「日本は老人ファーストすぎる」37歳ママのモヤモヤ。公園で“高齢者のひと言”に怒りがこみ上げる
2023年09月26日 08時47分女子SPA!

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2020年の春に緊急事態宣言が発令されてから約3年間という長い間、「不要不急」「三密を避ける」をキーワードにさまざまな規制が呼びかけられました。
百貨店、飲食店、エンタメ施設など「不要不急」とされる店舗が次々に休業。そして密を避けるため、学校も休校となり、再開の見通しが立たないまま数か月。子どもたちはしばらく学校に行けず、登校が再開しても「密を避ける」ために友人と近くで話すことや、おしゃべりしながらのランチも禁止され、友人同士で遊ぶことさえ制限されました。
高橋美紀さん(仮名・37歳)はそんな状況の中、「“老人ファースト”な風潮に疑問を感じた」といいます。行動制限がやっと落ち着き始めた今だからこそ、この問題について一緒に考えてみませんか?
子どもの幼稚園が休園になり、家で面倒を見ながら在宅ワークをすることになった高橋さん。思いきり外で遊びたい子どもを家にとどめながら自分の仕事をするのは、想像以上に大変でした。
「コロナ禍、規制が厳しかった当時を振り返ると、疑問に思うことが多かったです。私たちが住んでいるのは、高齢者が多く、子どもはあまり多くない地域。『密を避けて』と言われていましたが、うちの周りは人が少ないので、子どもと気晴らしに散歩していました。
人気(ひとけ)のない公園で少し遊んで帰ろうとしたら、すべり台やブランコなどの遊具に使用禁止の規制線がはられていてビックリしました。普段から人も少ない公園で、そこまでする必要があるのかとモヤモヤしました」
なんで遊べないの? と残念がる子どもをなだめながら帰宅した高橋さん。しばらくしてまた公園の前を通りかかると、ショッキングな場面に遭遇します。
「高齢者が集まってゲートボールをしていたんです。子どもが公園に近寄ろうとすると『子どもは公園禁止だよ』と言われました。その口調に、まるでバイキン扱いだと思ってしまいました。
子どもたちが授業を休んで、不要不急の外出を控えているのは、感染した後の死亡リスクが高い高齢者を守るためなんじゃないの? 張本人である高齢者は自粛しなくていいの? と思わず怒りがこみ上げました」
幼い子どもが遊具を使うことさえできないのに、高齢者は「健康のため」と楽しくゲートボールをしている姿を見て、「高齢者ばっかり好き勝手」な風潮に疑問を感じたといいます。
さらに高橋さんの母親が受けている介護支援サービスは、コロナ下でも一度も休みにならず、そのことも疑問に思ったのだとか。
「ひとり暮らしの母は介護支援のショートステイに通っていました。介護支援というと大げさに聞こえますが、介護が必要になる状態を予防するために、簡単な体操をしたり、高齢者が集まって談笑したりするような内容です。そしてその場所は母によると、30人~40人が一か所に集まって体操をするようなところ。それって『密』じゃないのかな? と疑問に思いました」
そんな「密」な高齢者向けサービスが止まることなく継続するなか、幼稚園は閉園。高齢者は運動をしないと体力が一気に落ちるので、高橋さんの母親にとってはありがたいことでしたが、老人が密に集まるサービスが止まらなかったことは、やはりおかしいと感じざるを得なかったそうです。
高齢者の支援は当然のように続き、子どもたちやその親は我慢を強いられている。そんな状況は筆者の周りを含め、小さな子を育てるママたちの間ではわだかまりや疑問となっていましたが、メディアで取り上げられることはほとんどありませんでした。
テレビをつければ、マスコミは悪者探しばかり。生活のために経営を続けるお店や、飲食店の閉店で集まる場所がなくなり公園で友人と会う学生を取材し、いかにも悪者のように見せる偏った報道がされていました。テレビで取材されたのが原因で、翌日から嫌がらせの電話が殺到して閉店せざるを得なかったお店もあったといいます。
その陰で、高齢者が「密」を作るようなサービスが止まらなかったことや、一般の高齢者が外で会合を楽しんでいるのを咎(とが)める報道は、少なくとも筆者は一度も見かけていません。
「メディアの報道は、政治家や有権者の大半である高齢者に忖度(そんたく)して下手なことが言えないんですかね。政府も『休校』というインパクトの強い対策を打つことで『やってる感』を出してるんじゃないかと勘繰ってしまいます。
もちろん介護分野は止まって困るサービスだと分かっていますが、それなら子どもを預かる場所だって止まると本当に困ることを知ってほしいです。子どもには我慢をさせて、高齢者の安全も娯楽も守ろうという風潮をどうしても感じてしまいました」(前出の高橋さん)
「老人ファースト」の風潮は、小さな子どもを持つ親だけでなく、学生たちも感じるところがあったようです。
本宮りささん(仮名・45歳)の娘は高校生。入学式も中止になり先の見えない休校に突入し、やっと始まった高校も、マスク生活。友人と遊びにも行けず、唯一の楽しみである昼食は前を向いて静かに食べる「黙食」。楽しみにしていた行事はすべてなくなり、高校生活というものがよく分からないまま卒業を迎えたのだとか。
「娘はよく『学校がつまらない』とぼやいていました。そして、テレビのニュースで、高齢の政治家が集まって宴会をしていたなどの報道を見ると『私たちは政府から密を避けろと言われて我慢させられているのに、当の政治家が集まって飲み会してるなんておかしいでしょ!?』と怒っていました」
