子供の自慰行為、女児の相談が多いのはなぜ?専門家「見つけても叱ることは絶対NG」
2023年01月20日 15時01分女子SPA!

写真はイメージです(以下同)
これまで幾度となく取り上げられてきた、我が子の自慰行為について。多くの体験談や悩みは女児のケースが多いように感じます。実際に産婦人科医の宮本亜希子先生のもとには母親からこんな相談がありました。
「夜、隣で寝ている4歳の娘が“はあはあ”という荒い息遣いで陰部を触っている姿が見え、ショックを受けたのだそう。誰にも話すことができないと一人で抱え込んでいました」
また公認心理師で、自治体で行われる乳幼児検診の健康相談も行う荒谷純子さんによれば、こんなケースもあったようです。
「幼稚園に通う妹と小学6年の姉の二人姉妹で、姉はすでに自慰行為をしていました。ある時、パソコンに保存された妹の性器の写真を親が発見。姉が妹の性器を写真に収め、それを見て自慰行為をするようになっていたそうです。親は二重のショックを受け、相談に訪れたのです」
多くの親が直面し家庭の数だけ異なるケースが存在する幼児自慰。
そもそも幼児自慰をする子としない子の違いはどこにあるのか、なぜ女児の相談が多いのか、親はどんな点に注意を向ければ良いのか。様々な疑問を二人の専門家に伺いました。
◆男児の自慰は見逃せても、女児の行為には戸惑う親が多い
さきほどの荒谷純子氏は言います。
「そもそも就学前の幼児期の自慰行為と性ホルモンが活性化される小学校高学年から中学生くらいの自慰行為は全くの別物。幼児期の場合は何か性的に興奮するきっかけがあってするのではなく、触ると気持ちが良い場所をたまたま見つけてしまったためにするものです。
する子としない子で分かれるのは、その気持ちがいい場所を見つけたかどうかの違いだけで、そのまま大人になるまで継続する子もいれば、いつの間にかしなくなる子もいたりと様々です」
荒谷さんによれば、幼児期の自慰行為について特に相談が多いのは3歳児検診の時だと言います。
「珍しくないのが“娘が2歳頃から下半身を触ってるのですけど、これは自慰行為ですか”と聞かれること。もちろん男の子の親からも聞かれることはありますが、女の子の親の方が多い印象があります」
◆幼児期においては女児の自慰行為の方が多い?
たしかに、SNS等で話題になる幼児自慰も女児の話が多く見られますね。幼児期においては女児の自慰行為の方が多いということなのでしょうか?
「私が推測するに、男の子が性器に触れてるのを見ても親は“そんなものかな”と見過ごせても、幼い娘が自慰をしている姿を見るのは親にはショックが大きいのでしょう。男の子よりも女の子の方が性器に触れていることが多いわけではないと思います」
2歳で自慰行為は早すぎると驚く親も多いと思いますが、産婦人科医の宮本亜希子先生はこう言います。
「まったく早くありません。実は生後数ヶ月の赤ちゃんでも足を交差させたり体全体を固くするような動きをして、性的興奮を伴わない自慰行為をしているというケースもあるのです」
それにはこんな体の構造が関係しているのだそう。宮本先生が続けます。
「男の子に外性器があるように、女の子にも幼児期から外性器である陰核(クリトリス)は存在するため、男の子と同じように触ったりたまたま当たったりすることで気持ち良いと感じるのです」
◆見つけても叱ることは絶対NG。自然としなくなるケースも
では、幼い娘や息子の自慰行為を、親はどんな心持ちでその姿を見守れば良いのでしょう。荒谷さんはこう言います。
「お子さんの成長過程と思い、間違っても“何してるの!”と怒ったり“そんなことやめなさい!”と怒らないことです。怒られた子供は“これはしてはいけない事なんだ”と後ろめたさを感じます。自慰行為そのものに後ろめたさを感じさせる必要はありません」
宮本さんも過剰に心配せず見守ることが大事と言います。冒頭で話していた4歳女児も自然としなくなっていたそう。
「母親と話すうちに、自分も小学校低学年から性器を触ると気持ちがいいことを知っていたし、大人の今でも触れて満たすことがあることなどを思い返し、見守ろうと決めたそうです。その結果、小学校に上がる前には自慰の癖はなくなり、小学4年生になった今もしていないそうです」
◆姉妹2人のケースはどう解決した?
