片寄涼太の“王子感”が隠しきれてない!ドラマ『運命警察』では引き立て役に回るも

片寄涼太の“王子感”が隠しきれてない!ドラマ『運命警察』では引き立て役に回るも

『運命警察』公式Twitterより

GENERATIONS from EXILE TRIBE(以下、GENERATIONS)のヴォーカル・片寄涼太が、地上波連ドラ初主演となった『運命警察』(テレビ東京系)が、毎週火曜日深夜0時30分から放送されている。

 アーティストとしても俳優としても「王子様キャラ」が板についている片寄が、本作ではこれまで以上に深く印象づける演技力を発揮している。

「LDHとイケメン」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、夢のように、記憶に残る片寄の名演に迫る。

◆地上波連ドラ初主演の意外さ

「王子」の称号をほしいままにする片寄涼太が、意外にも地上波の連ドラ初主演だというので驚いた。国内はもとより、中国などアジア圏でもアイドル的人気を誇るが、映画作品への主演以外にも、連ドラ主演がいくらあっても不思議ではないからだ。

 このめでたい主演ドラマ『運命警察』は、主演作品として考えると、一風変わっている。片寄が演じるのは、歌手を志していた夢半ばに不運で“あの世”行きになり、運命警察の仲間入りをする福山七瀬(通称:セブン)。彼ら運命警察は、モニターでこの世の人々の日常を監視し、運命通りに人生を運ばせる任務を担っている。

 なにせあの世行きが突然のことだったので、運命警察の職務に慣れないセブンだが、彼が運命の監視を担当することになる長野命(江藤萌生)とのドラマが、なかなか見ものである。我らが王子が、特に見せ場もなく、ドラマの幕開け早々にあの世に引っ込められてしまう意外な理由が、このヒロイン女優に隠されている。

◆シンデレラガールの引き立て役として

 それは、本作の企画に由来している。ヒロイン・命を演じる江藤萌生は、本作が演技初挑戦。LDH史上最大規模のオーディション「iCON Z 〜Dreams For Children〜」にテレビ東京が密着した番組『〜夢のオーディションバラエティ〜Dreamer Z』(以下、『Dreamer Z』)の「女優オーディション」を勝ち抜いた正真正銘のシンデレラガールである。

 そんな彼女の晴れ舞台をお膳立てするのが、片寄君という贅沢さ。リアル王子様が白馬に乗ってほんとうに迎えにきたような展開であり、ドラマ世界よりドラマティックだから困る。なので、一応片寄君主演なのだけれど、あくまでシンデレラガール江藤のためにひと肌脱いで、引き立て役に回るというわけだ。

◆過去のオーディションの記憶

 という企画ドラマなので、現実のオーディションと連動するようにヒロインがコンセプチュアルに造形されている。命(みこと)は清掃のアルバイトをしながら、女優の夢を追いかけているが、運命警察がそれを邪魔しようとする。彼女を監視するために地上へ送られたセブンが歌手志望だったことは冒頭で触れた通り。

 苦労の末にやっとTikTok上でバズらせた「運命」という楽曲を弾き語り、何度もスマホのカメラで撮影していたセブンの過去の姿が印象的だった。片寄もまたデビューまでに苦労を重ねている。彼が芸能界入の切符を手にしたきっかけは、「VOCAL BATTLE AUDITION 2」だったが、ファイナリスト審査で落選。でも、この2010年開催のオーディション、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのツインヴォーカルとなる今市隆二と登坂広臣がファイナリストに選ばれたオーディションである。他に数原龍友もファイナルで落選しているが、逆に片寄・数原がここで合格していたら、後のGENERATIONSヴォーカルは誕生していなかったかもしれない。

 今でこそ王子である片寄もオーディションではこうした苦い経験があった。江藤が挑んだ『Dreamer Z』女優オーディションの最終審査を担当した片寄は、自分のオーディション当時をどんな気持ちで懐かしんだのだろうか。過去のオーディションの記憶が確かめられるからこそ、新たなオーディション連動企画ドラマで主演を演じる今の片寄の姿がより浮き彫りになっている。

◆いちいち目立つ存在感

 ところで、引き立て役に回るとはいっても、片寄の王子様っぷりを侮ってはいけない。その存在感は、やっぱり尋常ではない。もって生まれた王子様キャラとキラッと光るスタア性なのだから仕方がないのだけれど、いちいち目立つ存在感である。

 第1話終盤で、定められた運命を書き換えようとする「非運命分子」が細工をして、命は、諦めかけていた女優の夢を再び目指すことになる。ここでエリアのリーダーゼロ(水野美紀)に命じられセブンが地上世界へ赴き、すぐに命の元に現れるのだが、地上世界人としてのセブンがすごかった。

 他の清掃スタッフと同じ、オレンジのつなぎを着て、丸メガネという技ありのスタイルが様になる。これがネット上で反響の嵐だった。王子、恐るべしである。重い荷物を運び込んでよろけた命を後ろから抱きしめ、「あなたのこと守りにきました」と決め台詞まである。いやぁ〜、目立たせてくるな、王子の存在感。

◆夢の王子のように

『Dreamer Z』6月12日放送回では、「女優オーディション 人生で一度くらいドラマの主役やってみませんか?」のファイナル審査が行なわれ、『運命警察』の場面を実際に片寄相手に立ち芝居をした。江藤と片寄の間には、いい空気感があった。

 片寄は、主演作品でありながら、助演的な立ち回り方をしている。彼の助力が、演技未経験者である江藤の初々しい演技を底から支える。王子としての存在感以上に、彼女の存在を引き立たせてもいる。

『兄に愛されすぎて困ってます』(2017年)や『PRINCE OF LEGEND』(2019年)では、圧倒的な王子様キャラ炸裂で、我こそは!という華々しい存在感だった彼が、こうして相手の女優を支えるために縁の下の力持ち的に動けるようになるとは。

 セブンの役柄としては命の夢を諦めさせるためにあの世から送られて、彼女に容赦ない言葉を浴びせる場面も多々あるけれど、彼が白馬に乗った夢の王子のように記憶されることにかわりはない。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。

ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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