子どもがいじめられたら親はどうする?「見て見ぬふり」する母親の“闇"<漫画>
2023年02月04日 15時02分女子SPA!

『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました。~なんで言わないの?~』収録「子どもがいじめられたら親はどうする?」©ゆっぺ/扶桑社(以下同)
幼稚園や小中学校で起こっている、“子ども同士の性被害”の実態を描いたエッセイ漫画『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました。~なんで言わないの?~』が1月27日に発売となりました。
自身の体験を表題作で漫画化している、作者のゆっぺさんにインタビュー。第3回の今回は、子どもがいじめられたら親はどうするかという問題について、そしてタイトルにある『なんで言わないの?』にこめられたゆっぺさんの想いを聞いていきます。
◆わが子のいじめを“見て見ぬふり”してしまった親
――マンガでは、自分の子どもがいじめにあっているのに、『ママ友と揉めるのが嫌だから』という理由で、見てみぬふりをする母親が登場しました。
ゆっぺさん(以下、ゆっぺ)「結局、そのママは『半年我慢すればクラスも変わるから』という理由で、最後まで何もしませんでした。いじめられていた子は我慢をしたまま、最終的には学校に行けなくなってしまいました」
――自分よりママの都合を優先した、と傷ついていたかもしれませんね。
ゆっぺ「私にも娘がいて、たしかにママ友と関係を築くことは怖かったです。でも、当然ですが一番大事なのは子どもです。自分がママ達にどう思われるかよりも、子どもが安全に学校生活を送ることの方がはるかに大事です。子どもが助けを必要としている時、親がどう動くかで子どもの気持ちも未来も大きく変わるのではないでしょうか」
◆子どもの友達のママ同士、というだけの関係は期間限定
――なんのためのママ友かわからなくなりますね。
ゆっぺ「ママ友はあくまで『子どもの友達のママ』であって、自分の友達ではない。自分の友達だと思うから変な関係性になっていくのではないでしょうか。私の娘は小学校を卒業しましたが、ママ友は子どもが卒業したら完全なる他人になりました。関係性が無くなったんです。
ママ友同士の関係で悩むのはしょうがないけど、ママ友に気を使って子どもに可哀想な思いをさせるのは違うと思います。子どもの貴重な学生生活のほうがずっと大事ですし、ママ友というだけの関係はいずれ切れます」
◆子どものSOSを「そんなことあるわけない」と流さないで
――今回、『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました。~なんで言わないの?~』を描いて、改めて感じたことはありますか?
ゆっぺ「5歳の時、自分が性被害にあったことをマンガに描く中で、その時感じたことや出来事を鮮明に思い出しました。『5歳でよくそんなこと覚えているね』と言われることもあるのですが、それだけショッキングな出来事でした。そして5歳の子どもは大人から見ると幼く見えますが、大人が想像しているよりもずっといろんなことを考えて感じ取っています」
――たしかにそうかもしれません。
ゆっぺ「子どもが少しでもSOSを出してくれたときは、『たいしたことない』『よくあるいたずら』『そんなことあるわけない』と流さないで、まずは子どもの声に耳を傾けてあげてほしいです」
◆マンガのタイトル『なんで言わないの?』に込めた想い
――子どもなりの精一杯の「助けて」を、親として見逃したくないですね。
ゆっぺ「本のタイトルにも『なんで言わないの?』という言葉を入れましたが、子どもが性被害やいじめの被害にあったときに『なんでもっと早く言わないの?』とか『言い返せばいいじゃん』などと言ってしまう大人は多いと思います。
本当は『子どもがなんで言えなかったのか?』に着目して、目を向けなくてはいけない問題ですよね。それなのに、子どもの“言えなかった行動”を非難するのは違うと思うんです。子どもの言葉や変化に目を向けて、何があってどんな気持ちだったのかを受け止めて、認めてあげる必要があります」
◆子どもも簡単に“性”に触れられる時代、親がすべきことは?