このことはメディアでも話題となり、批判されていましたが、密を避けろとお達しを出しながらも宴会をした高齢の政治家たちは、人との関わりを奪われてなすすべもない子どもたちの辛さを想像したことがあるのでしょうか。
緊急事態宣言は日本全体を新型コロナの蔓延から守るために出されたはずでしたが、実際は、「かかると死亡リスクが高い高齢者の命を守る」ことに重きが置かれていました。ですがそれを守るために、本当に公園の遊具を禁止し、学生や子どもたちの日常を潰す必要があったのでしょうか。
人は生まれたら必ず死を迎えます。わたしたちも老いれば必ず何らかの形で死を迎え、次の世代が時代を担います。それが自然の摂理です。感染を予防し、高齢者をコロナウイルスから守ることはもちろん大事ですが、次の世代を担う子どもたちを育てるための健康的な環境を守ることだって大切です。
新型コロナ流行当初は得体のしれないウイルスに世界中が戸惑いましたが、1年もすれば、感染の重症化率や、世代別の死亡率が見えてきていたはずです。政治家たちは専門家と協議し、やみくもに「密を回避」の一点張りを押し通すのではなく、データをもとに、もっと人と人とのコミュニケーションが取れるような緩和策を見出すことができたのではないでしょうか。
そもそも人と人との関わりは、不要不急ではなく、子どもたちの成長に必要不可欠。子どもたちに負担を強いて、もちろん一部とはいえ影響力のある立場の高齢者が大きな顔をして規制を堂々と破っている現実に、子どもたちは何を思っていたでしょうか。
高齢化社会で、人口の割合としても高齢者が多く、発言権も強い世の中です。このまま子どもたちが生きにくい社会が続けば、少子化は進み、日本はどんどん衰退していくでしょう。
次の世代を担う子どもをしっかり育てる意識を、わたしたちはもっと持つべきだと考えます。
―シリーズ「令和の親・令和の子」―
<取材・文/塩辛いか乃>
【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako
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百貨店、飲食店、エンタメ施設など「不要不急」とされる店舗が次々に休業。そして密を避けるため、学校も休校となり、再開の見通しが立たないまま数か月。子どもたちはしばらく学校に行けず、登校が再開しても「密を避ける」ために友人と近くで話すことや、おしゃべりしながらのランチも禁止され、友人同士で遊ぶことさえ制限されました。
高橋美紀さん(仮名・37歳)はそんな状況の中、「“老人ファースト”な風潮に疑問を感じた」といいます。行動制限がやっと落ち着き始めた今だからこそ、この問題について一緒に考えてみませんか?
誰もいない公園で、使用禁止の遊具たちがポツン
子どもの幼稚園が休園になり、家で面倒を見ながら在宅ワークをすることになった高橋さん。思いきり外で遊びたい子どもを家にとどめながら自分の仕事をするのは、想像以上に大変でした。
「コロナ禍、規制が厳しかった当時を振り返ると、疑問に思うことが多かったです。私たちが住んでいるのは、高齢者が多く、子どもはあまり多くない地域。『密を避けて』と言われていましたが、うちの周りは人が少ないので、子どもと気晴らしに散歩していました。
人気(ひとけ)のない公園で少し遊んで帰ろうとしたら、すべり台やブランコなどの遊具に使用禁止の規制線がはられていてビックリしました。普段から人も少ない公園で、そこまでする必要があるのかとモヤモヤしました」
なんで遊べないの? と残念がる子どもをなだめながら帰宅した高橋さん。しばらくしてまた公園の前を通りかかると、ショッキングな場面に遭遇します。
子どもは遊具で遊べないのに、高齢者はゲートボール?
「高齢者が集まってゲートボールをしていたんです。子どもが公園に近寄ろうとすると『子どもは公園禁止だよ』と言われました。その口調に、まるでバイキン扱いだと思ってしまいました。
子どもたちが授業を休んで、不要不急の外出を控えているのは、感染した後の死亡リスクが高い高齢者を守るためなんじゃないの? 張本人である高齢者は自粛しなくていいの? と思わず怒りがこみ上げました」
幼い子どもが遊具を使うことさえできないのに、高齢者は「健康のため」と楽しくゲートボールをしている姿を見て、「高齢者ばっかり好き勝手」な風潮に疑問を感じたといいます。
幼稚園は休園になっても、介護支援サービスは継続
さらに高橋さんの母親が受けている介護支援サービスは、コロナ下でも一度も休みにならず、そのことも疑問に思ったのだとか。
「ひとり暮らしの母は介護支援のショートステイに通っていました。介護支援というと大げさに聞こえますが、介護が必要になる状態を予防するために、簡単な体操をしたり、高齢者が集まって談笑したりするような内容です。そしてその場所は母によると、30人~40人が一か所に集まって体操をするようなところ。それって『密』じゃないのかな? と疑問に思いました」
そんな「密」な高齢者向けサービスが止まることなく継続するなか、幼稚園は閉園。高齢者は運動をしないと体力が一気に落ちるので、高橋さんの母親にとってはありがたいことでしたが、老人が密に集まるサービスが止まらなかったことは、やはりおかしいと感じざるを得なかったそうです。
高齢者ファースト問題は、テレビで取り上げられない?
