経理社員から年商150億円の経営者になった女性が語る「仕事で周りから信用を得るには」
2023年02月05日 15時02分女子SPA!

2年で年商150億円を達成した女性経営者の金松月
岐阜県にある美顔器に特化した企業「ARTISTIC&CO. GLOBAL」の代表を務め、年商150億円の売り上げを達成している女性経営者の金松月(きん しょうげつ)さん。初めは当時、親会社の「ARTISTIC&CO.」の経理として入社した金さんは、どのようにしてキャリアを築いたのでしょうか?今回は金さんが仕事で信頼を得ていった方法について話を聞きました。
◆まずは自社の美顔器を体感
――「ARTISTIC&CO. 」には経理社員として入社し、最初にやったことが「取り扱っている美顔器の価値を体感するということ」だとお聞きしました。それはなぜでしょうか?
金さん(以下、金)「私自身、ARTISTIC&CO.に入社するまでは美顔器との出会いがなかったのです。ですから、美顔器というものへの興味はもちろんのこと、『なぜこんなに高いんだろう』と素朴な疑問を抱きました。こんな高いものを買っている方はどういう人なんだろう、どういう価値を感じて買っているんだろうと思いました。請求書を出すのが経理の仕事ですので、自信をもって請求するためには、商品の価値をしっかりと確かめたかったのです。当時、1番売れている商品の値段は、145,800円(税込)で、エステティックサロンが購入することが多かったです。請求は卸価格なのですが、それでも安い商品ではありません」
――美顔器の価値を体感するために、具体的にどんなことをしたのですか?
金「まず、美顔器がどういう原理で作られているのか。お肌にはどういうアプローチができて、他社とどう違うのかを、すでにいる社員の方から学ばせてもらいました。その後で、実際に営業現場に同行し、どのようなお客様がどのように使っているのか見させていただきました。
私は全くの素人でしたので、エステサロンのオーナーさんやエステティシャンの方、営業の人たちが使う専門用語すらわからなかったんです。『ポレーションってなんですか?』『RF(高周波)ってなんですか?』と、色々質問をしたり、ネットで調べたりして自分なりの勉強をしました。色々な話を聞いて、ARTISTIC&CO.の美顔器について勉強すればするほど、商品に対する自信が生まれてきました。自分の中でも『うちの商品は世界一いい!』というくらいの確信が生まれてきました」
◆経理社員としての2つの心がけ
――金さんは、経理社員として具体的にどのようなことを心がけていたのでしょうか?
金「経理はお金を触ることなので、デリケートな部分です。ですから、信頼関係がないといけません。ちょっとしたことで信用を失ってしまいます。お金が多かったり少なかったり、“合わない”ということは、ダメージが大きいですよね。なので、常に『言われる前に報告をする』ということを意識していました。
あと、『商品管理』も大切にしていました。“もの”は、“お金”より大事にされない傾向がありますよね。皆さん、お金だと大事にするのに、“もの”だと急に悪気なく大事にしなくなったりします。現金なら銀行に預けたり、金庫に入れたりするのに、お洋服をそのようには扱いませんよね。部品も含めて、在庫というのは資産です。“商品”は“お金”と同様に大切に扱うという意識を持つようにし、『商品管理の徹底』を提案したりしていました」
◆自分の範疇以外の仕事も把握する
――金さんは「経理の範疇の仕事」以外のことも進んで把握し、どんどん提案もしていったとのことですが、そう行動された理由を教えてください。
金「自分の仕事じゃないところにも手を出せるというのは、中小企業の良さだと思うのです。中小企業だからいろんなことが見れるし、いろんなことに関われます。経理は全体のことを把握しなければならない場合も多い職種です。数字だけではなく、やっぱり仕事は人と人との関わりです。自分が色々なことに関わることで、人間関係もできていきますし、他部署のことも理解できるようになります。
私は社長から声をかけられて、通訳という異業種から転職してきました。だから会社のために役に立たないと、皆さんとの信頼関係も作れないと思い、できることはなんでもやろうと思いました。私のような行動は、日本の社会的には『でしゃばり』と思われてしまうかもしれません。でも、私の場合は途中から入ってきて、今までのキャリアを買っていただいているので『結果を出さないといけない』という意識で動いていました」
◆可能性を自ら打ち切らない
――2016年5月に東京のビッグサイトの展示会で1袋650円の乳酸菌入りのビューティー・キャンディーを10万袋(6,500万円分)受注をしたとのことですが、このような偉業を達成できたのはなぜだと思いますか?
