「今まで俺が払ったデート代、全額PayPayで返して」交際相手の無茶な請求、法的にどうなの? 37歳女性の決断は
2023年09月28日 15時47分女子SPA!

「今まで俺が払ったデート代、全額PayPayで返して」交際相手の無茶な請求、法的にどうなの? 37歳女性の決断はの画像
恋愛・婚活コンサルタントの田中亜依です。700万円の費用を投じた10年間の婚活で、600人以上の男性とデートを重ねた末に結婚しました。“本気の婚活経験“を活かし、年間1000人以上の男女の恋愛サポートを行ってきた筆者が、「大人の恋愛で本当に必要なこと」をお伝えします。
結婚相手を探す際に、相手の「金銭感覚」が重要だと考える人は多いと思います。お互いの金銭感覚がかけ離れていると、どこかで無理が生じてしまいます。
MoneyGeekが今年8月、パートナーのいる社会人の独身男女1,000人を対象に行った「デート代の支払い事情」に関するアンケート調査*では、「デート代は男性が支払うべき」という風潮に62%の男女が同意を示しました。また、支払いに関する本音を尋ねると、割り勘を望んでいる女性は全体の37%、男性に多めに払ってほしい女性は30%、全額払ってほしい女性は14%でした。
この調査で特に注目していただきたいのが、「約半数のカップルはデート代で支払う配分について話し合ったことがない」という結果です。
出会ったばかりの2人がデート代金について話し合うのは、たしかに勇気が要りますよね。中には話し合おうとした結果、金銭トラブルに発展してしまうことも……。今回は実際に起こった事例について、弁護士の内山悠太郎氏の解説を交えながら紹介します。
ひかるさん(仮名・37歳/会社員)はマッチングアプリで、ベンチャー企業の役員として働く43歳の男性・雄也さん(仮名)と出会いました。
その雄也さんと何回かデートを重ねた後に口論になり、「今まで多めに出してもらった食事代やデート代を全額請求された」とのことで、私に相談がありました。
まず大前提として、弁護士の内山氏は次のように解説します。
「食事をご馳走することは法的には贈与にあたります。贈与契約はいつでも取り消すことができますが、履行(りこう)が完了した部分については取り消すことができません。 そのため、すでにご馳走してもらった分を事後的に返す必要はないと考えます」(内山弁護士)
今回のケースでは、ひかるさんは雄也さんに食事代を返す必要はないということですね。ではなぜこんなトラブルになってしまったのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
ひかるさんは、雄也さんとの初めてのデートについてこう語ります。
「雄也さんはスタイルが良く見た目にも気を遣っていて、素敵だなと思いました。初デートの後、お互いにまた会いたいと言い、次のデートは中華のコースランチになったんです」
その日のお会計は1人あたり5,000円ほどでした。
「彼の指定したお店でしたし、もしかしたら奢ってくれるのかなと思ったんですが……お店を出てから3,000円請求されました。でも美味しかったしデートも楽しかったので、この時点ではケチとか彼の金銭感覚について特に気になったわけではありません」
彼とのデートが負担になってきたのは、3回目のデートからでした。
3回目は隠れ家風の一軒家レストランでディナーをしたのですが、雄也さんは1人1万円を超えるコースディナーを予約しており、お酒も入れると1人2万円近くに。
レストランを出ると雄也さんから「あ、6,000円だけもらってもいい?」と言われたため、ひかるさんはその場で6,000円を支払いました。
自分が予約して連れて行ったレストランの代金を、相手に負担させることは法的に問題ないのでしょうか? 内山弁護士に聞くと――
「こちらについては、お店を選んでデートに誘う時点では贈与する、つまり“奢る”意思表示がされているとは言えず、基本的には半分または利用分を負担すべきと考えます。あまりに高級なレストランや高級な旅館を提案された場合には、支払えないので他のところにしたいと、しっかりと伝えるのが良いでしょう」(内山弁護士)
ひかるさんはこのデートではっきり「負担だ」と感じたそうです。
「正直、私は稼いでいるわけでもないので、毎回デートで5,000円以上となると厳しいんです。そこで、次のデートは私にお店を選ばせてほしいと彼に提案してみました。そうしたら、今度は車をレンタルして郊外に行こうと逆提案されたんです」(ひかるさん)
その結果、2人は日帰りで箱根の温泉に行くことに。「俺、箱根は詳しいから、お店とか選んでおくね」と言われたため、彼にお店選びを任せたところ、箱根の老舗ホテルのランチ、温泉、カフェへ行くことになりました。
支払いが発生する際は彼がお金を出し、ひかるさんが「お金はいくらでしたか?」と聞くと、彼は「後でいいよ」と言ってくれたそうです。
恐怖の瞬間はその日の夜、やってきました。1日楽しんで、自宅に帰った後に彼から次のような内容のメッセージが送られてきました。
