「白シャツ+デニム」が似合うのはモデルと有名人… ノームコアへの疑問

「白シャツ+デニム」が似合うのはモデルと有名人… ノームコアへの疑問

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●連載「ファッション誌が答えてくれない相談」01 by小林直子●

◆Q.ノームコアって取り入れたほうがいいですか?

 2年ほど前からよく聞く「ノームコア」って何ですか? 最近あまり聞きませんが、まだ流行っているのですか? 取り入れたほうがいいですか?

◆A.別に取り入れなくてかまいません

回答:小林直子(ファッション・ブロガー) 

 ノームコアとは、コアなノーマル、日本語でいったら、超普通ということになります。これはアメリカのとある会社が名付けたスタイルで、『ニューロマンサー』で有名なサイバーパンクSFの作家ウィリアム・ギブスンの『パターン・レコグニション』の主人公のスタイルからとった名前ということですが、いってみれば、ただの白いTシャツにジーンズというようなシンプルなスタイルのことです。

 ノームコアの見本として挙げられていたのはスタイルのいいファッション・モデルたち、もしくはアップル社を設立したスティーブ・ジョブズ氏のような成功した有名人です。彼らが好んでよく着ているのは白Tシャツに黒のスキニー・ジーンズ、革のライダースというような究極のシンプル・スタイル。こんなスタイルを一般の人たちにもさせようと、ノームコアというキャッチーな名前をつけてみたのです。

◆普通の人がやったら、ただ普通のカッコだったノームコア

 しかし実際には、言うほどにこのノームコアは流行りませんでした。

 もともと多くの人がジーンズや白いTシャツは持っていましたから、これが目新しいスタイルというわけではありません。何よりも、この何の装飾もないシンプルなスタイルがもっとも似合うのはスタイルのいいモデルたち。

 または、すでに成功していて有名で、誰が見てもその人だとわかり、かつ忙しくてファッションに時間もエネルギーもかけたくない人たちです。

 そんな人たちのためのファッションを一般の人にも流行らせようとしたのですが、やはりそれはうまくいきませんでした。

 原因はそれだけではありません。現在、流行の最先端は2015年にグッチのクリエイティブ・ディレクターに就任したアレッサンドロ・ミケーレが提案するハイパー・ミックスと呼ばれるスタイルです。クラッシック、モダン、スポーツなど、あらゆる要素を過剰な装飾と多色で表現するスタイルは、ノームコアとは対極にあるもの。

 時代の気分と逆行したノームコアは、多くの人の心をとらえることができなかったというのが本当のところだと思います。

◆無理にトレンドを追っても、おしゃれに見えない理由

 さて、ファッションには流行があります。そのなかにはノームコアのように仕掛けられたものもありますし、自然発生的なものもあります。

 これらの流行をすべての人が取り入れる必要はまったくありません。自分が好きでないもの、着たくないものは着なくてもいいのです。

 どんなにミニスカートが流行っていようと着たくないのなら着なければいいし、逆に今は流行ってはいないけれども、どうしてもこれが好きというものがあれば、それを着ればよいのです。

 おしゃれにとって重要なのは自由であること、そしてそれを選ぶかどうかの判断は自分でするということです。自分で自由に選び、自分で決めると、何よりも自信が生まれます。どんなに流行のスタイルをしても、自信がなければおしゃれには見えません。

 流行に振り回されず、かといって完全に無視するのではなく、うまく取り入れていきましょう。自分の好きな気持ちを大事にすれば、それができるようになるでしょう。

<TEXT/小林直子>

【小林直子】

ファッション・ブロガー。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒、文化服装学院卒。東京コレクション参加ブランドのパターンナー、大手アパレル会社の企画室を経て独立。現在、湘南エリアを中心に独自に開発したメソッドによるファッション・レッスン、各種ワークショップを開催するなど活動中。ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』

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