金「売りたい人と、買いたい人がいるわけです。でも『10万袋買うから安くして』と言われても、ほとんどの日本の企業は『そんなに買うわけないでしょ』と思われます。それは弊社も同様で、10万袋買ったらどれくらい値引きができるか社長に交渉したところ『そんなに買うわけない!』と言われてしまいました。
だから、5万袋に減った場合の見積もり、1万袋だった場合などを想定して、最低限のラインと、守りたいラインを社長に教えてもらいました。それをもとに自分で調整し、中国の会社と売買合意がとれているのに、それでも社長は『騙されている!』と言って信じてくれませんでした。その時点で在庫があった訳ではないので、発注して用意するのに3ヶ月かかるが、その間にキャンセルが出たらどうするのかと社長に言われました。だから『だったら前金で貰えばいいじゃないですか』と提案しました。それでも『そんなの貰えるわけないんだろう』と言われました」
――でも結局、契約は成立したのですよね?
金「はい。結局、すぐに契約ができて、前金もいただけて、取引が成立したのです。先入観が可能性を打ち切り、チャレンジをさまたげます。最低限のリスクは回避しているのに、やらない理由はありません。自社のものの良さに自信を持っていたので、『10万袋ほしい』と言われたときにも納得して契約を進めることができたのです」
◆自分との戦い
――この展示会で10万袋を売ったことで、社長や他の方からも信頼度が高くなったとのことですが、ほかに金さんが周囲の信用を得るために心がけていたことはなんですか?
金「プラス志向でいることも意識していますが、やっぱり“自分との戦い”です。人と比べるのではなく、常に自分の最善を尽くすというのが大前提です。上を目指すとしたら、誰かの欠点をつついたり蹴落としたりするのではなく、自分の中の最大限を目指すということです。
周りを認めて『周りと比べない』ということが大切です。周りと比べずに、自分の中のベストを目指すことが、信用にも繋がると思います。比べたらキリがないですし、生まれ育った環境も違います。同じ親から生まれても性格なんて違うのですから。いかに周りとの相乗効果を発揮できるか、いかに自分の欠点を周りに補ってもらえるか、そのためには天真爛漫が1番かと思います(笑)」
“商品の価値”を信じ、“可能性”を信じて突き進む金さん。常に笑顔で、信じるものへと全力な金さんの姿勢が、まわりからの信頼へと繋がっているようです。
<取材/女子SPA!編集部、文/まなたろう>
【まなたろう】
多岐にわたって興味があるアラフォーライター。コーヒーが好きで資格を取得中。海外に12年ほど住んでいたため、英語はそこそこ堪能。
◆まずは自社の美顔器を体感
――「ARTISTIC&CO. 」には経理社員として入社し、最初にやったことが「取り扱っている美顔器の価値を体感するということ」だとお聞きしました。それはなぜでしょうか?
金さん(以下、金)「私自身、ARTISTIC&CO.に入社するまでは美顔器との出会いがなかったのです。ですから、美顔器というものへの興味はもちろんのこと、『なぜこんなに高いんだろう』と素朴な疑問を抱きました。こんな高いものを買っている方はどういう人なんだろう、どういう価値を感じて買っているんだろうと思いました。請求書を出すのが経理の仕事ですので、自信をもって請求するためには、商品の価値をしっかりと確かめたかったのです。当時、1番売れている商品の値段は、145,800円(税込)で、エステティックサロンが購入することが多かったです。請求は卸価格なのですが、それでも安い商品ではありません」
――美顔器の価値を体感するために、具体的にどんなことをしたのですか?
金「まず、美顔器がどういう原理で作られているのか。お肌にはどういうアプローチができて、他社とどう違うのかを、すでにいる社員の方から学ばせてもらいました。その後で、実際に営業現場に同行し、どのようなお客様がどのように使っているのか見させていただきました。
私は全くの素人でしたので、エステサロンのオーナーさんやエステティシャンの方、営業の人たちが使う専門用語すらわからなかったんです。『ポレーションってなんですか?』『RF(高周波)ってなんですか?』と、色々質問をしたり、ネットで調べたりして自分なりの勉強をしました。色々な話を聞いて、ARTISTIC&CO.の美顔器について勉強すればするほど、商品に対する自信が生まれてきました。自分の中でも『うちの商品は世界一いい!』というくらいの確信が生まれてきました」
◆経理社員としての2つの心がけ
――金さんは、経理社員として具体的にどのようなことを心がけていたのでしょうか?