「今日かかったお金だけど、レンタカー代16,060円、高速代金5,280円、ガソリン5,000円、ランチ7,600円、日帰り温泉10,328円、カフェ1,600円、駐車代金800円、合計46,668円です。なので、1人23,334円なんだけど、キリがいい23,000円でいいよ~! 本当は、お迎えにいく時に俺が買ったコーヒーとかあるけど、その辺は俺が持つね」
まさに、友人同士の旅行のようなキッチリ割り勘。これを読んだひかるさんは、彼への気持ちが冷めていくのをはっきり感じました。
「正直、私より断然稼いでいるのに1円単位で金額の詳細を送ってきてケチだなって思いました。稼ぎが違う分、金銭感覚も合わないのかもと思ってしまって」
ひかるさんはさらに続けます。
「もちろん男性に全部奢ってもらおうなんて思っていないのですが、やはりどこかで、お金を出せる余裕がある人だからこそ、こういったデートができるんだと思っていた部分がありました。それでがっかりしてしまって……。次に会った時に、思い切って彼に正直な気持ちを伝えました。そうしたら、なんて言ってきたと思います?」
雄也さんは「じゃあ、これまで俺がカバーした代金を全部支払ってね」と言ってきたそうです。そして「いくらかかったか俺が計算して連絡するから、PayPayで支払いをよろしく」と続けました。
ひかるさんは、お財布に入っていた3万円をその場で現金で支払ったそうです。
「正直イラつきました! 自分で行きたいお店や場所を勝手に決めておいて、これまで払った分は全額返せなんておかしいですよね? そもそもこれって支払わなくてはいけないんでしょうか!?」と、ひかるさんは興奮気味に話していました。
冒頭の内山弁護士の解説で、一度奢ってもらった食事代を後で請求されても、法的には支払いの義務は生じないとお伝えしました。今回、高速料金費用などの交通費についても返す必要はないのでしょうか?
内山氏は「こちらも、払ってもらった分は返す必要はないと考えます」と回答。つまり今回の件でいうと、雄也さんがひかるさんに対して要求している支払いには、法的には応じる義務はないということです。
弁護士からのアドバイスをひかるさんに伝えたところ「そうなんですね! じゃあ、3万円は支払わなくてもよかったのか……。まぁでも、それぐらいくれてやりますよ! 早く彼の本性に気付けてよかったです」と言って、次の出会いに向けて前向きに捉えていました。
今回のケースでは彼も「せっかく素敵なお店を探して、多めに払ってもあげていたのに!」と腹を立てていたかもしれません。お互いの金銭感覚や価値観の違いをうまくすり合わせることができず、このような行き違いが起こってしまいました。
お金の話題はなかなか出しづらいのが難しいところですが、付き合ったら、まして結婚したら、ずっと付いて回るテーマです。金銭感覚が違うと思った段階で、話し合うか離れるかして、建設的に捉えられるといいですね。
*【調査概要】
調査対象:パートナーのいる社会人(独身)1,000人
調査地域:全国
調査期間:2023年8月7日~8月11日
調査主体:MoneyGeek編集部
調査委託先:アイブリッジ株式会社
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/田中亜依>
【田中亜依】
恋愛・婚活コンサルタント、デートコーチ。婚活歴10年、婚活に700万円を投資。マッチングアプリ、結婚相談所、合コンで600人以上の男性と出会い結婚。この経験を生かし、国内最大手結婚相談所にて「また会いたくなるデート方法」などのセミナー講師として活動。公式ホームページ/Twitter:@date_coach_ai/Instagram:@ai_tanaka1019
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結婚相手を探す際に、相手の「金銭感覚」が重要だと考える人は多いと思います。お互いの金銭感覚がかけ離れていると、どこかで無理が生じてしまいます。
MoneyGeekが今年8月、パートナーのいる社会人の独身男女1,000人を対象に行った「デート代の支払い事情」に関するアンケート調査*では、「デート代は男性が支払うべき」という風潮に62%の男女が同意を示しました。また、支払いに関する本音を尋ねると、割り勘を望んでいる女性は全体の37%、男性に多めに払ってほしい女性は30%、全額払ってほしい女性は14%でした。
この調査で特に注目していただきたいのが、「約半数のカップルはデート代で支払う配分について話し合ったことがない」という結果です。
出会ったばかりの2人がデート代金について話し合うのは、たしかに勇気が要りますよね。中には話し合おうとした結果、金銭トラブルに発展してしまうことも……。今回は実際に起こった事例について、弁護士の内山悠太郎氏の解説を交えながら紹介します。
これまで奢ってもらった分を「返せ」と言われたら?
