亡くなった元カレからのサイン?次の恋に踏み出せずにいた女性に不思議なことが…

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あなたには忘れられない男性がいますか?もしそんな男性が、一歩踏み出せないあなたの背中を押しにきてくれたら…勇気がわいてくるかもしれませんね。今回は、そんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。

◆初めての恋愛

山際菜緒さん(仮名・32歳・派遣社員)は、6年振りに彼氏ができました。

「実は私、学生時代から漫画家を目指していて20歳で上京してから何人かの漫画家さんのところでアシスタントをしたり、アルバイトをしながら自分の作品を描いては出版社に持ち込みに行く生活を送っていたんです」

そんな時に、アシスタント先でT之さんと知り合い急速に仲良くなりました。

「私が22歳で、T之が25歳の頃です。私がT之の画風と人柄に惚(ほ)れ込んでお付き合いが始まりました。生まれて初めての恋愛でとってもドキドキして楽しかったんですよね」

◆幸せな日々が突然…

二人とも漫画家が夢で、バイトをしながらの貧乏な暮らしでしたが一緒にいるだけで幸せだったそう。

「よく激安スーパーをはしごして、一緒に夕食を作って食べるのが定番のデートでした」

いつか、どちらかが売れてお金が入ったら一緒に旅行しようねと励まし合いながら、2人は自身の作品制作に打ち込んでいました。

「ですがおたがい売れぬまま、付き合って4年目の夏にT之は亡くなってしまったんです。交通事故でした」

そして突然T之さんを失ってしまったショックから、菜緒さんは漫画を描くことができなくなってしまいました。

「作業をし始めるとT之との思い出があふれ出して止まらなくなり、どうしても泣いてしまうし…苦しくて。

なのでおのずとアシスタントの仕事もできなくなってしまい、しばらくお風呂施設でのバイトだけでなんとか暮らしていましたが、結局生活が苦しくなり、漫画の世界からスッパリ足を洗うことに決めたんです」

◆派遣先で知り合った彼

菜緒さんは派遣会社に登録して、派遣社員として働くようになったそう。

「そうして環境も変わり、時間もある程度経って心の傷も癒えてきた頃に…今の会社で知り合ったK太さんからアプローチを受けて。思い切ってお付き合いをしてみることにしたんです。正直言うと、まだT之のことを忘れられないでいたのですが」

ですがK太さん(35歳・会社員)は優しい男性で、奈緒さんがこの恋愛にまだ100%乗り気でないのが伝わったのか「ゆっくりじっくりと仲良くなっていけたらいいと思っているから」と言ってくれました。

「あせらないで、いつも優しく両腕を広げて私のことを待っていてくれているような態度で接してくれるK太さんに、私もだんだんと心を開くようになっていったんです」

◆同じ味のお味噌汁を求めて

そんなある日、K太さんから「菜緒ちゃんが作ったお味噌汁が飲みたい」とリクエストされたそう。

「実はT之が亡くなったショックでできなくなったことがもう1つあって…それがお味噌汁を作ることだったんです」

いつも一緒に料理をする時には、必ずT之さんがお味噌汁を担当していました。

「給料日の後だと具だくさんの豚汁で、お金のない時はわかりやすくネギとかワカメとか具が1種類になっていました。T之のお味噌汁が大好きでしたね」

もう大丈夫だろうと、久しぶりに自分でお味噌汁を作ってみた菜緒さんでしたが…。

「やっぱり知らず知らずのうちにT之の味を追ってしまうんですよね。あの頃と同じ細粒出汁と味噌を使って作っても、なぜか同じ味にならなくて」

◆懐かしい味

味噌と出汁(だし)の配分や濃さなど、試行錯誤を繰り返しましたがどうしてもT之さんの味にはならなかったそう。

「『もしかしたら思い出が美化されて、元の味が分からなくなってしまったのかも』とため息をつきながら、何となく近所にある個人経営のカレー屋さんに入ったんです」

その店内はレトロな良い雰囲気で、菜緒さんはポークカレーを注文しました。

「そしたらなぜかポークカレーにお味噌汁がついてきたんです。めずらしいなと思いながら一口飲んでみたら…あのT之の味そのものだったんですよ」

あまりの懐かしい味に、カレーに手をつける前に一気に飲み干してしまったそう。

「思わず厨房(ちゅうぼう)にいた30代ぐらいの男性店員さんに『このお味噌汁ってどうやって作っているんですか?』と聞いたら『何も特別なことのない普通の作り方だけど、仕上げに数滴お醤油をたらしていますね』と教えてくれました」

◆不思議な男性店員

菜緒さんがカレーをかき込み、急いでお会計を済まそうとすると、なぜかその店員さんから「彼氏と仲良くね」と笑顔で言われたんだとか。

「あれ私、彼氏とケンカして落ち込んでいるような悲しい顔していたのかな?と不思議に思いました。ですが、その時はとにかくお味噌汁にお醤油の隠し味を試してみたかったので、走って帰りました」

さっそくお味噌汁作りに取りかかり、お醤油を数滴垂らして飲んでみると…まさにT之さんの味そのものになり、菜緒さんは感動しました。

「そうそう、これこれ!って感じで。T之は私が知らない間に隠し味なんておしゃれなことしていたんだなと、またセンチメンタルになってしまいましたね」

◆お礼を言いにお店に戻ると…

そしてよく考えたら、せっかく隠し味を教えてくれた店員さんに、ちゃんとお礼も言わず帰ってしまい失礼なことをしてしまったなと後悔したそう。

「なので翌日またあのカレー屋さんに行ってみたんですよ。そしたら60代ぐらいの女性が店番をしていたので、『昨日ここに入っていた男性店員さんは今日はいないのですか?』と聞いてみたんです」

すると「うちに男性店員なんていないですよ」と言われてしまい…。

「一瞬パニクりましたが、もしやと思いまたポークカレーを注文してお味噌汁を飲んでみたんですよ。そしたら昨日とは全く違う味で、もしやと思って」

「やっぱりあの男性ってT之だったんじゃ?嘘でしょ?」と菜緒さんはしばらくドキドキが止まりませんでした。

◆元カレ味のお味噌汁は封印

そして「きっとT之は、私に新しい恋に進んだ方が良いと伝えにきてくれたに違いない」と思ったそう。

「『彼氏と仲良くね』と言ってくれたし、T之のことを引きずってなかなか進めずにいる私を心配してくれたのかな?って。はやく安心させてあげたい気持ちでいっぱいになりましたね」

それ以来胸の支えが取れたように、奈緒さんはK太さんに甘えることができるようになりました。

「今では、すごくいい感じで付き合うことができています。ちなみにT之味のお味噌汁は封印して、K太には私が母から教わったお味噌汁を作っています」

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】

漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop

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