冒頭で荒谷さんが話してくれたもう一方のケースはどう解決に向かったのでしょうか?
「姉妹それぞれに心理士が担当しました。姉には人間の体のプライベートゾーンは、みだりに他人に見せたり触らせたり、他人が見たり触るのを憚(はばか)るべき領域であることや、自慰行為そのものや妹の気持ちを推測するプロセスを教えました。妹には性的虐待に似た心のケアを行っていきました」
幼少期から少女期の自慰行為で気をつけるべき点は、誰かを巻き込み嫌な思いをさせたり悲しませるような行為に及ばないようにすること。そういった場合は専門家に相談することも大切です。また、自慰行為の写真を収めることへの注意喚起は親にもしたい、と荒谷さんは続けます。
「娘の自慰行為に気づくきっかけの多くが保育園でのお昼寝です。お迎えの際に保育士から“娘さんが自慰行為をしていますが、どうしますか”などと報告を受けるケースです。
私の元に実際に相談をしてきた母親は保育士からの言葉が信じられず、保育士に娘のその姿の動画を撮ってきてもらい私に見せてきたことも。子供のプライベートな姿を動画に収める行為は絶対に控えましょう。仮に撮ってしまったとしても、すぐさま削除が鉄則でしょう」
自慰行為はどんな年代であれ決して恥ずかしい行為でもいやらしい行為でもなければ、間違った行為でもありません。たとえ幼児であってもする子もいればしない子もいます。
「うちの子、こんなに早くにするようになって、大丈夫なのかな」と悩みすぎず、どうか暖かい目で見守りましょう。
<文/河合桃子>
【河合桃子】
1977年、東京都生まれ。男性週刊誌の記者をしながら、気になった女性ネタを拾って書いたりしてます。2児を育てるシングルマザーでもあります。
「夜、隣で寝ている4歳の娘が“はあはあ”という荒い息遣いで陰部を触っている姿が見え、ショックを受けたのだそう。誰にも話すことができないと一人で抱え込んでいました」
また公認心理師で、自治体で行われる乳幼児検診の健康相談も行う荒谷純子さんによれば、こんなケースもあったようです。
「幼稚園に通う妹と小学6年の姉の二人姉妹で、姉はすでに自慰行為をしていました。ある時、パソコンに保存された妹の性器の写真を親が発見。姉が妹の性器を写真に収め、それを見て自慰行為をするようになっていたそうです。親は二重のショックを受け、相談に訪れたのです」
多くの親が直面し家庭の数だけ異なるケースが存在する幼児自慰。
そもそも幼児自慰をする子としない子の違いはどこにあるのか、なぜ女児の相談が多いのか、親はどんな点に注意を向ければ良いのか。様々な疑問を二人の専門家に伺いました。
◆男児の自慰は見逃せても、女児の行為には戸惑う親が多い
さきほどの荒谷純子氏は言います。
「そもそも就学前の幼児期の自慰行為と性ホルモンが活性化される小学校高学年から中学生くらいの自慰行為は全くの別物。幼児期の場合は何か性的に興奮するきっかけがあってするのではなく、触ると気持ちが良い場所をたまたま見つけてしまったためにするものです。
する子としない子で分かれるのは、その気持ちがいい場所を見つけたかどうかの違いだけで、そのまま大人になるまで継続する子もいれば、いつの間にかしなくなる子もいたりと様々です」
荒谷さんによれば、幼児期の自慰行為について特に相談が多いのは3歳児検診の時だと言います。
「珍しくないのが“娘が2歳頃から下半身を触ってるのですけど、これは自慰行為ですか”と聞かれること。もちろん男の子の親からも聞かれることはありますが、女の子の親の方が多い印象があります」
◆幼児期においては女児の自慰行為の方が多い?