――マンガを読んで、私たち大人の想像を超えたところに子どもの性被害があるのだと気づきました。
ゆっぺ「それは私も感じています。読者の方からのコメントの中には、性被害を受けた男の子もいました。子どもの性被害と聞くと先入観で“大人の男性が女児にするもの”と思いがちですが、例えば女性が男児・女児に加害することもありますし、子ども同士、中には女児同士の性被害もあります。
先入観で子どもの身に起きていることを決めつけてはいけない、と改めて感じています」
――子どもを加害者にも被害者にもしないために、親はどんなことができるでしょうか。
ゆっぺ「子どもの目につくところ、手が届くところにアダルトコンテンツを置かないなどの対策は必須ですが、大人がどんなに隠しても、子どもたちの好奇心にフタはできませんよね。今の時代、ネットやスマホで検索すれば、子どもたちはすぐにアダルト動画などの過激な性の情報を見ることができてしまいます。
でも仮にそのようなものに触れたとしても、正しい性教育の下地――自分の身体は自分だけの大切なもので、他人の身体にも勝手に触ってはいけないという知識など――があれば、人としてやってはいけないことの線引きが自分でできるかもしれないとも思うんです」
――偏った情報に触れる前に、正しい性の情報を隠さず伝えておくのは大切ですね。
ゆっぺ「また日頃から親子で話せる環境があれば、困った時に子どもがSOSも出しやすく、仮に話せない場合でも親が子どもの変化に気づきやすいのではないでしょうか」
◆教育や行政、親子関係など様々な角度からアプローチを
大人が知らないところで、子どもの同士の性被害は起きています。そして誰にも言えないまま、子どもが一人でその傷を抱えることも少なくありません。
教育や行政、親子関係など様々な角度からアプローチしていくことが大事だとゆっぺさんの話を聞いて感じます。
【ゆっぺ】
「ライブドアブログ OF THE YEAR2021」最優秀グランプリを受賞した『ゆっぺのゆる漫画ブログ』を運営。2022年にはライブドアブログ殿堂入りも果たす。『女教師Aが地位も名誉も失った話』、『女友達の裏の顔!?』などのヒット作を連発し、2021年には主婦ブロガー初の月間3,000万PVという快挙を達成。初の著書『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました。~なんで言わないの?~』が1月27日に発売。
Instagram:@yuppe2、Twitter:@yuppe__
<取材・文/楠悠里、女子SPA!編集部 漫画/ゆっぺ>
自身の体験を表題作で漫画化している、作者のゆっぺさんにインタビュー。第3回の今回は、子どもがいじめられたら親はどうするかという問題について、そしてタイトルにある『なんで言わないの?』にこめられたゆっぺさんの想いを聞いていきます。
◆わが子のいじめを“見て見ぬふり”してしまった親
――マンガでは、自分の子どもがいじめにあっているのに、『ママ友と揉めるのが嫌だから』という理由で、見てみぬふりをする母親が登場しました。
ゆっぺさん(以下、ゆっぺ)「結局、そのママは『半年我慢すればクラスも変わるから』という理由で、最後まで何もしませんでした。いじめられていた子は我慢をしたまま、最終的には学校に行けなくなってしまいました」
――自分よりママの都合を優先した、と傷ついていたかもしれませんね。
ゆっぺ「私にも娘がいて、たしかにママ友と関係を築くことは怖かったです。でも、当然ですが一番大事なのは子どもです。自分がママ達にどう思われるかよりも、子どもが安全に学校生活を送ることの方がはるかに大事です。子どもが助けを必要としている時、親がどう動くかで子どもの気持ちも未来も大きく変わるのではないでしょうか」
◆子どもの友達のママ同士、というだけの関係は期間限定
――なんのためのママ友かわからなくなりますね。
ゆっぺ「ママ友はあくまで『子どもの友達のママ』であって、自分の友達ではない。自分の友達だと思うから変な関係性になっていくのではないでしょうか。私の娘は小学校を卒業しましたが、ママ友は子どもが卒業したら完全なる他人になりました。関係性が無くなったんです。
ママ友同士の関係で悩むのはしょうがないけど、ママ友に気を使って子どもに可哀想な思いをさせるのは違うと思います。子どもの貴重な学生生活のほうがずっと大事ですし、ママ友というだけの関係はいずれ切れます」
◆子どものSOSを「そんなことあるわけない」と流さないで
――今回、『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました。~なんで言わないの?~』を描いて、改めて感じたことはありますか?