金「経理はお金を触ることなので、デリケートな部分です。ですから、信頼関係がないといけません。ちょっとしたことで信用を失ってしまいます。お金が多かったり少なかったり、“合わない”ということは、ダメージが大きいですよね。なので、常に『言われる前に報告をする』ということを意識していました。
あと、『商品管理』も大切にしていました。“もの”は、“お金”より大事にされない傾向がありますよね。皆さん、お金だと大事にするのに、“もの”だと急に悪気なく大事にしなくなったりします。現金なら銀行に預けたり、金庫に入れたりするのに、お洋服をそのようには扱いませんよね。部品も含めて、在庫というのは資産です。“商品”は“お金”と同様に大切に扱うという意識を持つようにし、『商品管理の徹底』を提案したりしていました」
◆自分の範疇以外の仕事も把握する
――金さんは「経理の範疇の仕事」以外のことも進んで把握し、どんどん提案もしていったとのことですが、そう行動された理由を教えてください。
金「自分の仕事じゃないところにも手を出せるというのは、中小企業の良さだと思うのです。中小企業だからいろんなことが見れるし、いろんなことに関われます。経理は全体のことを把握しなければならない場合も多い職種です。数字だけではなく、やっぱり仕事は人と人との関わりです。自分が色々なことに関わることで、人間関係もできていきますし、他部署のことも理解できるようになります。
私は社長から声をかけられて、通訳という異業種から転職してきました。だから会社のために役に立たないと、皆さんとの信頼関係も作れないと思い、できることはなんでもやろうと思いました。私のような行動は、日本の社会的には『でしゃばり』と思われてしまうかもしれません。でも、私の場合は途中から入ってきて、今までのキャリアを買っていただいているので『結果を出さないといけない』という意識で動いていました」
◆可能性を自ら打ち切らない
――2016年5月に東京のビッグサイトの展示会で1袋650円の乳酸菌入りのビューティー・キャンディーを10万袋(6,500万円分)受注をしたとのことですが、このような偉業を達成できたのはなぜだと思いますか?
金「売りたい人と、買いたい人がいるわけです。でも『10万袋買うから安くして』と言われても、ほとんどの日本の企業は『そんなに買うわけないでしょ』と思われます。それは弊社も同様で、10万袋買ったらどれくらい値引きができるか社長に交渉したところ『そんなに買うわけない!』と言われてしまいました。
だから、5万袋に減った場合の見積もり、1万袋だった場合などを想定して、最低限のラインと、守りたいラインを社長に教えてもらいました。それをもとに自分で調整し、中国の会社と売買合意がとれているのに、それでも社長は『騙されている!』と言って信じてくれませんでした。その時点で在庫があった訳ではないので、発注して用意するのに3ヶ月かかるが、その間にキャンセルが出たらどうするのかと社長に言われました。だから『だったら前金で貰えばいいじゃないですか』と提案しました。それでも『そんなの貰えるわけないんだろう』と言われました」
――でも結局、契約は成立したのですよね?
金「はい。結局、すぐに契約ができて、前金もいただけて、取引が成立したのです。先入観が可能性を打ち切り、チャレンジをさまたげます。最低限のリスクは回避しているのに、やらない理由はありません。自社のものの良さに自信を持っていたので、『10万袋ほしい』と言われたときにも納得して契約を進めることができたのです」
◆自分との戦い
――この展示会で10万袋を売ったことで、社長や他の方からも信頼度が高くなったとのことですが、ほかに金さんが周囲の信用を得るために心がけていたことはなんですか?
金「プラス志向でいることも意識していますが、やっぱり“自分との戦い”です。人と比べるのではなく、常に自分の最善を尽くすというのが大前提です。上を目指すとしたら、誰かの欠点をつついたり蹴落としたりするのではなく、自分の中の最大限を目指すということです。
周りを認めて『周りと比べない』ということが大切です。周りと比べずに、自分の中のベストを目指すことが、信用にも繋がると思います。比べたらキリがないですし、生まれ育った環境も違います。同じ親から生まれても性格なんて違うのですから。いかに周りとの相乗効果を発揮できるか、いかに自分の欠点を周りに補ってもらえるか、そのためには天真爛漫が1番かと思います(笑)」
“商品の価値”を信じ、“可能性”を信じて突き進む金さん。常に笑顔で、信じるものへと全力な金さんの姿勢が、まわりからの信頼へと繋がっているようです。
<取材/女子SPA!編集部、文/まなたろう>
【まなたろう】
多岐にわたって興味があるアラフォーライター。コーヒーが好きで資格を取得中。海外に12年ほど住んでいたため、英語はそこそこ堪能。
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