たしかに、SNS等で話題になる幼児自慰も女児の話が多く見られますね。幼児期においては女児の自慰行為の方が多いということなのでしょうか?
「私が推測するに、男の子が性器に触れてるのを見ても親は“そんなものかな”と見過ごせても、幼い娘が自慰をしている姿を見るのは親にはショックが大きいのでしょう。男の子よりも女の子の方が性器に触れていることが多いわけではないと思います」
2歳で自慰行為は早すぎると驚く親も多いと思いますが、産婦人科医の宮本亜希子先生はこう言います。
「まったく早くありません。実は生後数ヶ月の赤ちゃんでも足を交差させたり体全体を固くするような動きをして、性的興奮を伴わない自慰行為をしているというケースもあるのです」
それにはこんな体の構造が関係しているのだそう。宮本先生が続けます。
「男の子に外性器があるように、女の子にも幼児期から外性器である陰核(クリトリス)は存在するため、男の子と同じように触ったりたまたま当たったりすることで気持ち良いと感じるのです」
◆見つけても叱ることは絶対NG。自然としなくなるケースも
では、幼い娘や息子の自慰行為を、親はどんな心持ちでその姿を見守れば良いのでしょう。荒谷さんはこう言います。
「お子さんの成長過程と思い、間違っても“何してるの!”と怒ったり“そんなことやめなさい!”と怒らないことです。怒られた子供は“これはしてはいけない事なんだ”と後ろめたさを感じます。自慰行為そのものに後ろめたさを感じさせる必要はありません」
宮本さんも過剰に心配せず見守ることが大事と言います。冒頭で話していた4歳女児も自然としなくなっていたそう。
「母親と話すうちに、自分も小学校低学年から性器を触ると気持ちがいいことを知っていたし、大人の今でも触れて満たすことがあることなどを思い返し、見守ろうと決めたそうです。その結果、小学校に上がる前には自慰の癖はなくなり、小学4年生になった今もしていないそうです」
◆姉妹2人のケースはどう解決した?
冒頭で荒谷さんが話してくれたもう一方のケースはどう解決に向かったのでしょうか?
「姉妹それぞれに心理士が担当しました。姉には人間の体のプライベートゾーンは、みだりに他人に見せたり触らせたり、他人が見たり触るのを憚(はばか)るべき領域であることや、自慰行為そのものや妹の気持ちを推測するプロセスを教えました。妹には性的虐待に似た心のケアを行っていきました」
幼少期から少女期の自慰行為で気をつけるべき点は、誰かを巻き込み嫌な思いをさせたり悲しませるような行為に及ばないようにすること。そういった場合は専門家に相談することも大切です。また、自慰行為の写真を収めることへの注意喚起は親にもしたい、と荒谷さんは続けます。
「娘の自慰行為に気づくきっかけの多くが保育園でのお昼寝です。お迎えの際に保育士から“娘さんが自慰行為をしていますが、どうしますか”などと報告を受けるケースです。
私の元に実際に相談をしてきた母親は保育士からの言葉が信じられず、保育士に娘のその姿の動画を撮ってきてもらい私に見せてきたことも。子供のプライベートな姿を動画に収める行為は絶対に控えましょう。仮に撮ってしまったとしても、すぐさま削除が鉄則でしょう」
自慰行為はどんな年代であれ決して恥ずかしい行為でもいやらしい行為でもなければ、間違った行為でもありません。たとえ幼児であってもする子もいればしない子もいます。
「うちの子、こんなに早くにするようになって、大丈夫なのかな」と悩みすぎず、どうか暖かい目で見守りましょう。
<文/河合桃子>
【河合桃子】
1977年、東京都生まれ。男性週刊誌の記者をしながら、気になった女性ネタを拾って書いたりしてます。2児を育てるシングルマザーでもあります。
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