高齢者の支援は当然のように続き、子どもたちやその親は我慢を強いられている。そんな状況は筆者の周りを含め、小さな子を育てるママたちの間ではわだかまりや疑問となっていましたが、メディアで取り上げられることはほとんどありませんでした。
テレビをつければ、マスコミは悪者探しばかり。生活のために経営を続けるお店や、飲食店の閉店で集まる場所がなくなり公園で友人と会う学生を取材し、いかにも悪者のように見せる偏った報道がされていました。テレビで取材されたのが原因で、翌日から嫌がらせの電話が殺到して閉店せざるを得なかったお店もあったといいます。
その陰で、高齢者が「密」を作るようなサービスが止まらなかったことや、一般の高齢者が外で会合を楽しんでいるのを咎(とが)める報道は、少なくとも筆者は一度も見かけていません。
子どもには我慢させ、高齢者は安全も娯楽も守られるのか
「メディアの報道は、政治家や有権者の大半である高齢者に忖度(そんたく)して下手なことが言えないんですかね。政府も『休校』というインパクトの強い対策を打つことで『やってる感』を出してるんじゃないかと勘繰ってしまいます。
もちろん介護分野は止まって困るサービスだと分かっていますが、それなら子どもを預かる場所だって止まると本当に困ることを知ってほしいです。子どもには我慢をさせて、高齢者の安全も娯楽も守ろうという風潮をどうしても感じてしまいました」(前出の高橋さん)
「老人ファースト」の風潮は、小さな子どもを持つ親だけでなく、学生たちも感じるところがあったようです。
政治家が集まって飲み会なんておかしいでしょ!?
本宮りささん(仮名・45歳)の娘は高校生。入学式も中止になり先の見えない休校に突入し、やっと始まった高校も、マスク生活。友人と遊びにも行けず、唯一の楽しみである昼食は前を向いて静かに食べる「黙食」。楽しみにしていた行事はすべてなくなり、高校生活というものがよく分からないまま卒業を迎えたのだとか。
「娘はよく『学校がつまらない』とぼやいていました。そして、テレビのニュースで、高齢の政治家が集まって宴会をしていたなどの報道を見ると『私たちは政府から密を避けろと言われて我慢させられているのに、当の政治家が集まって飲み会してるなんておかしいでしょ!?』と怒っていました」
このことはメディアでも話題となり、批判されていましたが、密を避けろとお達しを出しながらも宴会をした高齢の政治家たちは、人との関わりを奪われてなすすべもない子どもたちの辛さを想像したことがあるのでしょうか。
学生や子どもたちの日常を潰す必要があったのか
緊急事態宣言は日本全体を新型コロナの蔓延から守るために出されたはずでしたが、実際は、「かかると死亡リスクが高い高齢者の命を守る」ことに重きが置かれていました。ですがそれを守るために、本当に公園の遊具を禁止し、学生や子どもたちの日常を潰す必要があったのでしょうか。
人は生まれたら必ず死を迎えます。わたしたちも老いれば必ず何らかの形で死を迎え、次の世代が時代を担います。それが自然の摂理です。感染を予防し、高齢者をコロナウイルスから守ることはもちろん大事ですが、次の世代を担う子どもたちを育てるための健康的な環境を守ることだって大切です。
新型コロナ流行当初は得体のしれないウイルスに世界中が戸惑いましたが、1年もすれば、感染の重症化率や、世代別の死亡率が見えてきていたはずです。政治家たちは専門家と協議し、やみくもに「密を回避」の一点張りを押し通すのではなく、データをもとに、もっと人と人とのコミュニケーションが取れるような緩和策を見出すことができたのではないでしょうか。
この3年間、子どもたちは何を思っていたのか
そもそも人と人との関わりは、不要不急ではなく、子どもたちの成長に必要不可欠。子どもたちに負担を強いて、もちろん一部とはいえ影響力のある立場の高齢者が大きな顔をして規制を堂々と破っている現実に、子どもたちは何を思っていたでしょうか。
高齢化社会で、人口の割合としても高齢者が多く、発言権も強い世の中です。このまま子どもたちが生きにくい社会が続けば、少子化は進み、日本はどんどん衰退していくでしょう。
次の世代を担う子どもをしっかり育てる意識を、わたしたちはもっと持つべきだと考えます。
―シリーズ「令和の親・令和の子」―
<取材・文/塩辛いか乃>
【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako
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