ゆっぺ「5歳の時、自分が性被害にあったことをマンガに描く中で、その時感じたことや出来事を鮮明に思い出しました。『5歳でよくそんなこと覚えているね』と言われることもあるのですが、それだけショッキングな出来事でした。そして5歳の子どもは大人から見ると幼く見えますが、大人が想像しているよりもずっといろんなことを考えて感じ取っています」
――たしかにそうかもしれません。
ゆっぺ「子どもが少しでもSOSを出してくれたときは、『たいしたことない』『よくあるいたずら』『そんなことあるわけない』と流さないで、まずは子どもの声に耳を傾けてあげてほしいです」
◆マンガのタイトル『なんで言わないの?』に込めた想い
――子どもなりの精一杯の「助けて」を、親として見逃したくないですね。
ゆっぺ「本のタイトルにも『なんで言わないの?』という言葉を入れましたが、子どもが性被害やいじめの被害にあったときに『なんでもっと早く言わないの?』とか『言い返せばいいじゃん』などと言ってしまう大人は多いと思います。
本当は『子どもがなんで言えなかったのか?』に着目して、目を向けなくてはいけない問題ですよね。それなのに、子どもの“言えなかった行動”を非難するのは違うと思うんです。子どもの言葉や変化に目を向けて、何があってどんな気持ちだったのかを受け止めて、認めてあげる必要があります」
◆子どもも簡単に“性”に触れられる時代、親がすべきことは?
――マンガを読んで、私たち大人の想像を超えたところに子どもの性被害があるのだと気づきました。
ゆっぺ「それは私も感じています。読者の方からのコメントの中には、性被害を受けた男の子もいました。子どもの性被害と聞くと先入観で“大人の男性が女児にするもの”と思いがちですが、例えば女性が男児・女児に加害することもありますし、子ども同士、中には女児同士の性被害もあります。
先入観で子どもの身に起きていることを決めつけてはいけない、と改めて感じています」
――子どもを加害者にも被害者にもしないために、親はどんなことができるでしょうか。
ゆっぺ「子どもの目につくところ、手が届くところにアダルトコンテンツを置かないなどの対策は必須ですが、大人がどんなに隠しても、子どもたちの好奇心にフタはできませんよね。今の時代、ネットやスマホで検索すれば、子どもたちはすぐにアダルト動画などの過激な性の情報を見ることができてしまいます。
でも仮にそのようなものに触れたとしても、正しい性教育の下地――自分の身体は自分だけの大切なもので、他人の身体にも勝手に触ってはいけないという知識など――があれば、人としてやってはいけないことの線引きが自分でできるかもしれないとも思うんです」
――偏った情報に触れる前に、正しい性の情報を隠さず伝えておくのは大切ですね。
ゆっぺ「また日頃から親子で話せる環境があれば、困った時に子どもがSOSも出しやすく、仮に話せない場合でも親が子どもの変化に気づきやすいのではないでしょうか」
◆教育や行政、親子関係など様々な角度からアプローチを
大人が知らないところで、子どもの同士の性被害は起きています。そして誰にも言えないまま、子どもが一人でその傷を抱えることも少なくありません。
教育や行政、親子関係など様々な角度からアプローチしていくことが大事だとゆっぺさんの話を聞いて感じます。
【ゆっぺ】
「ライブドアブログ OF THE YEAR2021」最優秀グランプリを受賞した『ゆっぺのゆる漫画ブログ』を運営。2022年にはライブドアブログ殿堂入りも果たす。『女教師Aが地位も名誉も失った話』、『女友達の裏の顔!?』などのヒット作を連発し、2021年には主婦ブロガー初の月間3,000万PVという快挙を達成。初の著書『5歳の私は、クラスの男子から性被害を受けました。~なんで言わないの?~』が1月27日に発売。
Instagram:@yuppe2、Twitter:@yuppe__
<取材・文/楠悠里、女子SPA!編集部 漫画/ゆっぺ>
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