そういうことも考えさせられる50代でした。けれど、今回のような作品に出られて、内田監督と一緒にやれたことは、意味のあることだったし、これからの糧になっていくと思っています。喜びとは違うかもしれないけれど、これからもまだまだ色々な挑戦をしていきたい。そんな感じですね」

<取材・文/望月ふみ>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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