夏ドラマの名作ベスト5。『石子と羽男』も最高だったけど、圧巻のNo.1は

夏ドラマの名作ベスト5。『石子と羽男』も最高だったけど、圧巻のNo.1は

©Kwang jin /tv asahi

秋を感じる日が増え、多くの夏ドラマが終焉を迎えました。2022年の夏クールも、多くの作品に楽しませてもらったドラマ好きの筆者が“本気で観てよかった夏ドラマ5選”をご紹介します。

まず、圧倒的ツートップは『初恋の悪魔』(日本テレビ系)と『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系)でした。どちらも大いに楽しめましたが、続きが気になって無限ループの沼が止まらなかった…という意味で、個人的には『初恋の悪魔』が今クール最高!

◆初恋の悪魔

当初は、捜査権をもたないちょっとこじれた事情を抱える4人が、刑事とは違った感性と推理で難事件を解決するミステリアスコメディーという謳い文句だった本作。しかし蓋を開けたら、恋愛あり、友情あり、トラウマあり、監禁事件あり、強烈な殺人鬼あり……と、こじれた事情どころではありませんでした。

脚本家・坂元裕二ワールド全開の人間ドラマで、心を打つ台詞の連続!最大の見どころは、坂元脚本に命を吹き込んだ俳優陣の役に対する深い理解と、繊細な表現力にあったと思います。誰ひとり欠けても、この世界は成立しなかった。

サイコパスな一面をもちながらも繊細で心優しい鹿浜を演じた林遣都。笑顔を絶やさない平和主義のマスクの下に人間味あふれる自己を表現した仲野太賀。そんな主人公ふたりの恋の相手を、まさかの二重人格で丁寧に演じ分けた松岡茉優。そして、作品全体に甘やかなスパイスを加えた柄本佑。

個々に強烈な光を放ちながらも、台詞の掛け合いでぐっと引き込む演技は圧巻でした。観れば観るほど味わいが深くなる坂元作品だから、きっとこれから何度もこの4人に会いにいってしまうことでしょう。

◆石子と羽男―そんなコトで訴えます?―

前評判通りに高い完成度を見せてくれた『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』も、もちろん絶対的に面白かったです。リーガル・エンターテイメントと聞くと“巨悪を暴く”ような展開をイメージしますが、本作で扱われたのはちょっと地味な案件ばかり。

私たち市井の人に、ひょっとすると誰にでも起こりうる「喫茶店の充電」や「動画の無断投稿」…そして最後はまさかの「煙草のポイ捨て」。リアリティのある案件への共感性が高い一方で、リーガルもののスカっと感もしっかり見せてくれました。

そして何よりも、優しさあふれた作品だったと思います。

自身もトラウマを抱えながら、依頼人に「声をあげてください」と寄り添う石子(有村架純)に、カッコつけながらも自分の弱さと依頼人に向き合い続ける羽男(中村倫也)。両名の絶妙なバランスと掛け合いがとにかく素晴らしく、全10話を通して、ふたりが徐々に信頼関係を築き上げ、互いに補い支え合うようになり、少しずつ成長していく姿が丁寧に描かれたことも人気の理由に違いありません。

続編を望む声が多くあがるのも頷けますね! 個人的には、毎話ブランド物をさらっと着こなしていた羽男のファッションチェックも楽しみのひとつでした。

◆魔法のリノベ

お仕事ドラマとしては『魔法のリノベ』(フジテレビ系)もよかった。住宅リノベーションを扱う小さな工務店が舞台だったこともあり、毎話のリノベーション案にワクワクした視聴者も多いはず。何よりエンドロールで、リノベーション依頼主たちのアフターストーリーを見せる演出が秀逸だったと思います。

理想の暮らしをイメージしながら、登場人物たちの掛け合いにほっこりと心温まる癒しドラマで、月曜夜10時にぴったり!

波瑠×間宮祥太朗の主演ふたりも安定感のあるコンビでしたが、『鎌倉殿の13人』において、美し過ぎる坊主頭(頭の形がめっちゃきれい)の源頼家役で強烈なインパクトを残した金子大地の出演も印象的。頼家役から打って変わって、元恋人の波瑠を無邪気に傷つけ、失敗も多いがどこか憎めない青年役を演じていたのも筆者が本作に引きこまれたポイントでした。

◆ユニコーンに乗って

同じように癒されたという意味では『ユニコーンに乗って』(TBS系)も好き。はじまる前は、イケオジとイケメンとの三角関係の恋愛ドラマかよ! と勝手に決めつけていましたが見事に裏切られました。

教育系スタートアップ企業を舞台に、登場人物たちが世代も性別も関係なく成長していく姿を見せてくれた本作。お仕事ドラマとしては、​業界のリアルとは違う…とか、起業はそんなに甘くない…などの厳しい意見も散見されました。ですが多様化する世の中で、人と人とが学び合い、世代を超えて支え合う姿が爽やかに描かれたドラマに勇気づけられ、元気をもらった人も多いのでは。

個人的には何より西島秀俊が演じた、優しくて真面目で愛くるしい小鳥さんの癒し力がたまらない! あと、コミュ力に難ありの天才エンジニアに海斗(坂東龍汰)が涙ながらに自己の想いを吐露した第8話は号泣ものでした。

◆六本木クラス

最後に、賛否を集めながらも個人的に結構楽しめたのが『六本木クラス』(テレビ朝日系)。韓国ドラマとして日本でも大ヒットした『梨泰院クラス(イテウォンクラス)』をリメイクした本作。日本ドラマフリークの筆者としては、物語の面白さは理解しながらもあまり没頭できなかった『梨泰院クラス』を、日本ドラマとして純粋に楽しめたのが何よりよかったです。

韓国ドラマらしいドロドロした復讐劇に、トレンディドラマのような華やかさもあり、まさかの竹内涼真×香川照之から醸し出される“池井戸感”もあり。

全10話がほとんどの日本ドラマのなかで、1クールをフルに使った13話でじっくり観られた点もよかったです(といっても、本家は16話ですが)。筆者一押しの若手注目俳優の鈴鹿央士の演技も光っていました。

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まだ夏ドラマの熱も冷めやらぬなかですが、秋の訪れとともにそろそろ秋ドラマも始まります。エンタメの秋といわんばかりに、またもドラマ熱が盛り上がることでしょう!

<文/鈴木まこと(tricle.llc)>

【鈴木まこと】

tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201

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