ひかるさん(仮名・37歳/会社員)はマッチングアプリで、ベンチャー企業の役員として働く43歳の男性・雄也さん(仮名)と出会いました。
その雄也さんと何回かデートを重ねた後に口論になり、「今まで多めに出してもらった食事代やデート代を全額請求された」とのことで、私に相談がありました。
まず大前提として、弁護士の内山氏は次のように解説します。
「食事をご馳走することは法的には贈与にあたります。贈与契約はいつでも取り消すことができますが、履行(りこう)が完了した部分については取り消すことができません。 そのため、すでにご馳走してもらった分を事後的に返す必要はないと考えます」(内山弁護士)
今回のケースでは、ひかるさんは雄也さんに食事代を返す必要はないということですね。ではなぜこんなトラブルになってしまったのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
多めに払ってはくれるけど……贅沢なデート代が負担に
ひかるさんは、雄也さんとの初めてのデートについてこう語ります。
「雄也さんはスタイルが良く見た目にも気を遣っていて、素敵だなと思いました。初デートの後、お互いにまた会いたいと言い、次のデートは中華のコースランチになったんです」
その日のお会計は1人あたり5,000円ほどでした。
「彼の指定したお店でしたし、もしかしたら奢ってくれるのかなと思ったんですが……お店を出てから3,000円請求されました。でも美味しかったしデートも楽しかったので、この時点ではケチとか彼の金銭感覚について特に気になったわけではありません」
彼とのデートが負担になってきたのは、3回目のデートからでした。
「6,000円だけもらっていい?」にモヤモヤ
3回目は隠れ家風の一軒家レストランでディナーをしたのですが、雄也さんは1人1万円を超えるコースディナーを予約しており、お酒も入れると1人2万円近くに。
レストランを出ると雄也さんから「あ、6,000円だけもらってもいい?」と言われたため、ひかるさんはその場で6,000円を支払いました。
自分が予約して連れて行ったレストランの代金を、相手に負担させることは法的に問題ないのでしょうか? 内山弁護士に聞くと――
「こちらについては、お店を選んでデートに誘う時点では贈与する、つまり“奢る”意思表示がされているとは言えず、基本的には半分または利用分を負担すべきと考えます。あまりに高級なレストランや高級な旅館を提案された場合には、支払えないので他のところにしたいと、しっかりと伝えるのが良いでしょう」(内山弁護士)
次はレンタカーで日帰り旅行をすることに
ひかるさんはこのデートではっきり「負担だ」と感じたそうです。
「正直、私は稼いでいるわけでもないので、毎回デートで5,000円以上となると厳しいんです。そこで、次のデートは私にお店を選ばせてほしいと彼に提案してみました。そうしたら、今度は車をレンタルして郊外に行こうと逆提案されたんです」(ひかるさん)
その結果、2人は日帰りで箱根の温泉に行くことに。「俺、箱根は詳しいから、お店とか選んでおくね」と言われたため、彼にお店選びを任せたところ、箱根の老舗ホテルのランチ、温泉、カフェへ行くことになりました。
支払いが発生する際は彼がお金を出し、ひかるさんが「お金はいくらでしたか?」と聞くと、彼は「後でいいよ」と言ってくれたそうです。
彼から届いた旅費の明細に、気持ちが冷めてしまった
恐怖の瞬間はその日の夜、やってきました。1日楽しんで、自宅に帰った後に彼から次のような内容のメッセージが送られてきました。
「今日かかったお金だけど、レンタカー代16,060円、高速代金5,280円、ガソリン5,000円、ランチ7,600円、日帰り温泉10,328円、カフェ1,600円、駐車代金800円、合計46,668円です。なので、1人23,334円なんだけど、キリがいい23,000円でいいよ~! 本当は、お迎えにいく時に俺が買ったコーヒーとかあるけど、その辺は俺が持つね」
まさに、友人同士の旅行のようなキッチリ割り勘。これを読んだひかるさんは、彼への気持ちが冷めていくのをはっきり感じました。
「正直、私より断然稼いでいるのに1円単位で金額の詳細を送ってきてケチだなって思いました。稼ぎが違う分、金銭感覚も合わないのかもと思ってしまって」
「これまで俺がカバーした分、全額PayPayで払って」
ひかるさんはさらに続けます。
「もちろん男性に全部奢ってもらおうなんて思っていないのですが、やはりどこかで、お金を出せる余裕がある人だからこそ、こういったデートができるんだと思っていた部分がありました。それでがっかりしてしまって……。次に会った時に、思い切って彼に正直な気持ちを伝えました。そうしたら、なんて言ってきたと思います?」
雄也さんは「じゃあ、これまで俺がカバーした代金を全部支払ってね」と言ってきたそうです。そして「いくらかかったか俺が計算して連絡するから、PayPayで支払いをよろしく」と続けました。
ひかるさんは、お財布に入っていた3万円をその場で現金で支払ったそうです。
「正直イラつきました! 自分で行きたいお店や場所を勝手に決めておいて、これまで払った分は全額返せなんておかしいですよね? そもそもこれって支払わなくてはいけないんでしょうか!?」と、ひかるさんは興奮気味に話していました。
デート代を返す必要はなかったけれど
冒頭の内山弁護士の解説で、一度奢ってもらった食事代を後で請求されても、法的には支払いの義務は生じないとお伝えしました。今回、高速料金費用などの交通費についても返す必要はないのでしょうか?
内山氏は「こちらも、払ってもらった分は返す必要はないと考えます」と回答。つまり今回の件でいうと、雄也さんがひかるさんに対して要求している支払いには、法的には応じる義務はないということです。
弁護士からのアドバイスをひかるさんに伝えたところ「そうなんですね! じゃあ、3万円は支払わなくてもよかったのか……。まぁでも、それぐらいくれてやりますよ! 早く彼の本性に気付けてよかったです」と言って、次の出会いに向けて前向きに捉えていました。
お金の問題はカップルにずっと付いて回る
今回のケースでは彼も「せっかく素敵なお店を探して、多めに払ってもあげていたのに!」と腹を立てていたかもしれません。お互いの金銭感覚や価値観の違いをうまくすり合わせることができず、このような行き違いが起こってしまいました。
お金の話題はなかなか出しづらいのが難しいところですが、付き合ったら、まして結婚したら、ずっと付いて回るテーマです。金銭感覚が違うと思った段階で、話し合うか離れるかして、建設的に捉えられるといいですね。
*【調査概要】
調査対象:パートナーのいる社会人(独身)1,000人
調査地域:全国
調査期間:2023年8月7日~8月11日
調査主体:MoneyGeek編集部
調査委託先:アイブリッジ株式会社
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/田中亜依>
【田中亜依】
恋愛・婚活コンサルタント、デートコーチ。婚活歴10年、婚活に700万円を投資。マッチングアプリ、結婚相談所、合コンで600人以上の男性と出会い結婚。この経験を生かし、国内最大手結婚相談所にて「また会いたくなるデート方法」などのセミナー講師として活動。公式ホームページ/Twitter:@date_coach_ai/Instagram:@ai_tanaka1019
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